TRIP 腐的妄想

某5人組アイドルの腐的(BL)妄想小説です。成人女性限定でお願いします。

ティータイム 1

ティータイム



ごきげんよう、皆様。

今日は素敵なsalonで、素敵な歌声を聴いて来ましたの。

それは耳障りの良い透き通るような歌声……。

この方、絵もお描きになるんですけど、

それがまた素晴らしくて……。

大きな白い絵を見せていただいたのですけど……。

すぐにご援助させていただくことに決めましたわ。

ええ、もちろん、我がファミリー総力を結集して応援させていただきます。

え?そんな方なら、他にもご援助申し出る方がいらっしゃるんじゃないかって?

もちろん、いらっしゃるようね?

御前も通っていらっしゃるようだし、

あの櫻井財閥の後継者、翔様も……。

翔様は、本当にご執心で……。

見ている此方が恥ずかしくなるくらい……。

いいんですのよ。

それを温かい目で見守るのもレディのたしなみ……。

皆様にもお見せしたいわ。

あの翔様が、目尻を下げて、甘い声で囁くところ……。

うふふ、見ているわたくしが恥ずかしくなってしまうくらい……。

誰が近寄っても、絶対にエスコートさせませんのよ?

ふふふ。今後の動向に注目ですわ。

どこまで翔様が、大野さん……、

あ、その方、大野さんっておっしゃるの。

大野さんの心を捉えられるか……。

仕事では、切れ者と噂に高い方ですけど、

恋愛に関してはどうでしょう?

表立ってはなかなか動けないお立場ですし、

何と言ってもライバルは大勢いらっしゃるご様子……。

そのどなたをとっても美しい方ばかり……。

ね?楽しみでしょう?

あら、お茶のお代わりはいかが?

え?そのsalonの場所?

それは言えませんわ。

秘密のsalonですもの。

これ以上ライバルが増えたら、翔様になんと言われるか。

支配人は喜びそうですけど。ふふふ。

ええ、もちろん、進展がありましたら、すぐにご報告させていただきますわ。

わたくしの大事なお友達たちですもの。

ちゃんとレディのたしなみを理解している皆様なら、

お二人の今後を温かく見守ってくださるわよね?

わたくしの見たところ、大野さんも……。

あ、そろそろタルトが焼けたみたいね?

うちのシェフのタルトは絶品なの。

ぜひ味わってほしいわ。

次の報告を楽しみにしていてね。










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MONSTER ⑬

MONSTER(やま)



一人になったサトシはベッドに腰かけ、野獣の出て行った扉を見つめます。

「あれ……告白……でいいのかな?」

村の何人かの女性から告白されたことはありますが、男性からの告白は初めてです。

まして、相手は皆が恐れる野獣……。

「ショウ君がいい人なのはわかってる……。」

人ではないですけど。

「本当は優しくて……。」

優しさの示し方は不器用ですが……。

「一緒にいて、安心できるし……。」

それは心を開いてると言うことでしょうか?

「もちろん、さっきはびっくりしたし、カッとしちゃったけど……。」

サトシは右手を左手で包み、その手を見つめます。

「嫌なわけじゃ……。」

いつの間にかベッドの上でサトシを見ていたリスが、首を傾げます。

「あ、あれだって、動物の本能なわけで……。」

リスは、ふ……ん?と片方の口の端を上げます。

「好きだから……だよね?」

サトシも首を傾げます。

すると、リスがツツ……とサトシの膝に乗って来ます。

「あれ?どこから来たの?」

リスが尻尾を揺らします。

「あ……昨日の?また出られなくなっちゃうよ?」

リスがニコッと笑います。

「人懐っこい子だね……。」

サトシはリスの背中を撫でます。

「ねぇ、リスさんはどう思う?

 おいら、どうしたらいい……?

 ……弟たちは大好きだよ。ショウ君のことも大好き。

 でも、弟たちはあんなことしないし……。」

リスがサトシの指を甘噛みします。

「あはは、くすぐったいよ~。」

サトシはリスから指を離すと、その指で唇をなぞります。

「おいらだって、ここが意外と居心地よくて……。

 ショウ君との生活も楽しくて……。

 出て行く気なんか全然ないけど……。

 でも、さっきみたいなショウ君も受け入れないと……、

 ここにいちゃいけないのかな?」

サトシは、ん~と考えます。

考えても……なかなか結論はでそうにありません。

リスはどうしたものかと首を捻りました。



自分の部屋に戻った野獣は、大きな溜め息をつきました。

「私は言った!言えることは全部言った!

 思い残すことは……。」

ない、と言い切れない自分に歯噛みします。

「何が足りなかった?」

野獣は顎を擦ります。

「言葉では……あれが精一杯だった。

 私の誠意は伝わったはずだ!」

ウロウロと部屋の中を行き来します。

落ち着いて座ることなんかできません。

「花でも持って行けばよかったか?

 それとも、サトシの好きな果物……。」

野獣は小さく首を振ります。

「いや、サトシは女じゃない。

 そんなことをしても無駄だ。

 じゃ、何をすればいい?」

野獣は、ハッと目を開きます。

「そうだ!手紙を書こう。この気持ちを手紙に託せば……。」

野獣は机に座ると、紙とペンを取り出します。

サラサラと書き始めますが、しばらく書くと、

眉間に皺を寄せ、ん~とペンの背で額を掻きます。

「まことに、愛するサトシよ。君こそ私の半身であり……違う!

 ……二人きりでいつまでもいつまでも話していたい気がします。

 そうしてkissしてもいいでしょう。嫌ならよします……これも違う!

 こんなどこかで聞いたことあるような文じゃダメだ!」

野獣はペンと紙を壁に投げつけます。

「あ~あ、それじゃいつまで経っても返事なんかもらえないでしょう?」

振り返ると、リスが扉の前に立っています。

「う、うるさい!」

「サトシ様は悩んでますよ。

 ここにいたいけど、王子の想いを受け入れないといられないのかって。」

「そ、それは、私の気持ちは受け入れられないと……そう言うことか?」

「違うでしょう。初めてのことでわからないのはサトシ様も一緒ってことです。

 ここは……意識させてみるのがいいんじゃないでしょうか?」

「意識……?」

「そうです。腰を擦りつけるなんて直接的なやつじゃなく……例えば……。」

リスは野獣の体を駆け上ると、耳元でコショコショと話します。

「そんなので上手くいくのか?」

「やってみなければわからないでしょう?

 とりあえず、手当たりしだいにやってみるんです!」

リスは腰に手を当て、顎を上げます。

「お前……リスになってからの方が、態度が大きくないか?」

「そうですか?体は小さくなりましたけど。」

リスは笑って、ベッドから飛び降ります。

「善は急げ!準備して来ますから、王子も用意してください!」

「……急いては事を仕損じる……とも言うぞ?」

「それは王子のしたことです!」

「う、うるさい!準備なんて魔法でやってしまえばすぐだろ!」

「私の魔力もそんなに強くはありませんから……。

 肉体労働です!」

リスは扉の前まで走り振り返ります。

「ちゃんと準備しておいてくださいよ?」

リスは心配そうに野獣を見ると、扉をすり抜けて出て行きました。

残された野獣もじっと扉を見つめ、クルッと踵を返しました。

さぁ、上手くいくのでしょうか?










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MONSTER ⑫

MONSTER(やま)


「先ほどは……悪かった。

 あんなことをするつもりじゃなかったんだ……。」

項垂れるように頭を下げる野獣に、サトシは何も言ってくれません。

「本当に本当だ!まさか、あんな行動を起こすなんて、思ってもいなかった!」

そっと顔を上げてみても、サトシの表情は固まったままです。

「もう二度と……あんなことはしない。約束する!

 だから……、このままここに居て欲しい……。

 お願いだから……出て行かないでくれ……。」

野獣はサトシの手を握って、額を擦りつけます。

今、野獣にできる精一杯の誠意です。

「体の具合は……悪くないの?」

サトシの声は小さく、か細かったけれど、野獣は嬉しさのあまり、勢い込んで顔を上げます。

「だ、大丈夫だ。なんともない。ほら、ピンピンしてる!」

野獣は立ち上がると、両手を広げ、屈伸して見せます。

「おいらを……騙したの……?」

サトシの顔は暗く、誤解しているのは明らかです。

野獣はブンブンと首を振ります。

それこそ、首が取れてしまうんじゃないかと思うほど、大きく振ります。

「私がお前を騙すわけがない!」

「じゃ、どうして……?」

野獣は考えます。

素直に話せば……この苦しい胸の内を話すことになります。

サトシを異性のように見ていること……。

だからあんな行動に出たこと……。

サトシはどう思うだろう?

先ほどのように、蹴り飛ばされるか。

気持ち悪がられるか……。

どちらもゾッとします。

考えただけで、冷や汗が出てきます。

「やっぱり……具合、悪いんじゃない?」

サトシの指が、野獣のこめかみ辺りに触れます。

ビクッとして、野獣が体を引きます。

「ほら、汗掻いてる……。熱があるんだよ。」

サトシは野獣の汗の付いた中指を、親指で擦ります。

熱……。

確かに熱はあります。

サトシを思うと体中が火照って、胸がギュッと締め付けられて苦しいのですから、

病気と言ってもいいのかもしれません。

「たぶん……病気ではない……。」

野獣はサトシを見上げます。

「病気じゃないなら、なんなの?」

「苦しくて……胸が締め付けられて……体が……熱くなる……。」

「それは間違いなく病気だよ!」

サトシが膝をずらして、野獣の額に手を当てます。

「まだ熱は出てないみたいだね?」

野獣は深く息を吐き、サトシを見つめます。

「どうか……黙って聞いて欲しい……。」

サトシは小さくうなずいて野獣を見上げます。

「目を瞑っても……サトシの顔がチラついて、消えてくれない。」

「え……?」

サトシがきょとんと首を傾げます。

「そうすると、苦しくて、息もできなくなる。」

サトシは言われた通り、黙って野獣の言葉を聞いています。

「サトシが側に寄れば……体があんなことになって……。」

野獣は下唇を噛んで言葉を続けます。

「自分でもどうしたらいいのかわからなくなる。」

「それって……。」

サトシがじっと野獣を見つめます。

「サトシのことを考えると、心臓が恐ろしいほど早く大きく鳴って……。」

「ショウ……君?」

「私は……いったいどうすればいい?」

野獣のルビーの瞳は、心細げに揺れています。

「こんなことを言われても困るだけだな……、わかっている。」

「ショウ君……。」

「気持ち……悪いか?ただでさえ、この見た目だ。

 しかも男同士……。」

「そんなことないよ。」

サトシが心配そうに野獣を見つめます。

「あんなことまでしようとしたんだ。

 気持ち悪がられても仕方ない……。」

「気持ち悪くなんかないよ。」

「無理するな……わかっているから……。」

野獣は立ち上がって、サトシに背を向けます。

「ただ……誤解されたくはなかった。

 あんなことを……誰にでもするわけじゃない。

 初めてなんだ……初めて……感じたんだ。」

野獣は振り向かずに言います。

「誰かを……欲しいと思うのなんて初めてで……。」

野獣は天井を見上げます。

「どうしたらいいのかわからないんだ。」

しばらく動かない野獣の背中を、サトシが見つめ続けます。

何も言ってくれないサトシに、ホッとしたような、がっかりしたような気持ちになって、

野獣が扉に向かって歩き出します。

「待って!」

サトシが叫びます。

「待って……。」

野獣がゆっくり振り返ると、

眉尻を下げ、困ったような顔のサトシが、野獣を見つめていました。

「……少し考えさせて……。

 おいらも、まだ頭がパニクってて……。

 冷静に考えるから……。

 だから、少し一人にして欲しい……。」

「一人に……。」

「うん。」

「……出て行ったりはしないと……それだけは約束してくれるか?」

「……うん。黙って出て行ったりはしないよ。約束する。」

「……わかった。」

野獣は一人、サトシの部屋を後にします。

いつまで一人にすればいいのか……。

その結果、出て行くと言われたらどうしよう……。

野獣の胸の内には、悶々とした思いが広がって行きます。

でも、待ってくれと言われたら、待つしかありません。

その結果が、野獣にとって、さらに苦しいことになったとしても……。










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MONSTER ⑪

MONSTER(やま)



頭を抱え、項垂れる野獣の前に、リスがやってきます。

リスを見つけた野獣は、イライラをぶつけるように怒鳴り散らします。

「ええい!あっちへ行け!今すぐ出て行かないと喰ってしまうぞ!」

リスはびっくりする様子もなく、首を傾げます。

苛立っている野獣は、フンッとばかりにリスを手で払い退けます。

けれど不思議なことに、払い退けたはずのリスがベッドの上にまだいるのです。

今度は反対の手で払い退けます。

しかし何度払ってもリスは一向に飛ばされて行きません。

「イライラするのもわかりますが、今はやることがあるでしょう?」

誰もいないのに、声が聞こえます。

「だ、誰だ!」

「はぁ……、私の声も忘れてしまいましたか……。」

野獣は部屋中を探し回ります。

ですが、この部屋にいるのは先ほどのリスと野獣だけです。

「まさか……。」

野獣はリスを見つめます。

「お前も……魔法で……?」

野獣はベッドの上に胡坐を掻くと、リスに手を差し出します。

リスは、ツツーッと野獣の手を駆け上ると、肩の上で立ち止まります。

「私です。魔女です!確かに久しぶりですけど……。

 思い付きもしないなんて、ひどい!

 やっと魔力が回復してきたから来てみれば……。」

リスがチラッと野獣を見上げます。

「まさか、襲い掛かろうとして蹴られてるなんて……。」

「う、うるさいっ!」

野獣は自分の肩に向かって吼えます。

「威嚇しても無駄です。ほら、さっさといってらっしゃい!」

「い、行くって……。」

「決まってるでしょう?サトシのところですよ。」

「お、お前が呼び捨てにするな!」

リスは深い溜め息をつきます。

「私にそんなことを言ってる時間があったら、さっさと行って謝ってしまいなさい!」

リスの目が少々吊り上がります。

「謝るって……。」

「素直に自分の気持ちを話せばいいんです。」

「ど、どうやって……。」

リスの目がさらに吊り上がります。

「そんなこと自分でお考えください!仲直りしたいんでしょ!」

「そうだけど……。」

「だったら、さっさと行く!考える前に行動!」

野獣は泣きそうな声で言います。

「考える前に体が勝手に動いて……それでサトシを怒らせたんだぞ!」

「それは、本能で動いたからです!」

リスは腕を伝ってベッドに下ります。

「心で動いてごらんなさい。そうすれば、きっと伝わります。

 あなたの本当の姿を見ても、ちゃんと正面から見てくれた方です。

 大丈夫。サトシ様はわかってくれます。」

それでもまだ渋る野獣に、リスが頬を膨らませ、小首を傾げます。

「このままでいいんですか?」

野獣は大きく首を振ります。

ブンブン、ブンブン振ります。

「だったらほら行って!」

リスが野獣のお尻に噛みつきます。

野獣にとっては、蚊が刺したほどにしか感じません。

「行け~~~っ!」

リスが一生懸命、前足で野獣のお尻を押します。

野獣はそんなリスをチラッと見て、短く息を着きます。

「わかった、行って来る。」

このままこうしていても、何も進展しません。

野獣は立ち上がると、振り返ってリスを見ます。

「そうです!勇気を出して!」

「う、うむ……。」

野獣は意を決して部屋を出ます。

サトシの部屋は廊下を真っすぐ行った反対側です。

おずおずと足を踏み出します。

この廊下が、こんなに長いと思ったのは初めてです。

サトシの部屋が近づくにつれ、また心臓がドクドクと唸り始めます。

何て言おう。

何と話せばわかってもらえるか。

野獣は頭をフル回転させて考えます。

本来、頭はいいのです。

ですが、どんなに考えても、いい言葉が浮かびません。

本能のままに行動してしまったのは事実。

けれど、そんな行動に出たのも、これが初めてだったのです。

野獣になってからも、何人もの人間がこの城を訪れました。

若い娘もいれば、屈強な男もいました。

皆、野獣を見ると恐れ慄き、逃げ惑う……もしくは、動けないほど硬直してしまうのです。

サトシと出会ってから、初めてなことばかりです。

とうとう、サトシの部屋の前まで来てしまいました。

野獣は大きく息を吐き、大きく息を吸いこみます。

グッと手を握り、サトシの部屋の扉を叩きます。

ドンドン。

…………。

中から音はしません。

サトシはいないのでしょうか?

もう一度、扉を叩きます。

ドンドン。

やはり、シーンと静まったままです。

まさか、サトシは出て行ってしまったのか……。

そう思うと、野獣の胸がギュッと締め付けられます。

痛くて苦しくて、どうにかなってしまいそうです。

その場に崩れ落ちそうになります。

それを、グッと胸を掴んで耐えました。

すると、扉がカチャッと音をさせます。

細く開いた扉の隙間に、サトシが見えます。

「サトシ……。」

野獣はサトシを見つめます。

「話がある……。」

サトシは何も言ってくれません。

「入っても……、いいか……?」

サトシは何も言わず、扉から離れます。

開いたままの扉に、野獣は思い切って踏み込みました。

サトシは、ベッドに腰かけ、こちらを見ています。

恐る恐る近づく野獣を、サトシは身動ぎせず、見つめています。

野獣はサトシの前まで来ると、跪きました。










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MONSTER ⑩

MONSTER(やま)



野獣は部屋に戻るとベッドに体を投げ出しました。

この苦しさは、どうすればいいのでしょう。

ボーっと天井を見ていても、先ほどのサトシの顔が浮かびます。

サトシの顔が浮かぶと、ドキドキして、息が上がって、

もう、自分をどうしていいのかわからなくなるのです。

一人になった方が楽になるかと思ったのに、

一人になった今の方が、苦しさが募ります。

野獣は目を瞑って、目の上に腕を掲げます。

「私はいったいどうなってしまったんだ……。」

一人つぶやくその瞼には、やはり覗き込んだ時のサトシの顔が張り付きます。

野獣は体を捩って抵抗します。

「ええい!いなくなれ!私を一人にしてくれ!」

けれど、いなくなるどころか、

キッチンに立つサトシや、薔薇を見るサトシが次から次に溢れて来ます。

「サトシ……。」

野獣は深い溜め息をつきます。

すると、扉を叩く音がします。

この城には野獣とサトシしかいません。

「ショウ君……入っていい?」

少し開けた扉から、サトシが顔を覗かせます。

「う、うむ……。」

野獣は平静を装って答えます。

サトシのことを考えて身もだえていたなんて、言えるわけがありません。

「だいじょうぶ?具合、悪い?」

サトシがベッドに近づいてきます。

野獣の心臓が、バクバクと音を立てて鳴り始めます。

「だ、大丈夫だ。」

「ほんとに?」

サトシはベッド脇に立つと、野獣のおでこに手を当てます。

「熱は……ない?」

「私は、か、風邪などひいていない!」

「でも、顔が赤そうに見えるよ?あんまりよくわからないけど……。」

そう言って、サトシは顔を近づけます。

野獣の顔がカァーッと熱くなります。

息をするのも苦しくなります。

「ダ、ダメだ。来るな!」

「大丈夫。おいら結構強いから、風邪とかうつんないよ。」

サトシはさらに近づきます。

野獣は顔を背け、ギュッと目を瞑ります。

まともに見ていたら、このまま本当に病気になりそうだと思ったからです。

「ショウ君、こっち見て。」

サトシが野獣の顎に手をかけます。

「さ、触るな!」

「何か食べれる?水飲む?」

サトシは話し掛け続けます。

野獣の心臓は、もはやピークです。

顔の熱さは、真夏の炎天下並みです。

野獣は思い切ってサトシの方を向きます。

サトシはホッとして、ニコッと笑います。

「何でも言って。何か欲しいものない?して欲しいことある?」

欲しいもの……。

野獣はグッと腕を伸ばしてサトシを抱き寄せます。

もちろん力いっぱいではありません。

ほんの少しの力で、サトシを包むように腕を回します。

「ショウ君……?」

「私が欲しいのは……。」

「……?」

サトシは野獣の胸元で首を傾げます。

何も言えなくなる野獣に、サトシも腕を回して抱きしめます。

「大丈夫。一人じゃないから心配しないで。

 ずっと一緒にいてあげるから、今日は甘えていいよ。」

「…………。」

サトシは優しく野獣の頭を撫でます。

まるで弟にするみたいに。

弟ならば……少しくらい我が儘を言ってもいいのではないか?

野獣はそう思い、勇気を出して言います。

「このまま……一緒に寝て欲しい……。」

「添い寝?」

サトシが、んふふと笑います。

「しょうがないなぁ。いいよ。その代り、ちゃんと寝るんだよ?」

サトシはベッドに入り、野獣の下敷きになっていた上掛けを引き抜きます。

「ほら、ちゃんと掛けて……。

 でないと治るものも治らない……。」

そっと上掛けを野獣に掛け、自分もその下に潜り込みます。

野獣がサトシの方に体を向けると、サトシは片手で野獣を抱き寄せます。

「ゆっくりお休み……。」

サトシは優しく笑い、野獣の肩をポンポンと叩きます。

その振動はまるで母の胎内にいるように安らげて……。

安らげ……。

安ら……。

……どうしたことでしょう。

安らげるはずの添い寝に、野獣の心臓は爆発しそうなほど昂ります。

今にも破裂しそうです。

「どうした?苦しい?」

心臓の音がサトシにも伝わったのか、サトシが心配そうに野獣を見つめます。

心臓だけではありません。

顔も、手も、足も、全てが熱くたぎっています。

サトシに触れている肩や腕などは、灼熱の炎です。

「あ~、熱、出て来ちゃったかな……。」

サトシがベッドから下りようとすると、野獣の手がサトシの腕を掴みます。

振り返ったサトシをグッと引き込み、ベッドに押さえつけます。

「ショウ君……?」

何が起こっているのかわからず、不思議そうに野獣を見るサトシの首に、

野獣は顔を埋め、抱きしめ、体を擦りつけます。

「ショ、ショウ君!」

サトシの腹の辺りに、硬い熱い物が押し付けられます。

サトシは両手で抵抗します。

「サトシ~!」

尚も縋りつこうとする野獣を、サトシは足で蹴り上げます。

「何、さかってんだよ!」

さすがに鳩尾を蹴られ、ウッと呻く野獣が、サトシに向かって叫びます。

「どうしたらいいか、わからないんだ!」

「わかんだろ?それくらい!」

サトシは怒って部屋を出て行ってしまいました。

残された野獣は……。

先ほどまでの灼熱地獄はありません。

逆に、ブリザードが吹き荒れるような寒さを感じます。

「サトシ……。」

扉に向かって呟くも、サトシはとうにいません。

「私は……サトシを異性のように……?」

愕然とする野獣のベッドの下で、リスの尻尾がチラッと見えました。










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プロフィール

tepo

Author:tepo
アメブロでメインに活動しています。

嵐の大野君が大好きで、山LOVEです♪
腐っているので、ご理解のある方、
また成人女性限定でお願いします。

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kissからはじめよう
    ↓
 Step and Go
    ↓
  果てない空

の順で続いています。
それぞれでも楽しめるようになっていますが、順番に読むと5人の成長がよりわかるのではないかと思います。

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