TRIP 腐的妄想

某5人組アイドルの腐的(BL)妄想小説です。成人女性限定でお願いします。

コイゴコロ 中

短編(いろいろ)



映画は予想通り面白くて。

アクションもすごいし、ちょっと画面が揺れ過ぎで、見辛いなと思ったけど、

グッとくるシーンもあって……。

不覚にもじわっと目が霞んだ。

智の前で泣くなんてカッコ悪いから、なんとか頑張ったけど。

エンドロールが流れて、チラッと隣を見たら、流れる涙もそのままに、

智が画面に見入ってた。

涙に画面の光が反射してキラキラ光って……。

思わず抱きしめたくなった。

俺の胸で泣けばいい、そう思ったけど、できなかった。

ずっと見ていたい……そんな涙だったから。

エンドロールが終わって、会場に明かりが点く前に、智は顔を隠して涙を拭った。

顔を背けた時の、捻った首筋に掛かる髪が……色っぽいって思った。

「お前、泣いてただろ?」

顔が熱くなって、なんだか照れ臭くなって、

俺の方を向いた智にそう言うと、智は隠す様子もなく口を尖らす。

「泣いたよ。いい映画だったじゃん。」

「うん、俺も実はじわっときた。」

「やっぱ?」

智が嬉しそうに笑う。



智は……櫻井の前でもそうやって泣く?

泣ける?



俺らは映画の話をしながら、辛いと評判のラーメン屋に向かう。

智は辛い物好き。

学校の近くの辛いラーメン屋にも一緒に行ったりするんだけど、

辛い物食べてる時の智は、なぜか可愛くなるんだ。

ガツガツ食べてるだけなんだけど。

店に入って、すぐに辛さレベル9のラーメンを注文する。

辛い辛いと言いながら、美味しそうに食べる姿はやっぱり可愛い。

男っぽかったり、色っぽかったり、可愛かったり。

いろんな顔を持つ智。

そんな智を好きになった俺。

ラーメン食べ終わって告白ってのも、イマイチ?

女の子相手なら、公園にでも行って、雰囲気作ったりするんだろうけど、

相手は高校生男子。

雰囲気なんて、どうやって作る?

俺は手をギュッと握り込む。

さっき会ったお兄さんにもらったパワー。

きっと俺にも勇気をくれる!

「あ、あのさ。」

ラーメンを食べる手を止めて智をチラッと見る。

「ん~?」

智は丼を見つめたまま、箸を動かす。

「お前、好きなやつ、いる?」

智はズルズルッとラーメンを啜る。

口の中でモグモグさせながら、俺の方に顔を傾ける。

「……なんで?」

「俺……いるんだ。」

口の中のラーメンを飲み込むと、水に手を伸ばす。

「へー、知らなかった。」

ゴクゴクと水を飲み、ぷはぁ~と息を着く。

「やっぱ辛ぇな?」

「辛い!」

俺は智と違ってレベル5だけど、それでもやっぱり辛い。

「辛いけど旨い。」

智がにっこり笑う。

誰にでも向けられる優しい顔。

でも、それを、俺は俺だけのものにしたい……。



ラーメンを全部平らげた智が、俺の方を見て、水を飲む。

「どうする?この後?」

俺も水を飲みながら聞く。

智は壁に掛かった時計を確認する。

9時10分。

遅いとも早いとも言えない時間。

智が何も言わないから、俺が智を誘う。

「俺さ、ツタヤ行きたい。」

「ツタヤ?」

「欲しいCDがあるんだ。」

「いいよ。」

智が立ち上がる。

俺も立ち上がって、一緒にレジに向かう。

もうちょっと一緒にいたいと思うのは……俺だけ……なのかな?



ツタヤで俺がCDを物色していると、智も片耳だけで何か聞いてる。

「何聞いてんの。」

俺が隣に並ぶと、智がヘッドホンを俺に差し出す。

耳に当ててみる。

さっき聞いたエンディングが耳に飛び込んでくる。

驚いて智に向かって、手に持ってるCDを見せる。

俺が買いたかったのも、同じやつ。

「さっきのエンディング、よかったな。映画に合ってた。」

「うん。曲だけでもカッコ良くていいんだよ。」

嬉しくなって顔が綻ぶ。

智と同じ物を同じように感じてる。

それだけで、こんなに嬉しい。

「携帯に入れたら、貸そっか?」

「ああ、いい。俺も買うわ。」

智が並べてあるCDを一枚掴む。

なんか、映画を観た記念に二人で同じ物を買ったみたいで……。

「何、ニヤけてんの?」

「ニヤけてなんてないよ。」

「そっか?」

智が笑う。

あの優しい顔で。

思わず言葉が零れる。

「俺、智が好きだ。」

「ん?」

智が、何か言った?みたいに顔を上げる。

俺はギュッと拳を握って、智を見つめる。

「俺、智が好きだ。」

言葉の調子で……智にもちゃんと通じたみたい。

これが、友達に向かって言ってるんじゃないってこと。

智は、困ったように眉間に皺を寄せる。

「ごめん……。」

え?返事早すぎじゃない?

もうちょっと考えてくれてもよくない?

「ごめんって……ダメってこと?」

「んまぁ……そうだな。」

「男だから?」

「そういうわけじゃねぇよ。」

「好きな人が……いるから?」

智がさらに困ったように眉尻を下げる。

そんなの知ってるよ。

でも、言わずには終われないから、俺の気持ち。










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コイゴコロ 上

短編(いろいろ)



「やっと来た。」

こっちに向かって、ゆっくり歩いて来るあいつが、人込みで見え隠れする。

猫背にがに股。

のっそり近づいてくる姿は、色気なんてあったもんじゃない。

さっき、お兄さんに嘘ついちゃったかな。

それでもじっとあいつを見て、あいつが近くなるのを待つ。

柔らかそうな髪が風で靡く。

陽ざしを浴びて、丸みを帯びた頬が眩しい。

「遅いよ。」

あいつに向かって声を張る。

「遅くねーよ。まだ5分前。」

あいつは、大声を出すでもなく、ゆっくり携帯で時間を確認する。

せかせかと歩くわけでも、ひょいひょいと人を交わすわけでもないのに、

この人込みの中、あいつは真っ直ぐ歩いて来る。

不思議なんだよなぁ。

あいつの前に少しだけ空間ができて、ゆっくりそこに進むと、その前も少し空いて。

そういう感じが、いつもあいつにはある。

無理することなく、穏やかに。

でも、少しずつ前に進む。

ちょっとは焦ってみろよ!

俺に早く会いたくて、はぁはぁ息、切ってみろよ!

と思う俺の気持ちなんて、わかるわけもないあいつ。

でもね、今日は、決めて来たから。

お前に告白するって。

この気持ちに気付いて丸二年。

最初は信じられなかった。

俺が男を好きになるなんて。

戸惑って、蓋をして一年。

でも蓋出来なくて、悩んで正面から見られるようになって一年。

計二年の俺の想い。

「10分前が本当の集合時間!」

「相葉ちゃんみたいなことゆーなよ。」

お前がクスッと笑う。

相葉ちゃんは俺らの体育の先生。

集合時間にうるさい。

遅れると周りに迷惑かかるからって、しつこいくらい言う。

俺の目の前まで来て、携帯をポケットにしまい、俺を見上げるあいつ。

後から来たのに、「待った?」もなしで、柔らかく笑う。

この顔……好きなんだよなぁ。

穏やかで周りを安心させてくれる笑顔。

がに股で猫背の優しい顔。

「将暉、いつ来たの?」

「俺?さっき。お前が来るの遅いから……。」

「遅くねぇって言ってんだろ。」

俺らは並んで歩き出す。

「間違えて、違う人に声掛けちゃったよ。」

「なに間違えてんの。」

「仕方ねぇじゃん。雰囲気似てたんだから。」

「雰囲気?」

「あっちの方がイケメンだったけど。」

「ばか。俺だってイケメンって言われたことあんだぞ?」

知ってるよ。そんなの。

みんなイケメンだって思ってんだから。

「イケメン?みんなイケメンの意味、わかってんの?」

んはは、と声を上げて笑うあいつ。

イケメンだって思われようが思われまいが、そんなこと興味ないくせに。

お前が興味あるのは……。

駅前を抜けて、映画館への道は、やっぱり人が多い。

今日は一緒に映画を観る。

今話題の邦画は忍者映画なんだけど、原作が好きで興味が沸いて、

予告を見たら、カッコいいし、面白そうだし。

で、こいつ……智を誘ったら、いいよって。

信号を渡って右が映画館。

「今日、櫻井は?」

俺が聞くと、ん?って俺を見上げる智。

「櫻井?知らねぇけど?」

なんで俺に聞くんだ?って訝しそうな顔。

「あいつも誘ったの?」

「ううん、誘ってないけど……知ってるかなと思って。」

「知らねぇよ。俺、あいつとそんな、仲良くねぇもん。」

智がプイッと顔を背ける。

そうだよね。俺も最初はそう思ってた。

智は櫻井が苦手なんだろうって。

櫻井がいる時の智は、優しい顔で笑わない。

無表情で、いつも以上に口数が少なくて……。

櫻井自体が不愛想だから、仕方ないかって思ってた。

でもさ、俺、お前をずっと見てるから……気づいちゃったんだよ。

お前の表情(かお)が少しだけ変わる瞬間。










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ふたりのカタチ (181)

ふたりのカタチ(やま)【181~ 】


「初めて知ったのは個展の記事だったかな?」

「個展……?」

去年の個展。

初めてやらせてもらった、おいらにとっては大きな出来事。

おいらには分不相応なくらい大きな個展で、

ショウ君に背中を押してもらって、やっとやろうって思えて。

まさか、あんなにたくさんの人に見に来てもらえるなんて思ってなかったから。

いくつかの雑誌で取り上げてもらったけど、あの中の一つ?

「その記事の中に、抱き合う二人の写真があってね、

 どう見てもスタッフや友達には見えなくて……。

 テキストには深く触れてはなかったんだけど、

 友人から大野さんはカミングアウトしてるって聞いて……。」

「いや、カミングアウトなんて……。」

それってゲイってことだよね?

おいら、そういうのとは違うと思うんだけど……。

「でも、さっきみたいに隠してないんでしょ?」

「ショウ君のことなら……隠す必要ないから……。」

おいらはショウ君を見上げる。

「そうだよ。隠す必要なんかない。好きな人を好きと言って何が悪い?」

ショウ君の自信満々な言い方!

おいらは思わずクスッと笑う。

いつでもショウ君は自分に正直に行動する。

自分のすることに自信と誇りを持ってる。

例えそれが、世間からは間違ってると言われるようなことでも、

自分の信念を貫く。

カッコ悪くても、蔑まれても、堂々と。

きっと、辛いことだってあるはず。

自分を通すってそんなに簡単なことじゃない。

周りに流されちゃった方が楽なことはたくさんある。

流されて、自分を変えちゃった方が楽なこと……。

それでも、自分を通すショウ君。

あんまり堂々としてるから、周りが、あれ?俺らが間違ってる?って思っちゃうくらい。

だから、引き寄せられちゃうんだろうな。

ショウ君に着いて行くし、ショウ君を信頼する。

そんなショウ君はおいらの自慢。

「悪くなんかない。むしろ、それが正しい姿だと思いますよ。」

おいらがぼぉっとショウ君を見ていると、

SHOさんがやけにきっぱりとそう言い切る。

そうでしょう?と言いたげに、ショウ君が満足そうにうなずく。

「だから……俺も、公表したいと思ってる。」

え……?

公表って……。

アイドルが?

「そ、それは……おいら達と違って、SHOさんは仕事が……。」

おいらがSHOさんを見つめると、SHOさんも小さくうなずく。

「そう。多分にリスキーなのはわかってる。」

「リスキーどころか……。」

ショウ君も目を見開いてSHOさんを見る。

「仕事がなくなるかもしれない。」

SHOさんはおいら達から顔を逸らして、部屋の隅の方に視線を投げる。

「それでも……このままよりは……。」

SHOさんの声が重い。

それくらい考えて、悩んでるんだ……。

「相手の人はなんて?」

「……まだ言ってない。」

「じゃ、まずは二人で話し合わないと……。」

SHOさんがおいらに顔を向ける。

「話し合いになんかならないよ。」

「どうして?」

「ダメだって言われるに決まってる。」

自信なさげなSHOさん。

テレビでなんて見たことない、頼りなげで抱きしめてあげたくなるようなSHOさん。

「言ってみないとわかんないよ?」

おいらが身を乗り出すと、おいらの後ろからショウ君が言う。

「結婚するってことですか?」

「結婚はできない……。」

SHOさんは情けない顔のまま、顔を伏せる。

結婚もできないのに、公表?

「そんなの無理に決まってる。結婚する意思もないのに公表なんて。」

「意思がないわけじゃない。」

「でも、しないんでしょ?」

ショウ君の語気が荒くなる。

でも、待って。

それでおいらに聞きたいって……。

「相手は……男の人?」

SHOさんが顔を上げてうなずく。

「男?」

ショウ君が、グッとおいらを引き寄せる。

それを見て、小さく笑うSHOさんは、おいら達を見ながら、小さくつぶやく。

「しかも、メンバー。」

「メンバー?」

SHOさんはうなずいて、また部屋の隅に視線を投げる。

アイドル二人の、しかも男同士って……。

「そんなの事務所だって……。」

「反対するよね?」

「ファンだって!」

「ショックだよね……。」

おいらはショウ君を見上げる。

ショウ君は黙ってSHOさんを見つめて、静に口を開いた。










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ふたりのカタチ (180)

ふたりのカタチ(やま)【161~180】



「じゃ、俺、向こうの様子見てくるから。」

ショウ君が部屋を出て行く。

「うん。」

おいらはショウ君を笑顔で送り出したけど、

一度閉まりかけたドアが、また開く。

「……油断、しないでね。」

ショウ君がチラッとSHOさんを見る。

SHOさんは、やっぱりクスクス笑ってて。

もう!ショウ君、ほんと心配症なんだから!

でも、愛されてるってことだよね?

おいらは笑顔でうなずいて、ショウ君を見送る。

パタンとドアが閉まって、見ていたSHOさんが声を上げて笑い出す。

「あはは。本当に心配でしょうがないんだね。」

おいらは何て言っていいかわからず、頬をポリポリ掻く。

「はぁ……。」

「普通は男同士で心配なんてないもんだけど、二人の関係を思えば仕方ないのかな?

 確かに大野さんには男だとわかってても、そそられる雰囲気があるし……。」

SHOさんの綺麗な瞳で見つめられて、ドキッとする。

さすが、どの角度から見てもイケメンてすごい!

ショウ君だって、どの角度からでもイケメンだよ?

顎の下からだって、イケメンなんだから!

「もしこのまま……。」

SHOさんがおいらの隣にやってくる。

おいらの背中に手を添え、ソファーへ促してくれる。

スマートなエスコート。

さすがっ!

「僕が大野さんを口説いたら……。」

ソファーに座らされ、隣に座ったSHOさんがおいらの二の腕を掴む。

バタンとドアが開いて、二人で振り返ると、ショウ君がツカツカと入って来る。

「ショウ君?」

「油断も隙もない。」

そう言いながら、ショウ君はおいらを掴んだSHOさんの手を払い退ける。

SHOさんが大きな声で笑い出す。

「あはははは。すごいね?ドアの向こうで心配で聞いてたんだ?」

SHOさんは手で口を覆いながら、おかしそうに笑い続ける。

「聞いてなんていませんよ。何というか……ピンと来るんです。」

「すごいね。テレパシー?高性能センサーみたいだね。」

SHOさんは笑いながら、おいらの体の周りをじろじろと見る。

「な、何もないですよ。」

おいらがもじもじ体を小さくすると、SHOさんが楽しそうにおいらの腕を叩く。

その手をパシッと払い退け、おいらを抱き込むショウ君。

「え?こういうのもダメ?」

「ダメです。」

ショウ君は当たり前だと言わんばかりに、おいらを抱きしめ、うなずく。

SHOさんは楽しそうに笑い続け、おいらはちょっと困って……。

ショウ君、ちょっとやり過ぎだよね?

仕事なのに……。

ショウ君に、メッと目で叱ってみたけど、ショウ君の顔が段々ニヤけていく……。

なんで?

「ショウ君、わかってる?これも仕事なんだよ?」

「サトシの仕事は絵を描くことで、体に触られる必要はないんだよ。」

ニヤけた顔でそんなこと言われても……。

「そうだけど、これくらいは親しみの表れで、おいらはそんなに嫌じゃないよ?

 前にショウ君だって、背中と二の腕はOKって言ったじゃん。」

ショウ君は目だけを上に向けて考える。

「そうだったっけ?」

「そうだよ。」

SHOさんはおいら達のやりとりを見て、やっぱりクスクス笑ってて。

「すみません……。ショウ君、心配性なんです。」

SHOさんは、やっぱり手で口元を隠すように笑って、おいらの方に向き直る。

「大野さんに聞いてみたいことがあったんだけど、二人一緒に聞いてもらおうかな。」

「聞きたいこと?」

おいらが首を傾げると、ショウ君もおいらを見て、首を傾げる。

「俺ね……、付き合ってる人がいるんだけど……。」

おいらとショウ君は顔を見合わせる。

アイドルの恋愛事情なんて、聞いちゃっていいもの?

「ああ、もちろん、ここだけの話でね。

 二人は信用できると思って、話してるんだよ。」

「はぁ……。」

なんか……聞いちゃっても大丈夫なのかな?

おいらがショウ君を見上げると、ショウ君も慎重な顔付きになる。

「どうしたらいいかわかんなくなってきちゃってて……。」

なんだろ……普通に恋愛相談……なのかな?

「何か……あったんですか?」

「何も……。」

SHOさんが、遠い目をする。

「付き合って……結構長いんだよ。

 もちろん、こんな仕事だから、内緒だし。」

誰にも言えない関係……。

二人で待ち合わせしたり、出かけたりできない二人……。

可哀想……。

「そんな顔しないで。それでもいいって二人で決めたことだから。」

ショウ君がおいらの肩に手を掛ける。

SHOさんが目を細めて優しく笑う。

「でも、だんだん、お互い忙しくなってきてね……。」

すれ違い……?

生活のすれ違いが二人の距離を作ってる?

「そんな時、大野さんのことを知ったんだ。」

おいら……?

すれ違った二人に……おいらが何かできるの?










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ふたりのカタチ (179)

ふたりのカタチ(やま)【161~180】


「サトシ、準備はできた?」

「うん、今。」

メイクさんが、最後の仕上げをして、おいらの首から布を取る。

ショウ君がおいらを上から下までじっと見て……。

「いいね。白いセーター、似合ってる。」

ニコッと笑う。

それを見て、クスクス笑うSHOさん。

おいらは目でショウ君に合図する。

すると、ショウ君はピッカピカの営業スマイルでSHOさんの方を向く。

「本日は、大野をよろしくお願いします。

 大野は絵を描くこと以外、ほとんどしたことがありません。

 伝えることも得意ではないので、フォローして頂けると助かります。」

「もちろんです。」

SHOさんがにっこり笑う。

「ですが、そんなに心配することはないと思いますよ?」

SHOさんは立ち上がってショウ君の方へ行く。

「大野さんの感性は、不器用な言葉の中にも見え隠れしています。

 そこが、見る者に共感を与えるんじゃないかと思っているんです。」

SHOさんの煌びやかな笑顔がショウ君に向けられる。

ショウ君でさえ、圧倒されてる。

さすが、国民的アイドル!

ぼぉっとその笑顔に見惚れていたら、SHOさんがおいらの方へ歩いて来る。

おいらはまだ、メイクさんに髪を弄られてる最中。

「この見た目だけでも十分、カメラ映えしますけどね?」

SHOさんが、おいらの肩に手を掛ける。

ピクッとショウ君の目が吊り上がって、ショウ君もおいらの方へやってくる。

SHOさんの手を払い退けようとした時、SHOさんの手がおいらの肩から離れる。

SHOさんの指に摘ままれたおいらの髪の毛。

「白いセーターだから、目立ちますね?」

またまたにっこり笑うSHOさん。

「ええ、僕も気付いて、今、取ろうと思ったところです。」

ショウ君の手がおいらの肩を、ささっと払う。

「本当に似合いますよね、セーター。

 この間の黒のセーターもよかったけど、白もまたいい。」

そう言えば、さっきSHOさんにも褒められたっけ。

二人を見上げると、バチバチと音がしそうなショウ君とSHOさんの視線。

ショウ君、SHOさんは褒めてくれただけだから!

おいらの髪をセットし終わったメイクさんが、おいらの顔をいろんな角度から見る。

「これでどうでしょう?」

メイクさんの声に、ぶつかっていた二人の視線がおいらに向く。

バチバチしてた目のままでおいらを見る二人。

そんな目で見られたら、おいら、困るから……。

下を向いたままでいたら、二人は思いっきり営業用の声で言う。

「うん。メイクなんかする必要ないけどね。

 照明があたるから、これくらいでいいんじゃないかな。」

「もう少し前髪を上げましょうか?顔がはっきり見えた方が……。

 おでこのホクロが見えるくらい……。」

ショウ君のこめかみがピクッと動く。

「大野は見た目で売る気はないので、あまり顔を出さなくても……。」

「せっかくこんなに綺麗なのに?

 今回は大野さんがイラストを描いてる映画にも少し触れる予定です。

 いろんな人に興味を持ってもらった方がいいのでは?」

また二人の視線が絡み合う。

おいらも困ったけど、メイクさんも困ってる。

「こ、このままでいいです……。あんまり顔出すと恥ずかしいし……。」

「では、撮影で、顔が暗くなるようなら、もう少し上げますね?」

おいらはうなずいて、小さな声でお礼を言う。

メイクさんはパタパタとメイク道具をしまっていく。

二人は取り繕うように会話を続ける。

「大野さんとは小さい頃からの付き合いだと伺いましたが……。」

「ええ、そうなんです。幼馴染ですから……。」

牽制し合う二人の視線……。

会話は何気ない日常会話なんだけど、

空気はピキピキ、パキパキ言ってるような……。

う~、どうしたらいい?

メイクさんが、メイク道具は置いたまま、どこかへ行ってしまって……。

三人だけになると、部屋中の空気が固くなる。

「少し……大野さんと二人で打ち合わせしたいのですが。」

SHOさんがにっこり笑う。

うわっ!グラビアみたい!

「二人で?」

ショウ君の目が三角になっていく。

あ……ショウ君、大丈夫?

「ええ、ここで。……少し、外してもらえませんか?」

「二人っきりでっていう、意味がよくわかりませんが?」

ショウ君、冷静に返事してるけど……。

「二人だけの方が、親しみも沸きますし、もっとフランクに話もできます。

 その方が、仕事もスムーズに進むと思いますが?」

「そうでしょうか?

 大野はご存じの通り、喋りベタですから、SHOさんのご期待にそえるかどうか……。」

「大丈夫です。そこは僕に任せてください。僕では何か心配なことでも?」

「いえ、そんなことは……。」

ショウ君がチラッとおいらを見る。

「少しプライベートなお話もさせて頂きたいので、できるだけ少人数で話したいんです。

 櫻井さん、少し出ていてくれませんか?」

「ショウ君……。」

ショウ君は心配してるんだよね?おいらのこと。

たぶん、そんな心配、必要ないと思うけど……。

「おいら、大丈夫だから、少し出てて?」

「サトシ……。」

「仕事だもん。」

おいらはショウ君の隣に並んでSHOさんを見つめる。

「すみません。櫻井はおいらを心配してくれてるんです。

 いつも心配ばっかり掛けてるから……。」

「サトシ……。」

ショウ君がおいらの背中に手を添える。

SHOさんに見えないように、気を遣ってくれてる。

「みたいですね。心配でしょうがないみたいだ。」

SHOさんがクスッと笑う。

「櫻井が心配してくれるのは……おいらのパートナーだからです。……人生の。」

「人生の?」

SHOさんが噛みしめるようにそう言って、おいらを見る。

おいらはうなずいてショウ君を見上げる。

ショウ君の満面の笑み。

釣られておいらも笑顔になる。

「はい。届けも出しました。もう家族なんです。」

これで……SHOさんにも伝わったかな?

結婚とは違って、夫とか妻とか言う言葉がないから、説明するのが難しい。

パートナーって言っても、きっとわからない人もたくさんいる。

同性同士なんて頭にない人達には、仕事のパートナーもパートナーだし……。

「届けも……出してるんですね。」

「はい。」

おいらは真っ直ぐSHOさんを見る。

ちょっと驚いてるSHOさんの顔。

「打ち合わせ、お願いします。」

にっこり笑うと、SHOさんも笑顔でうなずいてくれる。

ほらね?やっぱりショウ君の取り越し苦労だよ。

おいらをそんな目で見る人なんて、そうそう多くはないんだから!










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tepo

Author:tepo
アメブロでメインに活動しています。

嵐の大野君が大好きで、山LOVEです♪
腐っているので、ご理解のある方、
また成人女性限定でお願いします。

a Day in Our Life
    ↓
kissからはじめよう
    ↓
 Step and Go
    ↓
  果てない空

の順で続いています。
それぞれでも楽しめるようになっていますが、順番に読むと5人の成長がよりわかるのではないかと思います。

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