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愛と勇気とチェリーパイ(5人)

愛と勇気とチェリーパイ #11 下

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ショウ君が振り返って手招きする。

レジの向こうから店長がひょっこり顔を覗かせる。

その顔の可愛いことと言ったら!

「早かったね。」

ショウ君の声に、店長がにっこり笑う。

「うん。頑張って早く来た。」

店長は真っ直ぐあたしの所にやってくる。

「どうにか間に合った?」

みんなの顔を見渡す。

「全員揃ったところで……。」

ショウ君が音頭を取って……。

「どうぞ、召し上がれ♪」

5つの腕が、あたしに向かって伸びる。

あたしはどうしていいか、照れ臭くって、ロールケーキを見てつぶやく。

「……これ、このまま?」

みんなは顔を見合わせてケラケラ笑う。

「そうだったね。」

MJがナイフを取り出し、食べやすい大きさにカットしてくれる。

「店長がこれ、巻いてくれたんでしょ?」

その間に、あたしは店長に声を掛ける。

「うん……あんまり上手くできなかった……。」

「そんなことないよ。すっごく素敵に出来上がってる!」

「みんなが上手だったからね?」

店長のふにゃり笑顔があたしに注がれる。

ああ……ほんと、この笑顔に会えたら、疲れなんか吹っ飛んじゃうね!

「サトシ君だって、上手だったよ。って、店長は何やってもできるんだけど。」

ショウ君が、店長を見つめながら言う。

ほら、店長を見てると、どんどん目尻が下がってく。

これよ、これ!

これがあたしのエネルギー源!

あ……ショウ君、店長のこと、サトシ君って呼ぶんだ~。

「はい。できた。」

MJがきれいに盛り付けられたお皿をあたしの前に差し出す。

「じゃ、みんなで食べよ?」

あたしが店長に向かって言うと、店長も小さくうなずく。

「うん。おいら味見してないし……。」

店長が真っ先にお皿を一つ取る。

みんなも一つずつ取って、自分の前に置く。

「まだ、営業時間内だから、静かにこっそりね?」

店長が小さな声で言いながらウィンクする。

みんなも小さくうなずいて、あたしを見つめる。

最初の一口はあたしってことね?

あたしは一切れ切ってフォークに乗せると、そっと口へ運ぶ。

しっとりした生地と仄かに甘い生クリーム。

その真ん中で、シャッキリ感を残したリンゴのガロニ。

「はぁ~美味しい♪こんなロールケーキ初めて食べた!」

あたしが絶賛すると、みんなもフォークを口へ運ぶ。

「うん。我ながら上出来?」

ニノちゃんがニヤッと笑う。

「この生地、すげぇ旨い!」

ショウさんが頬を膨らませてもぐもぐする。

「うん。このリンゴも、うまっ!」

店長は次々口へ運んでいく。

「このリンゴの薄いの、すごっ!」

アイバ君がリンゴスライスをじっと見て、感動してる。

「それは俺が切ったし。」

MJが当然と言うように鼻を上げる。

「やっぱMJすげぇ!」

アイバ君が感心しきりでリンゴを見ていると、MJがそのアイバ君の腰に手を回す。

「アイバ君の腰だって、すげぇ切れてるよ?」

アイバ君の耳元で囁くMJの顔!

あの顔で言われて、落ちない人がいますか~?

アイバ君は慣れたもので、ちょっとMJに腰を寄せて、食べ続ける。

それを見たニノちゃんが、店長の腰に手を回す。

何?ニノちゃん、対抗意識?

あたしは楽しさを堪えきれず、顔を崩しながらケーキを頬張る。

「お姉さんも喜んでくれてるみたい?」

アイバ君があたしの顔を見て、さらに笑顔を広げる。

うふふ。そりゃぁ、この状況で喜ばないわけない!

ほら、ショウ君、ニノちゃんの手に気づいた!

ショウ君が、自分のケーキをフォークに乗せて店長の口の前に差し出す。

「あ~ん?」

ショウ君の低く甘い声。

釣られた店長が、

「あ~ん?」

と口を開けると、そこへポコッとフォークを入れる。

ショウ君のフォークから食べる店長の顔は全てが垂れて、子供みたい!

「ん~、おいひぃ。」

口いっぱいに頬張る店長を満面の笑みで見つめるショウ君。

それを見ていたニノちゃんが店長に体を寄せると、奥の席からアイバ君を呼ぶ声。

「あ、俺行ってくる~。」

アイバ君は食べかけのお皿をテーブルに戻すと、マダム達の方へ行く。

「俺も、そろそろ焼ける頃だから。」

MJは自分の皿を持って、キッチンへ戻って行く。

「二人とも、ありがとう!」

二人の背中に向かって声を掛けると、MJは軽く手を上げて、

アイバ君は振り返ってVサインで応えてくれる。

「ほんと、ここのみんなはイケメンな上に素敵♪」

あたしはケーキを口へ頬張って、幸せを噛みしめる。

「そうでしょ?」

店長が自慢げにうなずく。

「本当に今日はありがとう!最高のホワイトディになりました。」

あたしは頭を下げてお礼を言う。

「俺達だって、素敵なチョコを頂いたから。」

ショウ君はそう言って、店長の口についたクリームを人差し指で拭う。

拭った人差し指をペロッと舐め、店長を見て笑う。

……もう、幸せすぎて怖いくらい!

そうかと思ったら、ニノちゃんがアイバ君のフォークでアイバ君のケーキを一口食べる。

自分のがまだ残ってるのに。

本当は、店長達みたいに、あ~ん、やりたかったの?

あたしが見ていることに気づいたニノちゃんが、ハッとして照れ臭そうに笑う。

もう!そんな顏、超可愛いんですから!



あ~、私の大事な大好きなこのお店!

いつまでもみんなが仲良くイチャイチャしてくれれば、

それが何よりのプレゼント!

と叫びたかったけど、叫べないから、心のノートにそっと書き残しておこうかな。

ニノちゃんがお客さんに呼ばれて言ってしまうと、

二人でイチャイチャしだす店長とショウ君。

それを肴?にコーヒーを飲むあたし。

最高のホワイトディをありがとう!!










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