愛と勇気とチェリーパイ(5人)

愛と勇気とチェリーパイ #11 上

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「疲れたぁ~。」

つぶやきながら扉を開ける。

「いらっしゃいませ♪」

中からは疲れも吹っ飛ぶようなイケメンの笑顔。

扉を開けるまでの、うつむき下限のあたしに、一気にエネルギーが充電されていく!

「今日はどちら?」

ショウ君が、あたしの顔を見てニコッと笑う。

ああ~、ショウ君のその顔。

優し気な微笑みが、あたしの心を温かくしてくれる。

「……窓際で。」

あたしが笑って窓際に向かうと、ショウ君はうなずいて、

あたしの所にお冷とおしぼりを持って来る。

「今日は何時までいられる?」

ショウ君の差し出すおしぼりを両手で受け止める。

「う~ん……どうして?」

「店長が、お姉さんに会いたいって言ってたから。」

「あたしに?」

「うん。」

「今日はホワイトディだからね~。」

いつの間にか隣に来ていたニノちゃんが、ショウ君の肩に腕を回す。

ニノちゃんの方が背が低いから、背伸びするみたいに腕を掛けるニノちゃんが可愛い!

「ホワイトディ?……あっ……。」

あたしはバレンタインを思い出してショウ君を見上げる。

「いいのに。気にしなくて。」

そうだよ。ここで毎日、こんなに癒されてるんだから!

あたしの顔を見て、ショウ君とニノちゃんがクスクス笑う。

「毎日来てくれる常連さんだもん!」

自分でもその可愛さがわかってる、極上スマイルで笑うニノちゃん。

「うふふ。ありがとう。」

あたしがニノちゃんに笑い返すと、店の奥の方が賑やかになる。

そっちの方を見ると、マダム達の間でさわやかに笑うアイバ君。

照れたように頭を掻いて、赤くなってる。

「あれ、アイバ君のファン達。」

ニノちゃんが、ちょっと面白くなさそうに口を尖らす。

「アイバ君、カッコいいもんね。」

あたしが言うと、ははっと笑うショウ君がマダム達に顎を向ける。

「今日は、誕生日の人がいるから、アイバ君、つきっきりなんだよ。」

「へぇ~。ここで誕生会?」

「うん、で、アイバ君ご指名なわけ。」

ニノちゃんが、さらに口を尖らせる。

奥のマダム達の間で大きな声が上がる。

「おめでと~!ゆーみんちゃん♪」

わぁ~という歓声と拍手。

アイバ君がローソクに火を点けると、立ち上がった女性が一気に吹き消す。

「いいね~。お誕生会。あたしの時もしてもらおうかな?」

「いいよ!しよう、お姉さんも。」

ニノちゃんがニコッと笑う。

「でも、あたしは呼ぶ人いないし……。」

あたしが呼ぶとしたら……この間知り合った、しぃちゃん?

で、ずっとみんなを見ながら腐った話してるの~♪

わぁわぁ、きゃーきゃー、楽しいよっ♪

あ~、幸せな時間……。

あたしがうっとり夢見ていると、MJがケーキを持ってやってきた。

「あ、コーヒーはちょっと待っててね、今、美味しいの淹れるから!」

接客の終わったアイバ君が、あたしの前を通り過ぎてニコッと笑う。

「今日のケーキは特別。」

MJが魅惑の笑顔であたしの前にケーキを置く……って、これ、全部?

あたしがびっくりしたのも仕方ないよ。

だって、ロールケーキ1本分!

それが、綺麗にデコレーションされて!

真ん中にはリンゴを薄くスライスしたのが、ちょっとずつずらされて、

代々木の第一体育館みたいになって乗ってるの!

生クリームも可愛く飾られて、ラズベリーとブルーベリーが交互に乗ってて。

「え?これ……。」

「はい♪ホワイトディのお返し♪」

ニノちゃんが今度はMJに抱き着きながら、にっこり笑う。

ここの従業員はニノちゃんに触られ放題だね?

それはもう……ご馳走様です……♪

「こんなにすごいの……。」

あたしが驚きと嬉しさを噛みしめてると、さらにMJがびっくりすることを言う。

「これね、みんなで作ったんだ。」

「みんなで?」

「うん。ショウさんなんて、リンゴの皮剥くのに30分もかかって……。」

MJがクスクス笑う。

言われたショウ君は恥ずかしそうに自分の肩を揉む。

「仕方ないだろ?俺、生まれて初めてやったんだから!」

「みんな初めてですよ?」

ニノちゃんもクスクス笑う。

「ニノちゃんは何したの?」

あたしが聞くと、ニノちゃんが自慢げに胸を張る。

「私はね、生クリーム担当。生クリームを丹念に丹念に混ぜました。」

「混ぜたって、機械だろ!」

ショウ君がすかさず言う。

「あの絶妙な固さ加減。きっとショウさんじゃ無理ですから!」

「そんなことないから!」

ショウ君が食って掛かろうとすると、MJが口を挟む。

「で、アイバさんが生地を焼いて、ショウさんがガロニチュールを作って……。」

「ガロニ?」

「うん。リンゴのね?中に入ってるから。」

ガロニって、あのニンジンとか甘くしてるやつだよね?

リンゴのガロニチュール……なんか、とっても美味しそう♪

「店長が生クリーム塗って巻いて、俺は最後のデコレーション。」

MJが説明を続ける。

「すごい!本当にみんなで作ってくれたんだ!」

みんなが、あたしの顔を見て、嬉しそうに笑う。

そこへ、コーヒーをトレイに乗せて、アイバ君もやってきた。

「間に合った?」

アイバ君がキョロキョロみんなを見回しながら、あたしの前にカップを置く。

「うん。間に合ってるよ。」

あたしが言うと、アイバ君が太陽のような笑顔で笑う。

あ~、ほんと、この笑顔癒される~。

あたしがその笑顔に見惚れていると、ドアが開く音がする。










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