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「テ・アゲロ」
オーライ!! - レンタル彼氏 -

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美寿々の後姿が公園を出て行くと、智が体を離した。

「もう大丈夫かな?」

智はふにゃりと笑う。

あのANGELスマイルで。

「たぶん……。」

俺は美寿々の姿が見えなくなるのを確認し、智に向き直る。

まだキスの余韻の残る体を持て余して、どこだか分からない所がむず痒い。

「どうする?まだ時間はあるけど……。」

智が公園の時計を見ながら、首を傾ける。

俺も時計を見て考える。

まだ後3時間はレンタルできる……。

俺は智の腰に手を回し、抱き寄せる。

「まだ時間があるなら……。」

智の耳元で囁く。

「ちょっと疲れたから……俺んち行く?」

オプション……何度しても料金変わんないって言ってたよな……。

智がクスッと笑う。

「……おいら、お腹空いちゃった。」

「お腹空いたの?」

「うん。……ご飯食べに行こ?」

智のANGELスマイルで頼まれたら……断れないよ。

俺の下心、バレちゃった?

お昼にはちょっと早いけど、近くのラーメン屋に向かうことにした俺達は、

並んで公園を出る。

後3時間……。

俺は智の肩を抱き、体を引き寄せる。

もう、美寿々の件は終わっちゃったから、恋人同士のフリをする必要はないけど、

智もそのまま演技を続けてくれる。

演技……。

んふふっと笑う智は、後3時間だけの俺の恋人……。

ラーメンを食べてる間も、智は理想の恋人だった。

自分のスープをレンゲに乗せて俺に飲ませてくれる智。

美味しいと、花が咲くように笑う智。

頬に汁を飛ばして、ペロッと舌で舐めとる智……。

「美味しかったね……。」

智が御馳走様と手を合わせる。

「うん。旨かった。」

俺には味なんて全くわからなかったけど、智が美味しそうだったから、

きっと、いつも通り美味しかったに違いない。

「お腹もいっぱいになったし……。」

俺はチラッと智を見る。

「家でゆっくりしたい……美寿々のことで気が張ってたから……。」

ふふっと笑って智がお冷を口にする。

その唇は、ラーメンを食べたせいか、赤く艶っぽい。

「部屋は……ダメだよ。そういう契約。」

智は恋人達が愛を語らうみたいにそう言う。

「部屋がダメなら……ホテル……。」

「もっとダメ。」

「だよね……。」

くふふと笑う智が可愛くて、俺の心臓がバクッと鳴る。

「いいよ。特別。翔の部屋へ行こう。でも……あれ以上のオプションはなしだよ?」

姉さん女房のように俺を窘(たしな)める智に、俺は黙ってうなずいた。

ラーメン屋からの帰り道。

あれ以上のオプションはなし……。

ディープキスはオプションに入ってたかな?

手を繋ぐのはいいんだよな……。

二人の間をチラッと見て、さりげなく智の手を握ってみる。

握り返してくれる智の細い指。

俺は、指先で智の手の甲を撫で、指の間をくすぐる。

智は真っ直ぐ歩きながら、手だけでくすぐったがる。

その隙をついて、指を絡め、恋人繋ぎにすると、やっと智がクスッと笑った。

「翔は肉食なのか、草食なのか、わかんないね。」

見上げる智の柔らかい笑顔。

「俺はたぶん……肉食。」

智の骨ばった指の付け根を撫でながら、

グイッと引っ張って上着のポケットに滑り込ませる。

「智の手……冷たい。」

素直にポケットに手を入れたくせに、智が変な顔をする。

「その顔で、そんなこと言われると……調子狂う。」

「なんで?」

俺が聞くと、智はん~と目だけ上を向けてニコッと笑う。

「秘密。」

ここぞとばかりのANGELスマイル。

もう、これ以上は聞けなくなる。

ずるい!智のANGELスマイル!



部屋の前に着いて、俺が鍵を開けていると、智が俺の手元を覗き込むように近づいてくる。

「大丈夫?信用しても。」

見上げる智の顔は、小悪魔のようで、

信用してもと言いながら、俺を誘っているようにしか見えない。

「だ、大丈夫だよ。」

何が大丈夫なんだ?

……本当に大丈夫なのか?

相手は男なんだぞ!

でも、あのキスがもう一度したくて部屋へ誘っている下心……。

ちょっと挙動不審になりながら、玄関のドアを開け、智を促す。

「どうぞ。」

智は躊躇することなく、玄関で靴を脱ぐ。

男の一人暮らし。

1Kのごくごく普通の部屋を、智はキョロキョロと見回す。

俺はキッチンに立ってコーヒーを淹れる。

コーヒーメーカーだけど。

「その辺に座ってて。今、コーヒー淹れるから。」

「ん~。……翔の部屋、男の子って感じ。」

そう言えば、男同士だし気にしてなかったけど、俺の部屋は物が溢れかえってる。

「あ。ソファーの上なら座れる?」

俺は粉を入れながら、顔だけ出して智に言う。

「大丈夫。座るとこくらいあるって~。」

智はふにゃりと笑ってソファーに腰かける。

それでもまだキョロキョロ辺りを見回して、俺のCDだの、本だの、雑誌だのを

興味深そうに見つめてる。

粉を入れ、水をセットして、俺も智の隣に座る。

周りにある物を、ちょっと片づけながら。

「平気だって。」

智が笑って、足を投げ出す。

ジーパンを履いててもわかる、細い足。

智は少し前かがみになって、両手を後ろにやると、ジャケットの襟を肩からはずす。

智の襟足が見えてドキッとする。

後ろ手で袖を引いて、上着を脱ぎ、軽く畳んでソファーの下へ置く。

白シャツの智は天使度が増す。

襟から覗く鎖骨。

ちょっとずれた後ろ襟。

ズクンと、何かが俺を急き立てる。










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