「テ・アゲロ」
オーライ!! - レンタル彼氏 -

オーライ!! - レンタル彼氏 - ②

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道すがら、これからのことを打ち合わせする。

「お客様、恋人同士ですよね……。なんとお呼びすれば?」

男が隣に並ぶと、俺の方がちょっと背が高い。

この身長差も、恋人同士っぽくていいかもしれない。

「俺のことは……翔で。あなたのことは何と呼べば?」

「私のことは智とお呼びください。……ね、翔。」

屈託のない笑顔で見上げる顔に、俺の心臓がズキッと鳴る。

「あ……。でも、どうみてもあなたの方が年上……。」

「翔は幾つなの?」

男は言葉使いを変え、親し気に体を寄り添わせる。

「俺は……23です。……さと…し……は?」

なんか、初めてあった人の下の名を呼ぶの……照れる。

「おいらは35だから……一回りも違う?んふふ。」

びっくりした。

そんなに上には見えない。

よくて、27位かと思った……。

「そんなに上なのに、呼び捨ては……。」

「恋人同士なら、その方がいいんじゃない?」

智はまた俺を見上げる。

「ベッドでは普通、呼び捨てでしょ?」

クスッと笑う智の顔を見て、カァーッと顔をが熱くなる。

なんだ……さすがプロっていうか……本当の恋人同士のような気がしてくるから怖い。

「とりあえず……手ぐらい繋いどく?」

智のふにゃりとした顏を、まともに見ることができなくて、

俺はそっぽを向きながら、うなずく。

「追加料金発生しちゃうけど……。」

「それくらいは……大丈夫。」

智がクスッと笑うのがわかった。

「ほんと?就職したての新卒君なんでしょ?」

「新卒じゃない……今年で2年目です。」

俺はちょっとぶっきら棒に言う。

子供扱いされたみたいで、ちょっと不満。

「ふふふっ。ごめんごめん。仕事が一通りわかってきて、楽しくなってきたんだ。」

智は俺の手をぎゅっと握る。

俺より少しひんやりした智の手は、俺の手より細くてしなやか。

「そ、そうです……。」

赤くなった顔を見られたくなくて、俺は全然智の方を向けない。

「翔くらいカッコよかったら、レンタル彼女なんて頼まなくても、

 頼める女の子いっぱいいそうなのに。」

「いないことはないけど……。またそこで揉めるのも面倒だから……。」

「はぁん、そこでその女の子も勘違いしちゃったりするんだ。モテる男は辛いねぇ。」

俺は何も言えなくなる。

全くその通りだから。

どの女も、俺とそうなることしか考えてない。

俺の周りにはそんな女ばっかり。

だったら、ちょっと高くても、彼女をレンタルした方が楽。

そう思ったんだけど……。

俺は隣をチラッと見る。

……男だもんなぁ……。

本当にうまくいくのか?

「おいら達、付き合って半年くらい?」

「え?ああ……そうですね。それくらいで……。」

「知り合ったのは……共通の友人の紹介……だと、後でボロが出るかもしれないから、

 仕事で知り合ったってことにしとく?」

「はぁ……。」

智が次々に架空の過去を作っていく。

手を繋いだまま。

第三者から見たら……俺らってどう見える?

「翔の会社ってどこ?」

「会社は……凹版印刷って知ってます?」

「知ってるよ。有名だもん。」

「そこで、板紙や段ボールなんかの包装資材を……。」

「売ってる営業なんだ。」

「どうしてわかるんですか?」

「んふふっ。翔は営業顔!」

「営業顔って!」

智が俺の方を向いて、繋いでない、もう片方の手で俺の空いてるもう片方の手を握る。

両手を繋がれで、正面に立った智は、俺の顔を真っすぐに見る。

「翔……敬語はダメ。付き合って半年なんだから、今が一番ラブラブな時。

 少しでも触れていたいくらい。おいらを呼ぶ声も甘く……ね?」

智が小首を傾げて俺を見上げる。

「……わかった。」

「じゃ、彼女が来るまで練習。おいらのこと呼んでみて。」

気付くと、いつの間にか、待ち合わせの公園に着いていた。

俺、こんな調子で大丈夫?

「よ、呼ぶって……。」

「智って。」

「……さ……智……。」

「まだ硬い。」

「智。」

「犬じゃないんだから。」

「…智……。」

「彼女を呼ぶみたいに。」

「智……。」

俺がどう呼んでいいかわからないでいると、智が一歩俺に近づく。

急にドキドキし出す俺の胸。

何意識してんだよ。

相手は男だぞ。

静まれ心臓!

智が変に思うだろ。

「翔……。」

甘く響く智の声。

本当に愛されてるみたいで、胸がキュンとする。

「……智……。」

智を見下ろすと、あの、智のANGELスマイル。

「うん。合格。そんな感じで呼んでね。後は……おいらに合わせて。」

俺が小さくうなずくと、公園の入り口を入ってくる美寿々が目の端に入る。

「来た……。」

ポツリとつぶやく。

智はニコッと笑って背伸びして、俺の耳元で囁く。

「じゃ、緊張しないでね。」

さっきの、玄関で嗅いだ匂いがフワッとする。

あの香りはやっぱり智からなんだ。

俺は、その香りを思いっきり吸い込んで、恋人・智にできるだけ自然を装って微笑んだ。










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