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「テ・アゲロ」
オーライ!! - レンタル彼氏 -

オーライ!! - レンタル彼氏 - ①

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ピンポーン。

インターフォンが鳴る。

「来た!」

俺は玄関に向かって駆け出す。

駆け出すほどの広さはないけど、はやる気持ちが走らせる。

こんなの頼むの初めてだから、緊張するっていうかなんていうか……。

別にデリ○○とか頼んでるわけじゃないんだから、

出前と同じくらいに考えてればいいんだけど。

それでも、ドキドキしながら玄関を開ける。

ジーパンに白シャツ、茶のジャケットが目に入る。

「櫻井……翔さんのお宅で間違いないでしょうか?」

ふんわり笑った顔がそこにある。

…………。

……あれ?

俺は首を捻る。

その顔は、確かに可愛いと言える部類で、

しかも、誰からも好かれるようなANGELスマイル。

注文に間違いはないけど……。

でもその顔が、俺を見たとたん一瞬曇る。

「櫻井翔……さんでよろしいですか?」

「あ、はい。僕が櫻井翔です。」

訝しそうに、俺を下から上へ見定めていく。

「失礼ですが、ご兄弟は……。」

「……3つ離れた妹がいますけど……。」

「妹さん……。」

「それが何か?」

「あ……いえ、気にしないでください。」

その男は背筋を伸ばして、にっこり笑う。

「お待たせしました。レンタル彼氏です。」

「……はぁ、やっぱり。」

俺は溜め息をついて、男を見る。

「やっぱり……というのは?」

「ちょっと男っぽく見えても、実はボーイッシュな女の子……

 なんてのを期待したんだけど……。やっぱり男なんだ。」

「はい。正真正銘男です。」

男は申し訳なさそうに体を縮こまらせる。

「俺が注文したのはレンタル彼女。男は呼んでません。」

男は困ったように、口を尖らす。

「そう言われましても……。」

「すぐに女の子と変えてください!俺、これから元カノに会わなきゃいけないんです。

 すぐに彼女が必要なんです。」

「はぁ。」

男は聞いてるのか聞いてないのか、慌てる風もなく、ただ、首を傾げている。

「聞いてるんですか?すぐに連絡して、女の子に変えてください!」

「ですが、お客様?我々の事務所では、レンタル彼女は取り扱っておりません。」

「え?」

俺はびっくりして、目を見開く。

レンタル彼女がいないなんて、それじゃ注文した意味がないじゃないか。

「我々の事務所でのお取り扱いは彼氏のみです。」

「そんなぁ。」

一気に目の前が暗くなっていく。

それじゃ……どうしたらいいんだ?

落ち込む俺を見て、男は慰めるように俺の肩を叩く。

「何かお困りなことがあるようですね。」

「そりゃそうだよ……当てにしてたレンタル彼女がいないとなると……。」

俺は頭を振って、手を額に当てる。

「元カノに……どうして会わなければいけないんですか?」

男の声は耳障りが良くて、俺は素直に答えてしまう。

いつもはもう少し、慎重なんだけど……。

「……よりを戻したいってしつこくて……。

 俺は今、やっと仕事に慣れてきたばっかりで、それどころじゃないのに……。

 だから、新しい彼女ができたって言えば諦めてくれると思って……。」

「なるほど。それなら、私でもお役に立てそうです。」

男はニヤリと笑う。

「私を彼氏として連れて行ってください。いくらヨリを戻したいと思っていても、

 あなたが男に走ったとなれば……すぐに引いてくれるんじゃないですか?」

男がANGELスマイルで俺を見つめる。

確かに……それはそうだ。

いくらなんでも性別は越えられない。

俺は男をもう一度よく見てみる。

頬の丸い、可愛い顔立ち。

小柄だが、筋肉のついたいい体に見える。

何よりこのANGELスマイルは、いくら顔に自信のあるあいつでも、

負けを認めるんじゃないか?

「わかった。レンタル彼氏で……お願いします。」

男はにっこり笑うと、うなずく。

「5時間のご契約でよろしいでしょうか?」

フワッと風が吹き、石鹸のような香りを運んでくる。

この男のコロンか、それともシャンプーの匂い?

「オプションとしまして、手を繋ぐ、腕を組む、肩を抱く、抱き上げる……などなど

 ございますが、デート中に、お客様から要望がありしだい追加料金が発生します。

 なお、一度追加料金が発生しますと、その後、何度繰り返しましても、

 それ以上の料金は発生いたしません。」

「つまり……一度手を繋いだら、それからは何度手を繋いでも

 料金は同じってことだよね?」

「はい。その通りでございます。」

男は手を前で組んでさらに続ける。

「それ以上の行為は……ご遠慮頂いておりますので、ご了承ください。」

「ああ、その心配はないでしょ。男同士だし……。せいぜい手を繋ぐくらい……。

 それくらいはしないと信じてもらえないかもしれないし……。」

「かしこまりました。」

男は恭(うやうや)しく頭を下げ、いつの間に取り出したのか、契約書を差し出す。

「こちらにサインを……。」

斜め読みで目を通すと、それ以上の行為は決してしないこと。

俺の都合で、途中でデートを終わらせても、料金は5時間分発生すること等が

書かれている。

俺は素早くサインをし、その男と一緒に美寿々との待ち合わせ場所に向かった。

ちょっと計画は狂っちゃったけど、しょうがない!










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