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「Welcome to our party」
Welcome to our party(5人)【21~Last】

Welcome to our party ㉝

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2階でバタンッと大きな音がした。

「やばいっ!遅刻~!!」

すごい音と勢いで、雅紀が階段を駆け下りてくる。

「相葉ちゃん、落ち着いて。」

智がダイニングから声を掛ける。

ベルトをガチャガチャと弄りながら、

「落ち着いてる時間がないの!もう、後10分しかない!」

雅紀は冷蔵庫から牛乳を取り出す。

「10分しかないなら尚のこと、落ち着こうか。」

翔もその勢いにびっくりして、見ていた新聞を半分に畳む。

雅紀はパックのままの牛乳を、ゴクゴクと飲んでいく。

「相葉ちゃん、ダメだよ。コップ!」

すかさず、智がコップを差し出す。

「もう、飲んだ!ね、何か食べる物ある?」

智は、キッチンのカウンターを指さして言う。

「バナナくらい?」

「バナナ~!」

雅紀はバナナを一本取ると、あっという間に口へ詰め込んでいく。

「そんな食べ方したら、喉につかえるよ。」

智は水を汲んで雅紀に差し出す。

「ありがと……。」

口をモグモグと動かしながら、雅紀は水で流し込む。

「あ~、寝癖直してる時間ない~っ!」

「大丈夫。おいらもニノもそのまま行くし。メイクさんが直してくれるよ。」

「そうだけど……。はっ!帽子!」

雅紀は階段を駆け上がり、すぐに階段を下りてくる。

グレーのニット帽をかぶり、鞄を斜めに掛けて、玄関へ向かう雅紀は、

5人の中で一番身だしなみに気を遣う。

「じゃ、行ってくるね~!」

「いってらっしゃい!」

智と翔は、雅紀の背中に向かって叫ぶ。

雅紀は玄関の手前で振り返って、にっこり笑うと、

「なんか、二人ともお父さんとお母さんみたい。」

そう言って、急いで玄関を出て行った。

「どっちがお父さんで、どっちがお母さん?」

智は自分と翔とを交互に指さして言う。

「そりゃ……俺がお父さん?」

翔は新聞を広げて、お父さんぽいポーズを取る。

「ずりぃ。おいらも優しいお父さん!」

智は、雅紀が出しっぱなしにした牛乳を冷蔵庫にしまいながら、そう言って笑う。

そんな智を見て、翔の顔も釣られて笑顔になる。

翔は新聞に目を走らせながら考える。


本当に、夫婦になってしまえたら……。

考えてもどうしようもないことなのはわかっている。

潤を受け入れたこと……。

潤がそれで救われるならと思ったのも事実。

可愛いと思ったのも事実。

それが、智君に対する気持ちとは違うものだったとしても。

でも、潤を抱いた俺が、智君に触れてもいいのか?

あの笑顔を曇らせることにはならないのか?


「じゃ、翔君、おいらもそろそろ迎えが来るから……。」

智はそう言って、階段を上っていく。

「智君!」

翔の声に、智が振り返る。

「ん?」

「ニノのことは……大丈夫なんだよね?」

智はちょっと驚いて、でもすぐにふにゃりと笑って答える。

「うん。すっきりした。」

「智君……。」

翔は階段を上っていく智の後ろ姿を見つめ、新聞をぎゅっと握り締めた。



その日の夜。

「ただいま~。」

和也が帰ってくると、リビングのソファーで雅紀が胡坐をかいてテレビを見ていた。

「あれ?相葉さんだけ?」

「うん……みんなまだ。」

雅紀はテレビに映った野球中継を見ながら答える。

和也は鞄をダイニングに置くと、冷蔵庫を開ける。

「今日……何か食べたいものある?」

「なんでもいいよ~。」

気のない雅紀の返事にちょっとムッとする。

「それが一番困るんですよ。」

和也は雅紀の隣に座って、口を尖らせる。

「うぉお~っ!よっしゃ~!」

雅紀が思いっきり拳を上げると、その体にコテッと身体を預ける。

「相葉さん……。」

「ん?」

和也が隣に来たことに、初めて気づいた雅紀は、和也の声に振り返る。

「相葉さんは……俺から離れたりしないですよね?」

「ニノ……。」

雅紀はそっと和也の肩を抱く。

「ないよ。そんなこと。」

でも、相葉さんの好きなのは潤君でしょ?

喉まででかかって、飲み込む。

「潤君……遅いね。」

「そうだね……。」

雅紀は壁にかかった時計を見上げる。

「まだ、帰ってくるには早くない?」

雅紀は笑いながら、和也を見つめる。

茶色の瞳が、不安そうに揺れている。

「ニノ……昨日から、なんかおかしいよ?どうしたの?」

和也は首を振って、笑顔を作る。

「何も……。ただ……。」

そのまま雅紀の首に抱き着き、唇を押し当てる。

「ニノ……んっ……。」

貪るように吸い付く和也の唇に、雅紀は戸惑って何もできない。

ただ、されるままに舌を絡ませ、和也を抱きしめる。

「……ノーアウト、一三塁。ここは勝負ですねぇ。」

解説者の言葉の合間に響く唾液の音。

歓声と共に激しくなる和也の息遣い。

和也は雅紀の全てを吸い尽くすように、奥へ奥へと入っていく。

「んっ…あっ……ニノ……。」

「相葉…さ……んっ……んぁっ……。」

一際大きな歓声が上がると、和也がやっと唇を離してくれる。

ソファーの上で抱き合ったまま、和也の顔を見つめる。

「ニノは淡泊そうに見えて激しい…。」

雅紀がクスッと笑う。

「激しい私は好き……?」

和也の茶色い瞳が語り掛ける。

「うん。好き……。」

「どのくらい?」

「どのくらい?ん~、難しい。……東京ドームくらい?」

雅紀がひゃっひゃっひゃと笑う。

「……潤君よりも?」

「え?」

雅紀は和也を抱きしめていた腕を離して和也を見つめる。

「……ツーベースヒット!これは面白くなってきましたね。

 2点入って……後1点で同点です!」

解説者の声だけが、二人の間に響き渡った。










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