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「Welcome to our party」
Welcome to our party(5人)【21~Last】

Welcome to our party ㉘

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和也の部屋。

ドアの外から雅紀の声がする。

和也はベッドの上に体育座りでうずくまる。

言っちゃえばよかったんだ。

そう、さりげなく、何かのついでみたいに。

潤君は翔ちゃんと寝てたって……。

だから、潤君を思っても無駄だよって……。

そうすれば、きっと相葉さんは本当に私のものになる。

潤君をちゃんと諦めてくれる……。

諦められなくても、心は少し遠のくはず……。

でも……。

相葉さんの悲しむ顔が想像できて、言うことができなかった。

きっと、無理に笑って、私がいるのに、そんなこと関係ないって言うんだ……。

無理に笑い続けて……。

ああ、なんで相葉さんなんか好きになっちゃったんだろ。

相葉さん以外なら、きっと、なんでもなく言っちゃったはず。

言っちゃって、好きになっても無駄だよって教えてあげたはず……。

和也は鳴り響くドアの音から逃げるように両手で耳を塞ぐ。

私はずるいから、言っちゃいますよ、相葉さん!

あなたが一番聞きたくないこと……。

ああ、もう早く行っちゃってよ。

私のことなんか心配しないで!

「ニノ!どうした?何かあった?」

廊下から聞こえる、雅紀とは違う声。

「え……潤君……?」

もう一度、耳をそばだてて聞いてみる。

「ニノ!いるんだろ?」

……間違いない。潤君だ……。

潤君が帰って来た?

今、相葉さんと一緒にいる?

和也は上半身を起こし、ドアを見つめる。

しばらくうるさかったドアが急に静かになる。

諦めたのか?

和也はそっとベッドから下りると、ドアに近寄っていく。

耳をドアに押し当てて、聞き耳を立てる。

何を言ってるかわからない、低いボソボソした声が微かに聞こえる。

二人で下に行く?

相葉さんはきっと期待しちゃうはず……。

でも、潤君は翔ちゃんと上手くいってるから……心配はないと思うけど……。

和也は部屋の中をグルグルと歩き回る。

一度、ドアに行きかけ、思いとどまってベッドに戻る。

待て。早まるな。

もう少し、様子を見るんだ……。

潤が現れたことで、冷静になっていく自分を感じながら、

和也はベッドの上で片膝を抱いた。



キッチンではもうすぐ麻婆豆腐が出来上がろうとしていた。

「うん。旨い。」

味見のスプーンを舐めながら、潤が言う。

「でしょ?俺のは親父直伝だから!」

雅紀が自慢げに顔をほころばす。

「どうする?先にやってる?」

潤はエアでグラスを持ち上げる。

「ん~、そろそろ誰か帰ってくるんじゃない?」

雅紀は時計に目をやる。

9時を回ったところだ。

そろそろ帰ってきてもおかしくない。

「でも、冷めちゃうから、先に食べよ。俺、すぐ食べたい!」

潤がおやつを強請る子供のように、目を丸くして雅紀を見つめる。

「しょうがないなぁ。」

雅紀はおたまで麻婆豆腐をすくうと、2枚の皿に盛りつける。

それを見ていた潤はいそいそと冷蔵庫を開ける。

「雅紀、ビールでいい?」

潤の声が明るい。

「松潤、現金だな。」

雅紀も笑って、よそった皿を持つと、テーブルに並べる。

冷蔵庫からちょっとしたツマミを取り出し、席につこうとすると、

いつも和也が座る席にビールが置いてある。

「松潤?」

「二人しかいないから、近くで食べようよ。」

潤は先に自分の席に座っている。

「うん。まぁいっか。」

二人は並んで、缶ビールで乾杯する。

ゴクゴクとビールを流し込み、プハァーと息を吐くと、潤が真剣な表情で雅紀を見る。

「俺……翔さんのこと、ケリ付けられそう。」

潤は、麻婆豆腐をスプーンですくって口へ運ぶ。

「え?昨日の今日で?」

雅紀はびっくりして、ビールから口を離す。

「うん……今朝、少し話して……。」

潤は今朝のことを思い出し、リビングのソファーを見つめる。

「上手くいったの?」

潤は顔を横に振る。

「ううん。上手くいくわけないよ。でも、翔さんが俺のこと、

大事に思ってくれてるのはわかったから……もう十分。

「そんなの当たり前じゃん。俺だって、松潤大事だよ。」

「……ありがとう。」

潤はまた麻婆豆腐を口へ運ぶ。

「ちゃんと……納得できたんだね?」

「うん。」

「諦めるの?」

雅紀はビールをゴクリと飲み込む。

「諦める……諦めるのとはちょっと違うかな?

 振り向かせようと思ったけど、翔さんだって、俺と同じで

 どうにもならない気持ちを抱えてる……。

 この気持ちはさ、何か形を与えてあげないと、前に進めない気がしたんだ……。」

「形?」

雅紀は缶を置いて、潤の手の動きを見つめる。

潤の手はしなやかに動いて、麻婆豆腐を口へ運んでいく。

「うん。だから、思い出という形を作ってあげた。」

「……思い出……。」

「そう、夢のような思い出を与えてあげたから、少し満足してくれたみたい。」

潤は他人事のように笑う。

「……それは、辛くないの?」

「辛くないと言えばうそになるけど……。ふんぎりにはなったかな?」

雅紀はスプーンを持つ、潤の手首を掴む。

「雅紀?」

「……強がんなよ。」










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