ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑬ 上

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俺は冬が大好きだ。

身体が大きく、筋肉質だから、冬でも温かいってのもあるけど、

冬の寒さは俺をストイックにしてくれる。

ストイック……いい響きだ。

「ショウちゃん、何、たそがれちゃってるの?」

窓から空を見上げる俺の隣に、サトシがやってくる。

「たそがれてるわけじゃないよ。男とは何ぞや?と思ったら……。」

俺はサトシの顎を、クイッと鼻先で上へと向ける。

「見てごらん。あの高い空が教えてくれそうじゃないか?」

俺が空に向かって、目を馳せると、サトシが小首を傾げる。

「ショウちゃん、なんか変なもん食った?」

「……サトシには男のロマンがわかんないのかなぁ。」

「男のロマン?マロンなら知ってるけど……?」

「あははは~。サトシにロマンは無理~。」

カズナリが籠の中で楽しそうに羽をばたつかせる。

「無理ってなんだよ!」

サトシがカズナリに向かって威嚇する。

はぁ~。

ここでロマンを追い求めるのは難しいのか?

「ジュンならわかるだろ?男のロマン!」

水槽の中でジュンが首を上げ、チロチロと舌を出す。

「う~ん、俺の専門は英語圏。ロマンスならわかるけど?」

大きな口を開けてニヤリと笑う。

「ロマンス?」

サトシが長い尻尾をピクリと立てる。

サトシが反応?

ロマンスならわかるの?サトシ!

「んふふ。おいら知ってる!昼ドラはロマンスなんだって~。」

「誰が言ってた、そんなこと?」

「え?ショウ君の大好きな……人間のサトシが言ってたよ!」

サトシが背中を伸ばして伸びをする。

「人間のサトシ?」

昼ドラ……見てたね。そう言えば。

意外な気もするけど……見始めると止まらないって言うから……。

俺が昼ドラを見るサトシに想いを馳せると、サトシの目が吊り上がる。

いつも吊り上がってるけど……。

「ショウちゃん、人間のサトシのこと考えてる?」

「……なんで?」

サトシの声色が、危険信号を点滅させる。

「目も耳も下げて、デレ~って締まりのない顔してるから!」

サトシが俺に飛びかかり、俺の鼻に爪を立てる。

「い、痛いよ~!サトシ!」

「そんな顔してるショウちゃんが悪い!ショウちゃん自慢の筋肉があるから、

 それくらい大丈夫だよね?」

サトシが鼻で笑う。

俺がどんな顔しようが俺の勝手じゃないか!

鼻のこんなとこに筋肉付かないし!

横暴サトシ!

……でも、それを口に出しては言えない……。

俺はそっと鼻を撫でて傷の具合を確認する。

……ここじゃ、舐めることもできないじゃないか!

すると、玄関の方から、ガサゴソと音がする。

「マサキが帰ってきた!」

俺は玄関に向かって一直線!

カズナリもジュンもサトシも、気にする風もなく、それまで通りくつろいでいる。

みんな、俺達はペットなんだぞ!

疲れて帰ってくるマサキを、みんなで癒してあげるのが俺達の役目!

なんだけど、そんなことを考えてるのは、もちろん俺だけで……。

でも、この日は、玄関について急ブレーキをかける。

いつもはそのままマサキに飛びついて、マサキに背中を撫でてもらうんだけど、

今日は勝手が違う。

だって、玄関にいたのはマサキじゃなく……。

「うふふ。久しぶりだね。ショウ君!」

ああ、俺の大好きな匂い。

俺の大好きな笑顔!

俺は体重を掛けないように人間のサトシに飛びつく。

飛びついて、人間のサトシの顔をペロペロ舐める。

「うっわ!くすぐったい!」

人間のサトシが俺の頭を撫でながら、靴を脱いで中に入ってくる。

あれ?人間のサトシが……1人?

「みんな元気だった~?」

人間のサトシは、戸惑う様子もなくリビングに入っていく。

みんな、声に反応して、顔を上げる。

「サトシ!ヤキモチ!」

カズナリが籠の中でグルグル回る。

「あはは。覚えててくれたの?でも、その覚え方、間違えてるから!」

人間のサトシが籠の隙間から指を入れ、カズナリの頬を撫でる。

「ま……全く間違ってるってわけでもないけど……。」

人間のサトシが一人で恥ずかしそうに笑う。

「俺も!Hey!darling!俺も撫でて!」

ジュンが水槽の天井に向かって、思いっきりジャンプする。

ジュンの跳躍力はすごい。

自分の背の何倍もの高さをジャンプして天井に頭がつく!

水槽の蓋がカシャッと鳴って、サトシがジュンに気づく。

「ジュン君、相変わらずおしゃれさんだね。本当に素敵な色……ほれぼれしちゃう。

 人間のジュン君と同じで男前!」

人間のサトシの笑顔に、ジュンの目尻が下がる。

ほら~、誰だってああいう顔になっちゃうんだよ~。

俺がチラッとサトシを見ると、サトシは面白くなさそうに、

前足に頭を乗せて目をつぶってる。

絶対、寝てないんだよ。

俺がクスクス笑うと、人間のサトシがサトシに気づいてソファーに寄ってくる。

「サトシ君!おいらのクッキー食べてくれた?サトシ君とショウ君のは特別なんだよ。

 君たちでも食べられるように、お砂糖とか使わなかったの。」

うんうん。人間のサトシのクッキー、美味しかったよ!

サトシだって、ツンって鼻を上げて我慢してたけど、結局全部食べちゃったんだから。

俺はありがとうの気持ちを込めて、人間のサトシの手をペロッと舐める。

サトシは相変わらず、狸寝入りをしたままで……。

「今日はね、マー君が帰ってこれないんだって。

 だから、おいらがみんなにご飯あげにきたんだ。」

人間のサトシはキッチンに入っていくと、俺達のえさが入っている戸棚を開ける。

「え~っと、分量は……。」

人間のサトシが携帯を取り出し、メールを開く。

俺もそれを覗き込むと、人間のサトシがニコッと笑う。

「お昼にマー君の餃子が食べたくなってね。美味しいよね?マー君の餃子。」

俺は声高に返事をする。

「うん!とっても美味しい!なかなか食べられないけどさ。」

「お昼に行ったらマー君にお願いされちゃったんだ。」

人間のサトシはメールを見ながら、俺達のえさを用意していく。

「おいらもみんなに会いたかったから、頼まれてラッキー♪」

ふふふ。俺も人間のサトシが来てくれてラッキー♪










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