「みんなと作ったお話」
the Deep End(やま)

the Deep End 4話 下

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「それはよかった。」

翔君がグラスを構える。

おいらもグラスを持って、翔君に向かう。

「今日は……何に乾杯?」

翔君がおいらに聞く。

キラキラ輝くグラスの中の氷。

その奥の、もっとキラキラした翔君の大きな瞳。

「…………。」

その瞳に見惚れて、ぼーっとする。

「ん?」

翔君が小首を傾げる。

「あ……じゃ、は、初、翔君家に……。」

「ははは。そんなんでいいの?」

「うん。初めては最初しかないから。」

おいらがグラスを前に出すと、翔君がカチッとグラスを当てる。

「智君の、『初』俺んちに乾杯。」

「乾杯!」

翔君がゴクっとお酒を飲む。

その喉元、首筋、大きな手……。

おいらはお酒と一緒に、ゴクッと唾を飲む。

「じゃ、そのうち、智君家で俺の『初』乾杯してくれる?」

翔君の目が意味深に見えて、おいらはドギマギする。

翔君、期待しちゃうだろ!

「い、いいよ。」

「ホント?約束だよ。」

「いいよ、いつでも来いよ。」

翔君がもう一度、ゴクッとお酒を飲む。

「実は、松潤が行ったって言ってたの、羨ましかったんだ。」

「そんなの、言えばいいのに。」

おいらもお酒をゴクゴク飲む。

飲まないと、煩悩が顔を出して、どうにもならない。

静まれ煩悩!

「智君、ペース早くない?大丈夫?」

翔君が心配そうにおいらを見る。

「だ、大丈夫。この酒、旨っ!」

おいらは大げさにグラスを掲げて、また口へ運ぶ。

「気に入ってくれてよかった。」

翔君がシャツのボタンを二つ外す。

その手の動きを横目に見て、おいらはさらにグラスを煽る。

煩悩が、ニヤッと笑ったような気がした。



しばらく他愛無い話で盛り上がって、気付けばだいぶ飲んでたみたいで……。

「智君?大丈夫?」

翔君の声がちょっと遠い気がする。

目の前も……。

はれ~、おいら、どうしちゃった?

「智君?」

翔君の顔が、心配そうにおいらを見てるけど、その顔がグルグルして……。

「だいじょぶ。だいじょぶ。」

おいらは肩にかかった翔君の手を握って、笑って見せる。

「……泊まってく?」

翔君がおいらの前で跪く。

おいらのことをじっと見る翔君。

じっと見る……泊まる……?

「……泊……まる?」

「うん。その方がいいでしょ?」

翔君は一人でうなずいて、立ち上がる。

でも、おいらはどうしてか翔君の手を離すことができなくて……。

「智君?」

「しょぉきゅん……おいら…ね……。」

「うん?」

今度は翔君はおいらの隣に座る。

ああ……優しい笑顔……やっぱりイケメン……。

大好きだぁ。

おいらはもう片方の手で翔君の首筋を撫でる。

翔君の肌……気持ちいい……。

そのままピトッとくっついちゃえば?

おいらの頭の中で響く低い声。

そうだよね。くっついて抱きしめられたら気持ちいいだろうな……。

そうそう、そんで、翔君のシャツの間から手を入れて。

うんうん。気持ちよさそう。

上を向いてごらん。

ん?

おいらが見上げると、翔君が赤い顔して困ったようにおいらを見てる。

ほら、そのままチュ~しちゃってみなよ。

チュ~?

見えるだろ?赤い美味しそうな唇。

うん……見える……。

食べていいんだよ。あれ、お前のだから。

ほんと?

ほんと、ほんと!

ダメだ!

そこで甲高い声が響く。

まだ翔君の気持ち聞いてないだろ?

お前の気持ちだって伝えてないんだぞ。

いいのか?このまま翔君の優しさに甘えても。

……翔君…………。

まずはちゃんと伝えてからじゃないと。

うん……そうだよね。

いいのか?聞いて。

聞いたらあの美味しそうな唇、食べれないかもしれないぞ?

それは……。

お前なんか好きじゃない!キモイ!……なんて言われるかもよ?

そんな……。

おいらは泣きそうな顔をしてたかもしんない。

翔君がさらに困った顔で、おいらの頬を撫でてくれる。

大好きな翔君の、大好きな温かい手……。

おいら……。

大好きなんだから、ちゃんと伝えようよ。

高い小さな声がおいらの心に響く。

そんなの無視無視!

気持ちいいのが一番!

ちゃんと心が通じ合ってないのに、気持ちよさだけ求めたって、

本当の気持ちよさは味わえないよ?

おいらはじっと翔君を見つめる。

綺麗な目だな……。

ぷっくりして、ちょっとヤラシイ唇も、笑うと可愛いんだ……。

首筋を撫でていた手で、翔君の唇を撫でる。

「さ、智君……!」

「しょおくん……。」

おいらは翔君の唇を撫でながら言う。

「しょおくんは……おいらのこと……すき?」

「す、好きだよ……。」

翔君の親指が、優しくおいらの頬を撫でる。

「そのすき……は……。」

おいらは何て言おうか考える。

考えるけど……頭が回んない。

「チュ~してもいいやつ?」

「ちゅ、ちゅ~?」

「うん。」

おいらは翔君を見ながらヘラ~っと笑う。

だって、翔君のびっくりした顔が可愛かったんだもん。

「チュ、チュ~は……あんまりしないかな?」

「しちゃダメ?」

「し、してもいいけど……。」

「おいら、しょおくんにチュ~したい~!チュ~したくなっちゃうすき~。」

「えっ?」

おいらは正直な自分の気持ちを伝えたかったんだけど……。

これで伝わる?

ああ……全然頭が…回らない……。

「ご、ごめん……考えたことなかった……。」

考えたこと……なか…った……ってことは……。

おいら、振られたの?

やっぱり……男同士なんて無理なんだ……。

対象に入ることもできないんだ……。

「しょお…くん……。」

翔君の顔をじっと見ていたら、どんどん目の前が霞んできた。

「さ、智君、泣かないで。」

翔君の唇を撫でていた手が止まる。

え……おいら、泣いてる?

そら見たことかと、煩悩が鼻を鳴らしたのが聞こえた。

おいらは……




A 煩悩にしたがって、頑張って色気で攻め落す。


B リーダーにしたがって、誠意のある可愛さで翔君の気持ちを変える。


C 傷心のまま、家に帰る。










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