明日に向かって(やま)

明日に向かって ⑲

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え?ええ~~~っ!!!

おいらは重ねられた唇を、どうすることもできなくて、されるままになっている。

肉厚で、弾力があって、温かくてしっとりしてて……。

そんな先生の唇は、おいらの唇をはむはむと、唇の間で味わっている。

おいらは目の前に迫った先生の顔をじっと見る。

先生も目を開けたまま、動けないでいるおいらを見て、クスっと笑った。

わ、笑うなよ……!

おいらはギュッと目をつぶる。

ドキドキする心臓に振り回されそうになるのを、必死で抑えて考える。

先生とおいらって……両想いってことなの?

先生もおいらが好きってことでいいの?

おいら、自分に都合よく考えちゃってる?

ん~……都合よく考えちゃってるような気もする……。

だって、先生、一度もおいらのこと好きって言ってないような……。

でも、一生隣にはいていいんだよね?

で、おいらが先生を幸せにして、イチャイチャしていいんだよね?

……いいんだよね……?

…………。

やっぱりよくわかんない。

おいらがちょっとだけ薄目を開けて先生を見ると、先生はニヤッと笑って

おいらの唇の間に舌を押し込んできた。

え?……男同士も、こういうチューするの~~~?

そりゃ、おいらだって、女とならしたことあるよ。

でも、男同士って……なんかちょっと違くない~~?

先生の舌は、優しく柔らかく、おいらの舌を絡めとる。

時々響くクチュッという音が、妙にいやらしくて、

おいらの顔がどんどん熱くなっていく。

先生……キス、上手っ!

すると、先生の手がもぞもぞと、作務衣の間から入り込んできた。

おいらは慌てて、体を引き剥がす。

「どうした?」

「先生……それはちょっと……。」

おいらは体を引きながら作務衣の中の手を、引き出して押し戻す。

「ちょっと……なんだ?」

「いきなりすぎて……。」

「いきなりすぎて?」

「心の……準備が……。」

先生はおいらの手を払いのけ、腰に回したもう片方の手をグッと引き寄せる。

「え?」

「イチャイチャしたいんじゃなかったの?」

「え……いや……。」

「それとも……。」

先生は立ち上がると、おいらを畳の上に押し倒し、おいらの上に馬乗りになる。

「こういう感じの方がいいか……?」

先生の手が、おいらの作務衣の紐を解き、ペラッと前を捲る。

「せ、先生~~っ!ご、ご無体な~っ!」

おいらは急いで両手を合わせると、内側の紐でかろうじて隠れている、おいらの乳首を隠す。

「あはははは!本当に面白いな。君は。」

そう言いながら、先生の手はおいらの両手をかいくぐり、内側の紐を引っ張る。

「あ~、ちょっと……それは……。」

おいらはズルズルと背中で這って、先生の下から逃げていく。

逃げるおいらの前は乱れ、徐々に肌があらわになっていく。

ハッとして、すぐに前を合わせて隠す。

「何を恥ずかしがっている。生娘(きむすめ)でもないくせに。」

え……っと、先生?確かに生娘ではないですけど……。

年も、それ相当に取ってますけど……。

「あ~あ、そうか、ある意味、生息子なのか?」

先生が意味深に笑う。

……先生、それはどういう意味ですか~?

おいら……よくワカリマセン。

「せ、先生?少し冷静に……。」

先生は、ニヤリと笑いながらにじり寄ってくる。

「あっ……先生?小説は?小説!

早く書かないと、編集の人に怒られますよ?」

「そうですよ。先生!」

突然、二宮さんの冷たい声が響き渡る。

驚いて声のする方……ドアの方を見てみると、

壁に背を持たせて腕組みしている二宮さんが、ギンギラの目でおいら達を見ている。

「なんだ、見てたのか。」

先生は驚く様子もなく答える。

「なんだ、じゃないでしょ?」

「お前も好きだな。」

先生はゆっくりと腕組みし、二宮さんを見てニヤニヤ笑う。

「好きで見てたわけじゃないです!入ってきたら、先生が楽しそうだったから、

声を掛けそびれただけです。」

2人が会話してる隙に、おいらは先生の下から抜け出し、作務衣の前を結ぶ。

でも、どうしてだか、上手く結べない。

「ほら、怖がっちゃって。だから恋愛したことない人は……。」

二宮さんが、同情するような憐みの籠った目でおいらを見る。

「お前に言われる筋合いはない。」

先生は面白くなさそうに顔を背ける。

「恋愛小説の大家と言われる人が、初めての恋愛とはねぇ。」

「うるさい。消えろ!」

先生の怒鳴り声にも、動じることもなく、二宮さんは薄ら笑いまで浮かべて言う。

「もちろん、原稿貰ったらいつでも消えますよ?」

「ふん。速攻で書き上げてやる。待ってろ。」

先生はパソコンの前に座ると、勢いよくキーを叩き始めた。

それと同時に二宮さんはおいらの所に来て、おいらの作務衣を結び始める。

「ああ、ラスト、変えるから。」

先生は画面とキーを交互に見ながら、話す。

「変える?ここまで書いて?」

二宮さんは、作務衣を結び終わると、おいらを立たせてくれる。

「そうだ。今の私に、バッドエンドは無理だろう?」

二宮さんはおいらを見て、小さな声で可愛そうにと笑う。

「あはは。なるほど。上手くいったんですね。おめでとうございます。」

先生の手が、ピタッと止まる。

「お前……どこから見てた?」

「え?」

おいらの作務衣を綺麗に直しながら、二宮さんが先生をチラッと見る。

「先生が馬乗りになってるところからですけど?」

「そうか……。一番いいところを見逃してるな。」

「いいところ?」

おいらは首を傾げて先生を見る。

「そうだろ?私の一世一代の告白を見逃すなんてな。」

告白……なんてしてたっけ?










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