「短編」
Rolling Days(やま)
Rolling Days 上 ~ やま ~
2016.01.26 *Edit
楽屋のソファーで横になる。
楽屋は人の出入りが激しくて、忙しなく誰かが動き回ってる。
メンバーは、ニノと松潤しかいない。
2人も、俺に気を回すこともなく、自分の準備に余念がない。
俺はソファーの寝心地を確かめる。
うん。悪くない。
最近寝不足で……少しでも睡眠を取りたい。
靴を脱いで、肘掛けの上に足を乗せる。
薄い毛布を掛けると、あっという間に意識が遠のく。
次に意識が戻った時、楽屋は先ほどのザワツキが嘘のように静かで、
動き回る人の気配も……ない…?
いや、誰かいる。
俺の近くを通り過ぎる時に香る匂い。
ああ、あなたがいる……。
目を開けなくてもわかる、あなたの匂い。
石鹸のような清潔感のある匂い……。
…………。
ということは、今、この楽屋に俺と智君と、二人っきり?
そっと薄めを開けて辺りを見回す。
人の気配どころか、あなたの気配もほとんどない。
いくらオフってるからって、そこまでオーラ消すことないのに!
智君と二人っきり……。
…………。
「ん、ぁあ~っ!」
俺は大きく伸びをして、ソファーの上に起き上がる。
「あ、翔君、起きたの?」
智君が鏡越しに笑いかける。
ふにゃりと可愛い顔で、本当に愛おしそうに笑う。
俺も愛の籠った視線を向ける。
きっと、目を見ただけでわかるはず。
俺の気持ち……。
「ダメじゃん。せっかく髪、セットしてるのに……。跳ねてる。」
智君がニコッと笑って立ち上がると、俺の方へ歩いてくる。
「翔君……寝起きもイケメンなんだから……。」
んふふっと笑いながら、智君の膝が、俺のすぐ横のソファーを沈ませる。
もう片方の膝も逆側に乗せ、俺の膝に智君の重みが加わる。
「智君……。」
俺が膝の上の智君を見上げると、智君の両腕が俺の肩に乗っかる。
「翔君……おいらの気持ち……気づいてる?」
智君の腕がスライドしていく。
右手を軽く曲げ、俺の髪に指を絡める。
肩の重みが増す。
跳ねた髪を弄ぶ智君の目が、潤んで揺れてる。
その目が、徐々に近づいてくる。
さ、智君!
もちろんだよ……!
俺は軽く口を尖らせ、智君の唇を待つ。
ガチャリ。
楽屋のドアが開く音。
「でさ~、知らないって言ったのよ……。」
「で?で?どうなったの?」
ニノと相葉君の声。
「えっ?」
ニノの驚いたような声と共に、ガタッと椅子の動く音がする。
「翔さん、どんな夢見てんの?」
「うわっ。翔ちゃん、何やらしい夢見てんの!」
パチンと頭を叩かれる。
「痛っ。」
俺は叩かれた所を撫でながら、目を開ける。
「翔さん、こ~んな、こ~んな顔してましたよ!」
ニノが口を尖らせて、相葉君に抱き着く。
「超やらしい顔してたよ~。ひゃっひゃっひゃ。」
相葉君も楽しそうに笑いながら、ニノに向かって口を尖らせる。
俺が面白くなさそうにブスッ垂れると、鏡の前の智君が振り返ってにっこり笑う。
「二人ともイジメすぎぃ~。」
舌っ足らずにそう言って、俺に向かってふにゃりと笑う。
ああ、智君のその顔!
愛に溢れた、俺だけに向けられる笑顔!
俺を駆り立てる天使の笑顔!
…………。
いや、いかん、いかん!
今はダメだ。
ニノも相葉君もいる。
もうすぐ収録も始まる……。
俺は頭を振って否定する。
「ほら、始まるって~。」
楽屋の入口で、スタイリッシュに足を交差した潤が、みんなに向かって呼びかけた。
あれはいつだったか……。
智君が、ふざけて抱き着いてきた時があって……。
ああ、まだJr.の頃ね?
男同士なのに、ドキッとしたんだよ。
フワッとあの匂いがして、智君の息遣いと鼓動を感じて……。
そこから、始まったんだ。
俺の妄想ライフ。
智君と自分の、甘い時間を妄想する……。
俺だってちゃんと気づいてるよ。
これは妄想……現実じゃないって。
時々、カチッとスィッチが入って始まっちゃうんだよ。
妄想の世界に堕ちていくと、時間の感覚までわからなくなる。
何度スケジュールを調整したことか!
この俺が!
スケジュールはきっちり決めて、その通りに行動したい俺なのに。
しかたないから、妄想時間もスケジュールの中に組み込んだ。
突然のスィッチ以外は自分でコントロールできるようになったしね。
たまに、妄想の記憶なのか、現実の記憶なのか、わかんなくなっちゃうことがあるけど……。
最初の頃はパニクって、どうしていいかわからなくなったりしたけど、
もう職人芸。
ごまかすのもお手のもの。
ああ、さっきの智君(妄想の中)色っぽかったな……。
「翔さん、もっとこっちよって。そこじゃ大道具さんの邪魔だって。」
潤に声を掛けられてビクッとする。
「ああ、ごめんごめん。」
軽く手を上げて謝ると、大道具さんも頭を下げて、セットをスタジオに入れていく。
「どうしたの。ぼぉ~っとして。」
潤が俺を訝しそうに見る。
「いや、なんでもない。」
言えるか。
妄想を思い出していたなんて。
「デレっとしたり、ニヤッとしたり。」
ニノが話に加わる。
「するか!」
「してましたよ?ってか、しょっちゅうするでしょ?」
「しょ、しょっちゅう?」
「そうそう、もう、気持ち悪いくらい!」
「ニノに言われるなんて心外だな。あなただって……。」
「あ、リーダーと雅紀、どうした?」
潤が、俺とニノの話がエキサイトする前に水を差す。
こういうの、ほんと潤は気遣ってくれる。
「あ、リーダーはスタッフと釣りの話してたけど?」
誰だよ、そのスタッフ!
「相葉さんは……。」
ニノがグルッと一回転すると、ピタッと右回り245度の地点で止まる。
「あ、リーダーと一緒だ。」
俺もニノの視線の先に目を向ける。
智君の華奢な肩に、細いけど筋肉質な腕が巻かれ、
いつでもキスできる位の距離で、楽しそうに笑ってる。
俺が見ていることに気づいた智君が、俺に向かってふにゃりと笑った。
智君の髪が相葉君の頬に振れ、相葉君の手が智君の髪を撫でた(押さえた)
あ、ダメだ。
スイッチ入っちゃう!
楽屋は人の出入りが激しくて、忙しなく誰かが動き回ってる。
メンバーは、ニノと松潤しかいない。
2人も、俺に気を回すこともなく、自分の準備に余念がない。
俺はソファーの寝心地を確かめる。
うん。悪くない。
最近寝不足で……少しでも睡眠を取りたい。
靴を脱いで、肘掛けの上に足を乗せる。
薄い毛布を掛けると、あっという間に意識が遠のく。
次に意識が戻った時、楽屋は先ほどのザワツキが嘘のように静かで、
動き回る人の気配も……ない…?
いや、誰かいる。
俺の近くを通り過ぎる時に香る匂い。
ああ、あなたがいる……。
目を開けなくてもわかる、あなたの匂い。
石鹸のような清潔感のある匂い……。
…………。
ということは、今、この楽屋に俺と智君と、二人っきり?
そっと薄めを開けて辺りを見回す。
人の気配どころか、あなたの気配もほとんどない。
いくらオフってるからって、そこまでオーラ消すことないのに!
智君と二人っきり……。
…………。
「ん、ぁあ~っ!」
俺は大きく伸びをして、ソファーの上に起き上がる。
「あ、翔君、起きたの?」
智君が鏡越しに笑いかける。
ふにゃりと可愛い顔で、本当に愛おしそうに笑う。
俺も愛の籠った視線を向ける。
きっと、目を見ただけでわかるはず。
俺の気持ち……。
「ダメじゃん。せっかく髪、セットしてるのに……。跳ねてる。」
智君がニコッと笑って立ち上がると、俺の方へ歩いてくる。
「翔君……寝起きもイケメンなんだから……。」
んふふっと笑いながら、智君の膝が、俺のすぐ横のソファーを沈ませる。
もう片方の膝も逆側に乗せ、俺の膝に智君の重みが加わる。
「智君……。」
俺が膝の上の智君を見上げると、智君の両腕が俺の肩に乗っかる。
「翔君……おいらの気持ち……気づいてる?」
智君の腕がスライドしていく。
右手を軽く曲げ、俺の髪に指を絡める。
肩の重みが増す。
跳ねた髪を弄ぶ智君の目が、潤んで揺れてる。
その目が、徐々に近づいてくる。
さ、智君!
もちろんだよ……!
俺は軽く口を尖らせ、智君の唇を待つ。
ガチャリ。
楽屋のドアが開く音。
「でさ~、知らないって言ったのよ……。」
「で?で?どうなったの?」
ニノと相葉君の声。
「えっ?」
ニノの驚いたような声と共に、ガタッと椅子の動く音がする。
「翔さん、どんな夢見てんの?」
「うわっ。翔ちゃん、何やらしい夢見てんの!」
パチンと頭を叩かれる。
「痛っ。」
俺は叩かれた所を撫でながら、目を開ける。
「翔さん、こ~んな、こ~んな顔してましたよ!」
ニノが口を尖らせて、相葉君に抱き着く。
「超やらしい顔してたよ~。ひゃっひゃっひゃ。」
相葉君も楽しそうに笑いながら、ニノに向かって口を尖らせる。
俺が面白くなさそうにブスッ垂れると、鏡の前の智君が振り返ってにっこり笑う。
「二人ともイジメすぎぃ~。」
舌っ足らずにそう言って、俺に向かってふにゃりと笑う。
ああ、智君のその顔!
愛に溢れた、俺だけに向けられる笑顔!
俺を駆り立てる天使の笑顔!
…………。
いや、いかん、いかん!
今はダメだ。
ニノも相葉君もいる。
もうすぐ収録も始まる……。
俺は頭を振って否定する。
「ほら、始まるって~。」
楽屋の入口で、スタイリッシュに足を交差した潤が、みんなに向かって呼びかけた。
あれはいつだったか……。
智君が、ふざけて抱き着いてきた時があって……。
ああ、まだJr.の頃ね?
男同士なのに、ドキッとしたんだよ。
フワッとあの匂いがして、智君の息遣いと鼓動を感じて……。
そこから、始まったんだ。
俺の妄想ライフ。
智君と自分の、甘い時間を妄想する……。
俺だってちゃんと気づいてるよ。
これは妄想……現実じゃないって。
時々、カチッとスィッチが入って始まっちゃうんだよ。
妄想の世界に堕ちていくと、時間の感覚までわからなくなる。
何度スケジュールを調整したことか!
この俺が!
スケジュールはきっちり決めて、その通りに行動したい俺なのに。
しかたないから、妄想時間もスケジュールの中に組み込んだ。
突然のスィッチ以外は自分でコントロールできるようになったしね。
たまに、妄想の記憶なのか、現実の記憶なのか、わかんなくなっちゃうことがあるけど……。
最初の頃はパニクって、どうしていいかわからなくなったりしたけど、
もう職人芸。
ごまかすのもお手のもの。
ああ、さっきの智君(妄想の中)色っぽかったな……。
「翔さん、もっとこっちよって。そこじゃ大道具さんの邪魔だって。」
潤に声を掛けられてビクッとする。
「ああ、ごめんごめん。」
軽く手を上げて謝ると、大道具さんも頭を下げて、セットをスタジオに入れていく。
「どうしたの。ぼぉ~っとして。」
潤が俺を訝しそうに見る。
「いや、なんでもない。」
言えるか。
妄想を思い出していたなんて。
「デレっとしたり、ニヤッとしたり。」
ニノが話に加わる。
「するか!」
「してましたよ?ってか、しょっちゅうするでしょ?」
「しょ、しょっちゅう?」
「そうそう、もう、気持ち悪いくらい!」
「ニノに言われるなんて心外だな。あなただって……。」
「あ、リーダーと雅紀、どうした?」
潤が、俺とニノの話がエキサイトする前に水を差す。
こういうの、ほんと潤は気遣ってくれる。
「あ、リーダーはスタッフと釣りの話してたけど?」
誰だよ、そのスタッフ!
「相葉さんは……。」
ニノがグルッと一回転すると、ピタッと右回り245度の地点で止まる。
「あ、リーダーと一緒だ。」
俺もニノの視線の先に目を向ける。
智君の華奢な肩に、細いけど筋肉質な腕が巻かれ、
いつでもキスできる位の距離で、楽しそうに笑ってる。
俺が見ていることに気づいた智君が、俺に向かってふにゃりと笑った。
智君の髪が相葉君の頬に振れ、相葉君の手が智君の髪を撫でた(押さえた)
あ、ダメだ。
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