「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the action (5人)

テ・アゲロ  the action ⑥ -17-

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4人は取りあえず、都内のホテルに場所を移した。

西田の手配で、隆子と託也が見つからないよう、

地下の駐車場から直接部屋まで行けるホテルが選ばれた。

託也は顏が知れている。

ガチャ。

ドアを閉めると二宮は振り返り、ツカツカとみんなのいる方へ歩いて行く。

「そろそろ……ちゃんと話してくれますよね?」

二宮は隆子と託也の顏を交互に見る。

二人は窓の前で、不安そうに立っている。

お互い顏を見つめ、意を決したように託也は隆子の肩を抱くと、

二宮の前のテーブルへと促した。

「託也さん……。」

隆子は託也を見つめたまま、不安を拭えぬ様子で、促されるまま一緒に歩く。

二人がテーブルに着くと、二宮も椅子に腰かける。

西田はその二宮の後ろに休めの姿勢で立つ。

「取りあえず、家出で……いいんだよね?」

二宮は確認するように、二人の顏を覗き込む。

「はい……。」

隆子がか細い声で答える。

その隆子を手で遮って、託也が首を振る。

「ダメだ。まだこの人達が信用できるかどうかわからない。」

二宮は、ふんと鼻を鳴らし、振り返って西田を見上げる。

西田は小さくうなずいて、ルームサービスでコーヒーを3つと紅茶を注文する。

それを見ていた隆子が、あ……と小さな声を立てる。

「ま、コーヒーでも飲みながらゆっくりお話しましょうか。」

二宮は二人を見やる。

「私は……決してあなた達の敵じゃない。

 隆子さんのお父様……池上先生のお友達で、道明寺楓さん……、

 隆子さんは知ってるかな?」

隆子は小さくうなずく。

「その楓ばぁさんの依頼で、俺達は隆子さんを探してました。」

「楓おば様の……。」

「心配してましたよ。楓ば……んっうんっ、楓おば様。」

二宮は喉を鳴らし、言い直すと、片目をつぶって隆子を見る。

隆子は顏を曇らせる。

「で、あなた達はどこの誰なんだ?探偵か?」

二宮は、外国人のように首を竦め、両手を上げる。

「探偵?とんでもない!……しがない……町の何でも屋です。」

二宮は、また後ろに休めの姿勢で立っている西田を見上げる。

「彼は……隆子さんは顔見知りかな?楓…おば様のボディーガードの……。」

「あ……。どうりで見たことあると……しかも、紅茶を注文されていたから……。」

隆子の顏が少し華やぐ。

「これで……我々のことは信用してもらえましたね?」

二宮がニヤリと笑って託也を見る。

「身元は……確かなようだな。道明寺さんのお知り合いなら……。」

あれ?ばぁさん、結構有名人?

もっとちゃんと調べといた方がいいな……。

二宮は満面に作り笑いを浮かべ、うなずく。

「で、話を戻すと……。」

言いながら、二人の様子を伺う。

隆子は少し安心した様子で、微かに笑みを浮かべている。

託也は、それでも慎重な姿勢を崩さない。

「どうして家出なんて……。」

「それは……。」

隆子が言いかけた時、トントンとドアが鳴る。

西田がスッと玄関へ行き、コーヒーを乗せたワゴンを受け取る。

ガラガラとワゴンに乗ったコーヒーが運ばれてくると、二宮はまたにこやかに笑う。

「ま、美味しいコーヒーでも飲んで。」

最初にコーヒーに口を付けたのは二宮だった。

西田がクスリと笑う。

二宮が美味しそうにコーヒーの香りを嗅ぐと、託也と隆子もコーヒーと紅茶に口を付ける。

特に美味しいコーヒーと言うわけではない。

ふたりは顏を見合わせる。

「ああ、今コーヒーメーカーが壊れちゃってて……。

 罰ゲームみたいなコーヒー飲んでるから……。」

二宮は片目をつぶって小首を傾げる。

西田が、ククッと小さく笑い、託也もコーヒーカップを見ながら考える。

「そう言えば……びっくりするほどまずいコーヒー、最近飲んだな……。」

「ああ、それ、たぶん同じお店だから。」

「同じ?どうしてわかる?」

二宮は、ん~と喉を鳴らし、にこっと笑う。

「あれほどまずいコーヒー、他にないから。」

隆子が声に出して笑う。

「今度、西田さんも飲んでみてよ。」

二宮が振り返って言う。

「……遠慮しておきます。楓様も……そうおっしゃっていましたから。」

二宮も声を上げて笑う。

「あそこね、チャーハンは美味しいんだよ?チャーハン食べてみて。」

西田は軽く会釈して答える。

「かしこまりました。次回、楓様のお供をした折には……。

 では、お話を……。」

「ああ、そうだったね。失礼。」

二宮はおどけた調子で片手を上げると、軽く目をつぶって息を吸う。

「じゃ、話してもらおうかな?」

託也はその二宮の視線にゾクッとする。

嘘をついても見破られてしまいそうな、真っ直ぐな視線に、託也は大きく溜め息をついた。

「わかったよ……。」

託也はコーヒーを一口飲み、視線を二宮に向ける。

「俺達は駆け落ちじゃない……。その方が親達には都合がよかったんだろうけど……。」

「私達二人の……意思表示なの。」

「意思表示?」

二宮が首を傾げる。

「そう……私は……意に添わぬ縁談を断ることと……絵を描き続けたいこと。

 そして……。」

託也が隆子の肩に手を置く。

「俺は、本来の俺を認めて欲しかった。

 俺が本当に好きなのは……。

 本来の俺は……爽やかでも、好青年でもない……。」

そこでまた、玄関を叩く音がする。

みんなが一斉に玄関に目を向ける。

西田がゆっくり玄関へ行き、覗き穴から外を見ると、ゆっくりドアを開けた。










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