「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the action (5人)

テ・アゲロ  the action ⑥ -15-

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「居場所は突き止めたのかい!」

二宮は携帯を耳から離し、片目をつぶって耳が痛そうな顔をする。

「おい!聞いてるのかい!」

「も、もう少し、小さな声でしゃべってよ。」

二宮は携帯を耳に戻し、小さな声でつぶやく。

「悪いね?耳が遠くってね!」

「……くそばばぁ。」

「なんか言ったかい?」

「いいえ、何も。」

「くそばばぁで悪かったね。」

「しっかり聞こえてんじゃん。」

二宮が苦笑いしながらそう言うと、楓は穏やかに話し始める。

「居場所は……わかったのかい?」

「まあね。」

二宮は車の外がバタバタしているのに気づいて視線を投げる。

「だったらすぐに連絡おし。」

「それが……どうも単純な駆け落ちじゃなさそうで……。」

先ほど、松本がいた辺りに数人の男がやってきて、何か話し込んでいる。

「駆け落ちじゃない?そんなことはどうでもいいんだよ。

 隆子が無事に帰ってくればそれで。」

「……ばあさん、知ってたね?」

二宮は、外の男達から視線を逸らさず、チッと舌を鳴らす。

「あたしの依頼は隆子の居場所を探し出すことだったはずだ。

 あんた達が思いの外おせっかいだって忘れてたよ。

 いいかい?今から西田を向かわせる。逐一西田に報告するんだ。いいね?」

「……報酬は倍もらいますよ?」

「ばかをお言いでないよ。居場所がわかったのに報告しなかったあんたが悪い。

 報酬は半分だね。」

「え~!そりゃないでしょ?」

二宮が大声を出すと、外の男達がこっちに近づいてくる。

「文句言える立場かい!」

「……。」

「隆子に傷一つついてごらん?報酬どころか慰謝料請求するからね!」

「そんな……って、傷……今、ついちゃってる……かも?」

二宮がスイッチを入れると、託也の小さな声がボソボソと流れる。

「なんだって?」

隆子の喘ぎにも似た声……。

「だって、ほら、男と女が一つ屋根の下……。」

「さっさと助け出してこんかい!西田がついたら好きに使っていいから!

 早よせんかい!」

「で、でも、イチャイチャしてるとこに割り込むなんて、そんな無粋な……。」

「うるさいね!いいかい、隆子に傷がついたら容赦しないからね!」

楓の罵声で電話が切れると、車内に流れるのはシーツの擦れる音……。

「さて、どうしよう?」

二宮が困って口を尖らせると、車外には、怪訝そうに中を窺う二人の男の陰。

「しょうがない!」

二宮は大きく息を吸い込むと、勢いよくドアを開けた。



濡れた髪を拭きながら、隆子がバスルームから出てくる。

託也はソファーで新聞を読んでいる。

「託也さんも入ってきたら?」

隆子の声に、託也が振り返る。

「ああ、そうだね……。」

託也もどこかぎこちない。

もしかして、女性は初めてなのだろうか?

隆子はもちろん、初めてではない。

大学時代に付き合っていた彼と、何度がそういうことになった。

初めての印象は、こんなものか、という程度で、大きな感動も感慨も特になかった。

ただ、ひどく痛かったのを覚えている。

回数を重ねてからは、痛みは治まってきたものの、

この行為の何がいいのかわからなかった。

子供を作る為の行為……。

隆子の認識はそれでしかない。

隆子がどうしていいかわからず、立ち尽くしていると、託也が声を掛ける。

「少し、話そっか。」

パジャマ姿の隆子は、髪を拭いているタオルを首に掛け、託也に近づいていく。

不器用そうに微笑む託也に思わず笑みがこぼれる。

なんでもできる託也さんでも、少し緊張してる?

隆子も微笑んで託也の隣に並んで座る。

「もし……隆子さんが辛いなら、ここで止めてもいいんだよ?」

「どうして……辛いなんて思うの?」

託也は隆子の顔をじっと見つめる。

「私は幸せだなって思ってる。」

隆子がにっこり笑う。

「大好きな二人と一緒にいられるんだもん。」

そう、大好き。

託也さんは……人間として、男として。

真実さんは……人間として、そして、その才能に惚れてる……。

「私はきっと、誰とも結婚はしない……。できないと思う。」

「そんなことないよ。隆子さんは自分を過小評価しすぎ……。」

「ううん。そうなの……。」

隆子は託也を見上げる。

「人を本気で好きになれない……冷静な自分がいっつもいるの。」
「隆子さん……。」

「だから、二人を見て、羨ましかった。

 こんなに純粋に愛し合えるものかと思った。

 そんな二人が大好きなの。だから、私、嬉しいのよ?」

「本当に?」

託也は隆子の顔を見つめる。

「ええ。」

にっこり微笑む隆子の、顔に掛かる髪を払うと、託也はそっと顔を近づける。

「俺も……相手が隆子さんだから……。」

隆子はそっと目をつぶる。

託也のぽってりとした唇が、隆子のそれと重なる。

優しい、唇を愛撫するようなキスが、隆子の気持ちを楽にしていく。

ああ、私は託也さんを愛してる……。

唇がゆっくり離れると、託也は隆子の顔を見て、にっこり笑う。

「寝室へ……。」

託也は隆子の手を取って立ち上がった。










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