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「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the action (5人)

テ・アゲロ  the action ⑥ -14-

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「あ~、美味しかったね……。」

託也はおおげさに伸びをする。

これからが……今回の家出の最終目的。

隆子は微笑んだまま下を向く。

「お風呂……入ってくれば?」

「う……うん。」

隆子も緊張してきたのか、硬い動きで立ち上がる。

笑顔もどこかぎこちない。

昨日は計画を確認しただけで寝てしまった。

「本当に……いいの?」

託也は隆子を真っすぐ見つめる。

「うん……私が決めたんだから。」

隆子は無理して笑う。

その顔を見て、託也は今回の計画をちょっと後悔し始める。

「俺……女の中では隆子さんが一番好きだよ。」

「……ありがとう。」

隆子は託也に背を向け、バスルームへ向かう。

私は託也さんも真実さんも大好き……二人に協力してあげたい。

はたから見たらバカなことでも、私達は真剣だ。

そして、最後は自分で決めたこと……そう、自分に言い聞かせて。



「おい!大野さんは?」

松本が、車のドアを勢いよく開け、二宮の顔を見つけて言い放つ。

「え?大野さん?」

二宮は、とぼけた顔で首を傾げる。

「そうだよ!いついなくなった!」

「そうだね……結構経つ?かな?」

にっこり笑う二宮を見て、松本は地団太を踏む。

「くそっ!」

「急げばまだ間に合うかもよ?」

二宮は笑いながら、ヘッドフォンに耳を傾ける。

「どっち?どっちに行った?」

「え?教えるわけないでしょ?あ……。」

二宮が、口の端を歪ませ、ヘッドフォンに集中する。

「おい?何が聞こえるんだよ?」

「え……ええっ?」

「だから、何?」

松本がイライラした様子で二宮を見る。

「……始めた……。」

「何を?」

「夜の……睦言?」

松本がカッと顔を赤くする。

「あ、当たり前だろ?駆け落ちなんだから!」

松本は思いっきり車のドアを閉めると、どっちに行ったかわからない大野を

追いかけて走り出した。

「そうなんだ……駆け落ち……じゃないんじゃなかったっけ?」

二宮は、首を捻って、ヘッドフォンに耳を傾けると、携帯がけたたましく鳴り響く。

「くそっ。大野さんだな!」

携帯の音を小さくし、画面を見てドキッとする。

「なんだよ、ばあさん?」

二宮は携帯を耳に当て、ヘッドフォンを外した。



目の前の大きなキャンバス。

そこに向かって、人の横顔を書いていく。

大きな瞳の横顔……。

ふと手を止め、絵の具を見つめる。

「う~ん、赤……?」

真実は、台の上に無数に散らばる絵の具を、バラバラと指で確認していく。

「あ……これ……かな。」

1本の絵の具をパレットに乗せ、色を見る。

「ちょっと……違う?」

真実は黄色を少し足してみる。

「う~ん、明るすぎ?」

首を捻ってキャンバスを見つめると、後ろから声が聞こえる。

「青をちょっと……。」

真実がビクッとして振り返ると、見知らぬ男が、ドアに寄りかかりながら立っている。

「だ、誰?」

「これは失礼。開いてたから、勝手に入らせてもらったよ。」

男は人懐こい笑顔で真実を見つめる。

「開いてたって……まさか。鍵はしてあったはず。」

「そうだったかな?」

男はクスッと笑って真実に近づいてくる。

真実が動けないでいると、男は絵の具の中から1本選んでパレットに乗せる。

それを筆でほんの少しだけ、さっきの赤に混ぜていく。

「どう?」

男はパレットを真実に向ける。

「あ……。」

イメージ通り……。

真実はびっくりして男を見つめる。

男は人懐こい笑顔を、さらにふにゃりとさせて、真実を見ている。

「あなたにちょっとお聞きしたいことが……。」

「俺に?」

「単刀直入に聞くね?あなたと御村託也との関係……。」

「そんなこと、なんであんたに話さなきゃならないんだ。」

真実は男に背を向け、キャンバスに向かう。

「彼のやろうとしてること……あなたは知ってるんでしょ?」

真実の体がギクッと揺れる。

「それは、あなたの望んでいることなの?」

真実は振り返って男の顔をじっと見る。

この人は……どこまで知っているんだろう?

でも……誰にも言えない胸の内……。

そう、託也がしようとしてることは全て俺の為……。

でも……。

真実は真っ直ぐ、男に近づいていく。

「あんた、誰?」

「俺?俺は……。」

男はふにゃりと笑う。

「町のしがない何でも屋……。でも、きっと、あなたの役に立つんじゃないかな?」

「何でも屋?」

真実は訝しそうに首を捻る。

「それは隆子さんの為になる?」

男の言葉で真実の顔色が変わる。

「隆子さん……。俺たち三人には……愛しかない……。」

真実はどこか遠くを見るように、顔を上に向ける。

「愛?」

「でも……きっと単純には認めてもらえない……。」

「どうして?」

「どうしてなんだろうね?好きにさせてくれればいいのに。」

真実が自嘲気味に笑う。

「この世が男と女でできてるからかな?」

真実の言葉に、男は顔を歪ませる。

「男同士の愛だから?」

「そう。男同士の愛だから。」

真実が疲れた顔で笑う。

「そこに隆子さんは必要なの?」

「俺も……隆子さんも……御村託也の遺伝子を残したい……。」

「遺伝子?」

男が眉間に皺を寄せ真実を見ると、真実はまた空を見る。

「そう……。遺伝子。」










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