ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑫

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「ねぇねぇ、ショウちゃん。」

俺は少しだけ右目を開ける。

「うん?」

「遊ぼうよぉ~。」

サトシが柔らかい肉球で俺の鼻を撫でる。

俺は、ちょっとダルく感じる体を起こすのが面倒で、聞こえない振りをする。

「ショウちゃん、お疲れなんじゃない?」

カズナリが、鳥籠からサトシを見下ろして言う。

サトシが小首を傾げてカズナリを見る。

「お疲れ?」

カズナリがクスクス笑う。

「サトシの相手してお疲れ~!」

羽をバタバタさせ、ケラケラ笑う。

「そ、そんなことないよ!ね?ショウちゃん?」

サトシが俺の顔の前にやってきて、じっと見つめる。

でも、そのサトシの顔が霞んで見える。

なんでだろ?

「ショウちゃん?」

「ん……ちょっと眠いだけ……。」

俺は小さな声でそう言って重い瞼を閉じていく。

「ショウちゃん?」

目を閉じる寸前のサトシの心配そうな顔が超絶可愛くて……。

でも、なんだ?意識が……朦朧としてくる……。

「ショウちゃん!」

サトシの可愛い声……。

俺の意識は遠のいていく……。



ふと、意識が戻ってうっすら目を開けると、サトシが俺の隣で丸くなっている。

霞んでた目も少しはっきりしてくる。

サトシのビロードのような毛並みもよく見える。

俺は、そっと舌でサトシの背中を舐める。

「ん……起きた?」

「うん……。」

「まだ寝てた方がいいよ?おいらがいてあげるから。」

「私もいるしね~。」

サトシとは反対側のソファーの上に、カズナリが止まってる。

カズナリは、首をクイックイッと動かしながら、部屋中を見渡して、最後に首を傾げる。

「大丈夫。もう動ける。」

俺が立ち上がると、カズナリとサトシも俺の動きに合わせて見上げる。

すると、テーブルの上のジュンが目に入る。

「お前も心配してくれたの?」

「Don’t worry。俺が勝手に心配してるだけだから。」

チロチロ舌をだしながら言う。

なんか、Don’t worryの使い方……。

心配してるのはお前じゃないの?

ま、いいさ。

きっとみんな心配してくれたんだ……。

俺の尻尾が勝手に振れる。

「ショウちゃん……元気になった?」

「うん。サトシが隣にいてくれたから。」

俺がそう言うと、サトシが俺の前足に体を擦りつけた。

「ショウちゃんが元気ないと……。」

「……ないと?」

俺は鼻先でサトシの顔を持ち上げる。

「……面白くないじゃん?」

サトシの目が金色に光る。

「え?」

俺が首を傾げると、サトシが俺の前にスッと尻尾を垂らした。

「ショウちゃんは、いつでも元気でおいらを追いかけてなくちゃ。」

サトシが顔だけ振り返ってニヤリと笑う。

「俺も、サトシを追いかけるぜ。」

ジュンがテーブルの上で、長い舌をチロチロさせる。

「私は~、高見の見物~。」

笑いながら、カズナリが飛び上がる。

それを合図のように、サトシが尻尾を揺らしてシュタッと2、3歩前に進む。

俺はその尻尾を、前足で捕まえる……はずが、サトシの尻尾はすんでで逃げ延びる。

俺はサトシの尻尾から目が離せなくなる。

揺れる尻尾は俺を誘う。

俺が前足を出すと、サトシが逃げる。

逃げる。追う。

追う。逃げる。

いつしか、部屋の中を走り回る俺たち。

ソファーの下、本棚の上、キッチンの中。

家中を駆け巡る俺たちを、ジュンとカズナリも追いかけてくる。

「サトシ~、楽しそう!やっぱり私も混ざる~!」

楽しそうにサトシの頭を突っつくカズナリ。

「やめれって!ハゲたらどうする!」

「んはははは。ハゲたら私が嫁にもらってあげますよ。」

カズナリは突っつきながら、羽をバサバサ広げる。

「誰が、お前の嫁になんかなるか!」

「んはははは。素直じゃないな~。」

「めいっぱい素直だから!」

サトシがカズナリに飛びつく。

サトシの爪がカズナリの足をかすめる。

「んはは。まだまだ私には追いつきませんよ~!」

俺がサトシを庇おうと、サトシの前に立ちはだかると、サトシは俺の背中と頭を踏み台に、

カズナリ目がけて飛び上がる。

「うえっ?」

カズナリがびっくりしているその隙をついて、サトシの爪がカズナリを切り裂く。

カズナリの羽が飛び散り、壁を上っていたジュンも、

踏み台にされた俺も一瞬動きを止める。

サトシは軽やかに着地し、スッと上を見上げる。

カズナリはヨロヨロしながらソファーの上に着地する。

「カズナリ!」

俺は慌ててソファーに近づいていく。

「カズナリ!」

ジュンも慌てて壁を降り始める。

「おいらをバカにするのが悪い。」

サトシはキラリと光る眼でカズナリを見据える。

「ひどいよ~。サトシ~!」

カズナリは右の羽を広げ、くちばしでちょいちょい弄る。

ちょっと羽が薄くなったところがあるような……。

「ハゲたら、おいらが嫁にもらってやるよ!」

サトシがニヤッと笑って、俺の背中に飛び乗る。

ジュンがやっと俺らのところまでやってくると、サトシを見上げる。

「サトシ!俺もハゲにして~!で、嫁にして~!!」

「ばか。ジュンは毛が生えてないじゃん。」

サトシが優しく笑ってジュンのところに降りていく。

「じゃ、俺は嫁にしてくれない?」

ジュンが小さな子供のように目をパチクリしてサトシを見上げる。

「ジュンはそのままで可愛いよ。嫁だろうと、嫁じゃなかろうと。」

サトシが優しくジュンを舐める。

ずるい……ジュンばっか。

俺も舐めて欲しくてサトシの隣に寄り添う。

「何?ショウちゃん?」

「俺は……。」

俺は、それ以上言えなくて、鼻先をただサトシの体に押し付ける。

「しょうがないなぁ。ショウちゃんは。

 仕方ないから、おいらが嫁にもらってやるよ。」

「サトシ……。」

俺は、潤んだ瞳でサトシを見つめる。

まだ熱があるのかもしれない……。

でも、みんなオスなのに、どうして嫁?

そう思った時、サトシが俺の鼻先を舐めながら言う。

「だから……ずっとおいらを追いかけて来いよ!」

サトシが俺から離れると、ソファーとカズナリの鳥籠を台にして本棚の上に登っていく。

「サトシ!」

俺がサトシを見上げると、カズナリが面白くなさそうに喉を鳴らす。

「サトシばっかり見てんじゃねーよっ!」

「俺はサトシonly!他は見ないよ!」

ジュンがサトシに向かって叫ぶ。

「お、俺は……。」

俺が言いかけた時、玄関のチャイムが鳴る。

ハッとし周りを見回す。

やばい……またマサキに怒られる。

そう思ってみんなを見ると、すでにカズナリは鳥籠の蓋を開け、

ジュンは水槽を上っていた。

サトシは本棚から飛び降り、ソファーで丸くなる……。

いつもの寝たふり……。

もちろん、部屋の中は……。

本は落ち、羽が飛び散り……。

俺は溜め息をついて玄関に向かう。

いいよ。今日も俺が怒られるよ。

チラッとサトシを見ると、サトシは片目を開けて俺を見る。

「おいらの嫁だろ?後しまつは任せた。」

え~っ?嫁ってそんなこともするの~?

俺は泣きそうになりながら、玄関でにっこり笑うマサキを迎えに行く。

ごめん……マサキ。

俺も片づけ手伝うからさ。

何も知らないマサキが俺の頭をガシガシと撫でた。










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