「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the action (5人)

テ・アゲロ  the action ⑥ -6-

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松本は公園のベンチで、手帳を開いてじっと見つめる。

都内近郊のホテルは全て調べた。

短期契約のマンションも問い合わせたが、それらしい人物はいない。

後は……。

「松本。」

ふいに、後ろから声がする。

松本が振り返ると、大野がにっこり笑って立っている。

松本はサッと視線を逸らし、手帳を閉じる。

「まっつもっとく~ん。」

大野が子供のように声を弾ませ、松本に笑顔を向ける。

松本はその笑顔に顔を赤らめ、ハッと気づいてすぐに表情を変える。

「な、なんだよ。その猫撫で声!」

「猫撫で声って……。」

大野は苦笑しながら、松本の隣に腰掛ける。

「公園で会ったから、遊ぼうと思ったんじゃん。」

大野は上着のポケットに手を突っ込んだまま、背中を丸めて松本を見る。

「遊ぶ?この忙しい時に?」

「忙しいの?」

「しらばっくれんなよ。こっちにも、もうバレてる。」

「……バレてる?何が?」

大野は何のことかわからないというように、首を傾げる。

「そんな顔しても無駄!」

松本は大野の顔から視線を逸らす。

「何?今日は遊んでくれないの?」

大野はクスクス笑いながら松本に顔を近づける。

「……今回ばかりは大野さんのとこに顔を出すわけにはいかないの!」

松本は立ち上がり、大野を見下ろす。

「でもさ……協力した方が、早く見つかると思わない?」

「……そうだけど……今回はダメ。」

「なんで?」

「俺が大野さん達と知り合いだって、ボスにバレてる。」

「ボス?」

「うちの所長……。」

松本が下を向いて、手帳を内ポケットにしまう。

「恋愛は障害がある方が燃えるもんだろ?」

大野の艶を含んだ目を見て、松本は一瞬たじろぐ。

こんな大野を見たことがない。

松本は面白くなさそうにチェッと舌打ちすると、つま先でベンチの足を蹴る。

「ボスは……全てお見通し。『あの男は危険だから近づくな』って。ボスと知り合い?」

「さぁ?どうだろ?」

大野は楽しそうに笑う。

前に二宮が松本のことを調べた時も、所長についてはほぼ情報が出てこなかった。

「ボス、なんて名前?」

「ボスのことは社外秘。たとえ大野さんでも、これ以上は無理。」

松本は大野に背を向け歩きだす。

すかさず、大野が松本の手を取り、引っ張る。

勢いで振り向いた松本に、大野は不敵な顔でつぶやく。

「今日なら体、空いてんのにな?」

「え……。」

大野は掴んだ手を優しく握り、親指で甲を撫でる。

「バイオレンスでも……ベッドでも……。」

大野の漂うフェロモンに松本が飲み込まれそうになると、

間髪入れず、大野が松本の頬に左手を伸ばす。

「俺が、可愛がってやっから。」

大野はそのまま立ち上がると、松本の顔に顔を近づける。

「大野さん……。」

松本は動けず、大野の顔を見つめる。

大野の右手が松本の胸を下から上に撫でる。

「ベッドの中でまで……大野さんて呼ぶ?」

大野の唇が松本のと重なる寸前で、ベンチの後ろから声がする。

「浮気はダメだよ。honey。」

二人は一瞬ビクッとして振り返る。

腕組みして、薄ら笑いを浮かべた櫻井が立っている。

「げっ。なんでここに。」

大野の腰が引ける。

「さぁ、なんでだろうね?神様が導いてくださったのかな?」

櫻井がニヤリと笑う。

「お、俺、仕事だから!」

松本が大野から離れ、駆け出そうとして振り返る。

「今回の件が済んだら、ぜひ。」

松本が極上の笑顔を大野に向け、去っていく。

「今回の件……済んだら、もう用無しだよね?honey?」

櫻井がツカツカと大野の前まで歩いてくる。

「何、邪魔してんだよ。」

大野が唇を尖らせる。

「でも、もう用件は済んだんでしょ?」

大野はフンと鼻を鳴らして、右手の手帳を開く。

「ギリギリであなたの唇を守ったんだ。褒めてもらわないと。」

櫻井も一緒になって手帳を覗く。

パラパラとページを捲り、御村託也の文字で止める。

「今回は……ずいぶん大物だね。しがない町のなんでも屋にしちゃ……。」

大野は返事をせず手帳に見入る。

「大した情報はねぇな……。」

ページを次々捲り、関係者のところで大野が止まる。

櫻井もじっと手帳を見つめる。

「ん?どうした?」

「旅行か……。」

大野はそうつぶやいて、手帳をパタンと閉じる。

「旅行?」

大野は何か考えると、携帯を取り出す。

「どこに掛けるの?」

「ん……ニノ。」

大野が携帯をタップする手を櫻井が遮る。

「じゃ、その前に、お礼して……。」

櫻井の唇が大野の唇に重なる。

「んっ……ば…かっ……。」

櫻井の手が大野の腰に回る。

「ここ……あんっ……。」

櫻井の舌が、大野の中を撫で回すと、大野の腕から力が抜ける。

櫻井はそんな大野の体をぎゅっと抱きしめる。

大野が苦し紛れに首を振ると、櫻井の唇がやっと離れる。

「ばかやろう。ここは公園だ!」

大野が櫻井の胸を押し、体を引き離す。

「ごめん……美味しそうだったから。」

櫻井がニヤッと笑う。

「み、見てみろ!」

大野が顔を赤くし、周りを指さす。

櫻井が首を傾げながら指の先を見ると、保育園のスモックを着た子供たちが

10人くらい、二人の周りを囲んでいる。

みんな一様に目をキラキラさせて二人を見ている。

櫻井は、子供たちを見渡すと、にっこり笑って言う。

「これが愛だよ。」

子供たちから歓声が上がる。

大野は櫻井の腕を掴むと、一目散に走り出した。










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