「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the action (5人)

テ・アゲロ  the action ⑥ -4-

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大野は隆子と託也の写真を見つめる。

想いはあっても、一緒になれない二人……か。

また、ふっと櫻井の顔が浮かぶ。

大野はブンブン頭を振って打ち消す。

「大野さん、何遊んでるんですか。ほら、資料。」

二宮が紙の束を大野に差し出す。

「私も読むから、ほら。」

「おいら……こういうの、眠くなっっちゃうんだよなぁ。」

しぶしぶ紙の束を受け取る。

しばらくじっと資料を読み込んでいると、玄関をノックする音に二人同時に顔を上げる。

玄関がそっと開くと、トレイにコーヒーを乗せた相葉が、顔を覗かせる。

「コーヒーメーカー壊れちゃったんでしょ?差し入れ。」

相葉の笑顔が二人に交互に注がれる。

「相葉さん……ありがとう。」

二宮は相葉の顔を見つめ、トレイの上のコーヒーをチラッとみる。

「でも……できればチャーハンで。」

二宮が首を傾げて可愛く笑う。

「な、なんだよ~。せっかく持ってきてあげたのに!」

相葉は思いっきり口を尖らせ、ドンと二宮のデスクの上にコーヒーを置く。

カップからチャポンと茶色い液体が零れ落ちる。

「わっ!相葉さん!」

二宮がすかさずソーサーごとコーヒーカップを持ち上げる。

「ご、ごめん……。」

相葉は慌ててデスクの上の資料を端にまとめる。

「っふふ。相葉ちゃん、ニノに怒られるよ~。ニノ、本当に怖いんだから!」

大野が面白そうに笑う。

「あ……よ、汚れちゃったね……。」

いくつかの資料には点々と茶色い水玉模様がつく。

相葉は二宮を見ながら、こわごわ資料を拭いていく。

「だ、大丈夫。見れる見れる!」

相葉が空笑いを繰り返し、資料を拭いていくと、一枚の資料で手が止まる。

「どうしたんですか?相葉さん?」

二宮が不振そうに眉間に皺を寄せる。

「この二人……店に来たことある。」

相葉が資料を見つめて言う。

「ほんとですか!」

二宮、大野も動きを止め、相葉を見つめる。

「うん……昨日…一昨日だったかな?」

相葉はじっと資料を見ながら答える。

「何か、話してませんでした?」

二宮の問いに、う~んと唸りながら、右手で顎を撫でる。

「話してる内容は……ほとんど聞こえなかったけど……。この二人、どうしたの?」

相葉が資料をデスクの上に戻し、二人を見る。

二人は顔を見合わせ、小さくうなずくと、二宮が相葉に向き直る。

「……駆け落ちです。」

「駆け落ち?」

「はい。」

二宮は染みのついた資料を手に取り、パンパン叩く。

「この二人、大物政治家の娘と敵対する党の時期リーダーなんですよ。」

「あ……ロミジュリ?」

「そう、そんなとこです。」

二宮がにこりと笑う。

「内緒ですよ。秘密厳守です。」

「わ、わかってるよ……。でも、ほんとに?」

相葉はしきりに首を捻る。

「そうですよ。この二人が一緒に消えたのは間違いないと思いますよ。

 二人の両親がそう言ってるんですから。」

二宮が答えると、大野が真剣な表情で相葉の顔を覗き込む。

「相葉ちゃん……何が気になるの?」

「ん……この二人……手とか握ってたんだけど……。」

「ま、恋人同士ですからね?喫茶店でも手ぐらい握るでしょ?」

二宮は手早く資料をまとめ、デスクの隅に重ねる。

「恋人同士って感じじゃなかったんだよな……。」

「恋人同士じゃない?」

大野が聞き返す。

「うん。なんて言うか……雰囲気が、同じ会社の同僚とか、従兄弟同士って感じで、

 甘い雰囲気は全然なくて……。」

「相葉ちゃん、恋人同士の雰囲気、もう忘れちゃってるんじゃないの?」

大野がクスクス笑う。

「そうですね……相葉さん、彼女いない歴、もう5年は経ってますからね。」

二宮もクスッと唇の端で笑う。

「て、適当なこというなよな!」

「じゃ、どれくらいなんですか?」

「……5年……だけど。」

「ほらね?」

二宮が勝ち誇ったように笑う。

「な、なんで知ってんだよ!」

「あなたのことなんて、全てマルッとお見通しってことです。」

二宮が高らかに笑う。

「でも、本当に甘い雰囲気は一切なかったんだよ!」

相葉が声高に訴える。

「はいはい。参考にさせていただきます。」

「もう、いいよ!」

相葉は二宮のデスクの上にもう一つのコーヒーを置くと、

プンプン怒りながら帰っていく。

玄関のドアが閉まると、二宮はこれでもかと、相好を崩して大笑いする。

笑いが治まってくると、コーヒーカップを持って、大野の後ろに回りこむ。

「はい。相葉さんからの差し入れ……。あなたもちゃんと飲んでくださいよ。」

大野の目の前にコーヒーカップを置く。

大野は上を向いたまま、目をつぶり、考え込んでいる。

「二人で罰ゲームです。」

二宮は笑って自分のコーヒーを口へは込む。

「……でも、コーヒーはまずいけど、あの人の勘は……あなどれませんよ?」

「ん……わかってる。」

大野は上を向いたまま答える。

「駆け落ちするくらいなのに……甘い雰囲気のないカップル……。

 カップルじゃなかったとしたら……どんな理由で駆け落ち?」

大野が顔を前に向け、コーヒーカップを持ち上げる。

「さぁ……調べてみる必要がありそうですね?」

二宮がニヤリと笑う。

大野もコーヒーを一口飲んで、二宮を見る。

「恋人同士じゃなかったとしたら……目的は何だ?」

二宮もコーヒーを口にしながら言う。

「まず、どうして駆け落ちだと思ったかってことですよね?」

大野が資料を捲っていく。

数枚捲ったところで大野の手が止まる。

「両親への置手紙か……。」

「何が……書いてあったんでしょうね?」

二宮が大野を上から見つめると、大野の目が一瞬光る。

二人は顔を見合わせながら、コーヒーをゴクリと飲み込む。

「う~ん……まじぃ……。」

二人一緒に声を揃えた。










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