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「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the action (5人)

テ・アゲロ  the action ⑥ -2-

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「あ~、大野さん、少しは仕事してくださいよ。」

二宮はボールペンを頬に押し付けながら、溜まった書類を叩く。

「それはニノの仕事だろ?おいらの仕事じゃない。」

大野はクルッと椅子を回して、二宮に背を向ける。

「だからって、その手!」

「ん~?」

大野は首を伸ばして、天井を仰ぐ。

「人が仕事してる目の前で、鼻ほじほじされたら、気になってしょうがないでしょう?」

大野はグッと鼻に指を突っ込むと第一関節を曲げる。

「なんか……ここにあんだよなぁ……もうちょっとなんだけど……。」

自力でなかなか取れない大野は振り返って二宮を見る。

「ニノ、取って。」

顎を上げて、鼻の穴を見せる。

「まったく、あなた、子供じゃないんだから!」

二宮は大きく溜め息をつき、書類に視線を戻す。

「ニノ~!」

「あなたの鼻くその面倒まで、みてられません!」

二宮の叫びに呼応するように、電話が鳴る。

二人は視線で相手に出ろと促す。

電話番もニノの仕事だろ?

大野はじっと二宮を見る。

暇なら電話くらい出てください。

二宮が顎で電話を指し示す。

二宮の強い視線に圧倒され、大野は唇を尖らせ、しぶしぶ受話器を持ち上げる。

「はい。なんでもやりますなんでも屋……げぇっ!ばあさん?……うっせぇ……。」

大野は受話器を二宮に差し出す。

「ほい。ばあさんが、ニノに話、あんだと。」

大野は面白くなさそうに口を尖らせる。

「私に?」

二宮はボールペンを置き、受話器を受け取る。

「はい。お電話代わりました、二宮です。……はい。……あはは……そうですね。ぜひ……。

 はぁ……はい。……なるほど…………わかりました……。」

二宮は置いたばかりのボールペンを手に、メモを取っていく。

大野はそんな二宮を見て、またクルッと椅子を回す。

目の前のコーヒーメーカーは壊れて使えなくなっている。

ああ、早く新しいのにしないと……。

じゃないと下の不味いコーヒー飲むことになる……。

そんなことを考えながら、指を鼻に入れ、鼻の形が変わるくらいグッと指を曲げる。

「くっ……もうちょい……。」

大野が顔を傾け、もう少しで何かが爪に引っかかるというところで、

二宮が大野の頭目掛けてボールペンを投げる。

「痛っ。……あ~~~っ!ニノのせいで取れなかったじゃん!」

大野は爪の先をじっと見ながら椅子をクルッと回す。

「うるさい。仕事です。」

大野は鼻の下を伸ばしたり、顔の筋肉を動かして、鼻の奥のソレの移動を試みる。

「もう、鼻くそなんてどうでもいいから。」

二宮がメモを破ると大野へ差し出す。

「依頼です。詳しくは後で送ってくれるらしいですけど……。今回は大物ですよ。」

大野は二宮のメモを受け取る。

「池上隆子……知らねぇな。」

「池上隆子は知らなくても、池上龍之介は知ってるでしょ?」

「龍之介……?あの政治家になった作家の?」

大野が顔を上げて二宮を見る。

「そう。その池上龍之介のお嬢さん。25になるらしいけど。」

二宮は目の前のパソコンを叩き出す。

「そのお嬢さんがどうしたの?」

「どうやら……駆け落ちしたらしいですねぇ……。」

「駆け落ち!?今どきいるんだ、そんなことするやつ。」

大野はメモをさらさらと読み進んでいく。

「え?この相手って……。」

「そう。今をときめく保守派のプリンス……御村託也。」

「だって池上龍之介は……。」

「革新派のリーダーと言われてますからね~。これは駆け落ちでもしないことには

 一緒になれないんじゃないですか?」

「はぁ~、ロミオとジュリエット……青春だねぇ。」

大野が楽しそうに両手を広げ、うなずくと、胸の前で両手を組む。

「ミュージカル?それともバレエ?」

「うるせぇ。ウエストサイドストーリー!」

大野はチェッと小さく舌打ちする。

「で、今回の依頼は?」

大野の顔が変わる。

二宮は立ち上がると、プリンターから印刷された紙を取り出す。

「探して欲しいんだそうです。お嬢さんを。御村家より早く。」

「早く?なんで?協力して探した方が早いじゃん。」

「このことを……外部に漏らされたくないらしいですね。御村家が先に見つけ出したら、

 どう利用されるかわからないと……思ってるのかな?」

二宮が首を傾げてニヤッと笑う。

「どうやらあっちには、あのイケメンがついてるみたいですよ?」

「イケメン?」

大野の頭にふっと櫻井の顔が浮かぶ。

二宮は顔写真の写った紙を大野に手渡す。

「そ。あの彫りの深いイケメン……探偵の。」

送られてきた写真は、2枚。

1枚は隆子の写真。

もう1枚は託也の写真。

託也の写真の横に、キャッツ探偵社とメモ書きが添えてある。

「キャッツ探偵社……御村の依頼を受けたみたいですね。」

「キャッツ……どっかで聞いたことない?」

「さぁ?私は知りませんけど?」

大野は、う~んと顔をしかめる。

「松本さんに聞いたんじゃないの?」

「いや……それはない……たぶん……。」

「取り合えず、今、楓さんから資料が届いたから、目を通してくださいね。」

二宮がパソコンを見てニヤリと笑う。

「何?」

大野がその顔に不穏なものを感じ、眉をひそめる。

「御村より先に見つけ出したら……報酬は倍です。」

二宮の口の端が、これ以上ない位に吊り上る。

「さ、絶対先に見つけてくださいよ。大野さん!」










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