「Deepな冒険」
Deepな冒険(やま) 翔Ver.

Deepな冒険 翔ver. ⑤

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おいら達が乗り込むと、すぐに船は出発した。

穏やかな海原に向かって突き進むクルーザー。

クルーザーなんて……初めてだ!

船が動き出すと、ちょっと興奮してくるおいら。

そりゃ、そうだよね?

これで釣りもできるし、なんてったって、海の上!

なんか……それだけでワクワクしてくる!

しかも、風が気持ちいい!

それを黙って見ている櫻井翔は、タバコを咥えて笑ってる。

はぁ~、櫻井翔がクルーザーなんかに乗ってると、昔の映画スターみたいだ。

おいらは櫻井翔に背を向けて、広い広い海を見つめる。

空よりもずっと深い青。

波間に浮かぶ白い波。

風はちょっと冷たいけど、そんなの気にならないくらいの暖かい陽射し。

おいらが船首の方で風にあたって海を見ていると、雅紀君がやってきた。

「ね、智君……。」

雅紀君はおいらの前にしゃがむと、道具を並べて二カッと笑う。

「あれ?運転はいいの?」

「大丈夫。止めてきた。この辺でいい?」

「うん。見渡す限り、海だね~。」

おいらが両手を広げて風を受けると、雅紀君はおいらを見て笑う。

「ひゃっひゃっひゃ。智君、子供みたいだね。

 あ……智君…でいい?」

「うん。好きなように呼んで。」

おいらも中腰になって、道具を物色する。

「じゃ、俺のことはマー君で……。」

雅紀君の頭を、櫻井翔が後ろから叩く。

「図に乗りすぎ。」

「え~、何がだよぉ!」

自分の頭を撫でながら、櫻井翔を見上げる雅紀君。

「俺の客人なの。お前がそんなに馴れ馴れしくすんな。」

「いいじゃん。俺も智君、気に入った~!」

「勝手に気に入るな!」

「いいよね?智君。」

雅紀君が、おいらを見つめてまたニカッと笑う。

ああ、雅紀君の笑顔は太陽みたい。

大きくて、あったかい感じ。

「うん。全然。マー君。」

おいらもニコッと笑う。

おいらの顔を見て、雅紀君が少しびっくりした顔をして、さらに大きく笑う。

「はぁん、これは翔ちゃんのタイプだわ。」

ちょっとイヤらしく笑って櫻井翔を見る。

「な、なんだよ。そんな顔して俺を見んな。」

櫻井翔がしくじった!というように、口をモニョモニョと動かし、そっぽを向く。

「タイプ?」

おいらが首を傾げると、雅紀君がクスクス笑って、

櫻井翔から見えないように、口を手で隠す。

「智君の笑い方、思いっきり翔ちゃんのストライク!

 翔ちゃんが幼稚園の時好きだった先生も、小学校の時好きになった留学生も……。」

また櫻井翔が、雅紀君の頭を叩く。

「痛っ。」

雅紀君の頭が一瞬沈むくらいの力で叩かれて、雅紀君がムッとして振り返る。

「それ以上余計なこと言ったら、俺だって、お前のあれやこれやを各方面にバラす。」

櫻井翔は誰も口答えできないような形相で、雅紀君を睨みつける。

「わ、わかってるよ。……まったく、翔ちゃんはいっつもそうやって

 俺をいいようにこき使って……。」

「なんか言ったかぁ?」

「いいえ、何にも。」

雅紀君が口を尖らせて、チェッと舌打ちする。

おいらはそんな二人のやりとりに、笑わずにはいられない。

「仲良い従兄弟同士だね。」

「仲良いって言うか……兄弟みたいな感じ?」

櫻井翔が言うと、雅紀君が櫻井翔を指さして言う。

「可愛い弟を苛める兄。」

「優しい兄だろ?敬え。」

おいらは仲の良い二人を見比べてニコッと笑う。

でも、なんだかちょっと面白くない自分もいて……。

国民的スーパーアイドルと対等に話なんかしちゃったから、

いい気になってる自分が嫌になる。

おいらは青いルアーを手に取ると、雅紀君に見せる。

「おいら、これにする。」

「うん。じゃ、それぞれ始めちゃう?」

おいら達は3方向にわかれて釣りを楽しんだ。

船には魚探が付いてるから、安心。

最初の場所では全然かからず、櫻井翔の命令ですぐに移動。

次の場所で、一番初めにかかったのは櫻井翔だったけど、

案の定逃げられて、また悔しがってた。

ふふ。そんな姿は可愛いのに。

次にかかったのはおいらで、おいらは見事サバを釣り上げた。

マー君もサバとアジを釣り上げ、ご満悦。

最後の場所では、おいらが小さめのシイラを釣り上げ、みんなびっくり。

おいらもびっくりしたよ。

まさか、釣れるなんて思わなかったから。

最後にルアーを変えたのがよかったのかな?

空も暮れてきて、肌寒さが増してくると、雅紀君が船を港に戻してくれた。

おいらは満足して、暮れていく空を眺める。

「どう?楽しんでくれた?」

隣に櫻井翔がやってくる。

「うん。すっごく楽しかった。ありがとう。」

おいらは真っ直ぐ櫻井翔を見上げる。

櫻井翔の顔が、暮れかかった夕陽を受けて金色に輝く。

「何?どうしたの?俺の顔に何か付いてる?」

櫻井翔は、自分の頬を撫でて何か付いていないか確認する。

「いや……キレイだなと思って……。」

おいらは素直にそう言った。

暮れていく空をバックに夕陽を浴びる櫻井翔は、正に国民的有名人。

きっと誰もが見惚れるに違いない。

「え?綺麗……。それを言うなら、あなたでしょ?」

「おいら?」

おいらは首を傾げて櫻井翔を見返す。

おいら、キレイだなんて言われたことないよ?

突然、強い風に煽られて、体を縮こまらせる。

「クッシュン。」

鼻がムズムズしてくしゃみまで出る。

すると、櫻井翔が、おいらを風から守るように包み込む。

「寒いんでしょ?中、入ろ?」

おいらは櫻井翔に促されるまま、キャビンに入る。

ずっと外だったから、寒くなったのかな?

キャビンの中は温かくて、狭いけど居心地がいい。

櫻井翔がいれてくれたコーヒーを、雅紀君と3人で飲んだ。

苦いはずのブラックコーヒーが、まろやかに感じたのはなぜだろう?

コーヒーを飲み終わる頃には、すっかり体も温まっていた。










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