「Deepな冒険」
Deepな冒険(やま) 翔Ver.

Deepな冒険 翔ver. ③

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櫻井翔はすぐに車に戻ってきた。

「待たせたね。」

イケメンは全く悪いと思ってない様子で、運転席に乗り込む。

悪いと思ってるなら、早くおいらを帰してくれよ!

と思ったが、言えない……。

いんや、言わない!

そこは大人のマナー。

例え、超失礼なやつでも!

「ちょっと時間かかるかもしれない。」

「え?それは困る!」

そうだよ。いつまでおいら、櫻井翔と一緒にいるの!?

「困るって……なぜ?」

櫻井翔は不思議そうにおいらを見る。

「え……そりゃ……。」

とくに理由はないけどさ。

てか、どうして一緒にいなきゃいけないんだ?

口ごもるおいらを見て、櫻井翔がクスッと笑う。

「着いたら起こしてあげるから、寝ててもいいよ。助手席だけど。」

そう言って、サイドブレーキを上げる。

なんだよ!そんなこと言われたら、寝れねぇじゃん!

車はゆっくりと走り出し、スピードを上げる。

おいらは、ぼーっと窓の外を眺める。

夏の、生き生きとした風景と違って、

木々の緑は少し色を抑え、空の青も薄い……。

10月の景色は、どこか寂しげに見える。

櫻井翔が何かをポチッと押すと、音楽が流れる。

……聞いたことある。

これ、CMだったかな……。

櫻井翔がハンドルを握る指で、リズムを刻むと、聞こえるか聞こえないかの声で、

鼻唄を歌いだす。

体の中にスッと入ってくる音。

ああ、気持ちの良い声だな……。

そう言えば、ラップもやってるんだっけ?

低くてズンとくる、なんか下っ腹が疼くような……。

そんなんだった気がする。

女どもはイチコロだな?

こんなの聞いてたら。

って、ここでこうやって女たちを口説いてたのか……。

百発百中、間違いないね?

おいらはそっと運転席を見る。

ハンドルを握る櫻井翔の横顔は、映画のワンシーンのようにカッコいい。

少し乱れた前髪も、大きく鋭い目も、スマートな装いも、おいらにはないものばかり。

おまけに良い匂いまでする。

スキャンダルも毎年のようにマスコミを賑わして、

モテる男ってのは、こういうのを言うんだと、見せ付けられる。

「な。」

おいらはちょっと、声を掛けてみる。

「ん~?」

櫻井翔は、前を向いたまま答える。

「お前、幾つなんだよ。」

「俺?33……だけど?」

「……男盛りってやつだな……。」

溢れる色気はそのせいか?

って、おいらだって一つしか変わんねぇし!

「あなた……いくつなの?」

「おいら?……34……。」

声が小さくなる。

どう見ても、おいらのが幼い……。

いいんだよ。

芸能界なんて、妖怪がうじゃうじゃ居そうな所にいるこいつと比べたって、勝てっこない!

「ふぅん。俺より歳上なのか……見えないね?」

櫻井翔が、おいらを見てクスッと笑う。

う、うるせぇ!

「……ど、童顔の家系なんだよ。」

「それは羨ましい。」

またクスッと笑われる。

でも、ちょっと優しい目……。

……な、なんだよ、おいら、ちょっといいやつかもって思ってたぞ?

いかんいかん!

おいらは頭を振って、そんな考えを振り払う。

また、クスッと櫻井翔の笑う声が聞こえる。

おいらはそっちを見ずに、窓の外に目を向ける。

外の景色は変わることなく、柔らかい緑と、遥か遠い空。

また、櫻井翔が口ずさみだす。

おいらはそれを聞きながら目をつぶる。

心地良い車の揺れと、櫻井翔の声。

暖かい陽の光。

遠くなる意識……。

ダメだ!寝ちゃダメ!

寝たら負けだ……。

でも……なんで、櫻井翔はここにいる?

アイドルって……忙しいんじゃないのかな……。

そうだ……誰かに……追われて…た……。

おいらは、やっぱり眠ってしまった。



何かが、頬を突っつく。

「はは。その辺の女より柔らかい。」

また頬を突っつく。

おいらはそれを手で払いのける。

「着いたよ。起きないの?」

着いた……どこに?

「ほら……。」

何か、温かいものがおいらの頬を撫でる。

それが首筋に落ちていく。

「細い首……ちゃんと食べてる?」

気持ちよくて、されるままになっていると、いい匂いが近づいてきた。

「睫も……長いね……。綺麗な鼻筋……。」

何かが、おいらの鼻筋を撫で、鼻の天辺に着くと、唇にジャンプする。

「プルプルの唇……。」

気持ちよかった首筋の温かいものが離れていく。

あ……離れちゃう……そう思って、目を開けると、大きな目が俺の視界いっぱいに広がる。

「げっ!」

「げっ!はないんじゃないの?」

櫻井翔の指がおいらの顎を持ち上げる。

「げっ!だろ?……なんで…こんなに近い?」

「……こなれた女は、ここで寝た振りして誘うんだよ。あなたもそれかと思った。」

片肘を背もたれに乗せ、クスクス笑うと、おいらの顎をさらに持ち上げる。

「んなわけねぇだろ!」

おいらは顎に添えられた、櫻井翔の指を払いのける。

「そうかな?顔が赤いけど?」

おいらは両手で自分の頬を隠す。

「ね、寝てたからだよ!」

「そうなんだ?俺はてっきり、俺のこと好きなのかと思ったよ。」

「んなわけ!」

「ないよね?俺ら男だし。」

櫻井翔が、なんでもわかってるって言うような顔で笑う。

えっ?それどういう意味?

おいら、こいつのこと好きになってるって言いたいの?

いやいや!騙されちゃいけない!

そんなことあるはずない。

おいら、今まで男を好きになったことなんかなかったし。

彼女も何人かいたし。

そっち系じゃないはず!

おいらがそんなことをハイスピードで考えていると、

また櫻井翔がクスッと笑って、顔を近づける。

「俺は……そういうの大丈夫だよ?頭が柔らかいから。」

そう言い終わると、おいらの唇めがけて、櫻井翔の唇が近づいてくる。

おいらは両手で自分の口を隠す。

すんででおいらの貞操を守ると、櫻井翔はやっぱりクスッと笑って、

おいらの肩を二度叩く。

「さ、降りるよ?」

櫻井翔は運転席に戻って、車から降りる。

おいらは生唾を飲み込む。

どうしよう。

……ドキドキしてる……。

おいらは胸の鼓動を抑えようと、車の中に残る、櫻井翔の香りを思いっきり吸い込んだ。










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