「Deepな冒険」
Deepな冒険(やま) 智Ver.

Deepな冒険 智ver. ⑧

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パッと目を開く。

いつの間にか眠ってしまっていたことに驚く。

枕元の目覚まし時計はちょうど12時を指している。

俺はちょっと体を動かしてみる。

右足が異様に重い。

右手は若干しびれてる。

そして、すぐ隣に智の顔。

長い睫が智の寝息と共に震える。

その顔を見ている内に、吸い込まれるように、智の唇に唇を重ねる。

柔らかい唇……。

ハッと我に返る。

我に返っても、その唇を離すことができない。

智は……全く起きる様子はない。

規則正しい寝息と、俺の心臓の音で……正しい判断ができなくなってるんだ。

いいかな?いいのかな?

俺は生唾を飲み込んで、智の唇の間に舌を差し出してみる。

柔らかい、本当に柔らかい唇の間にそっと舌を忍ばせる。

そのまま前歯の隙間まで推し進める。

舌を縦にして、隙間を大きくすると、智の目がパチッと開く。

え?起きた?

びっくりして、息ができない。

瞬きもできずに智を見ていたら、智の目はパチパチと二度瞬きをして、

目を見開いたまま、じっと動かなくなる。

俺、どうしたらいい?

舌をそっと引っ込めて見る。

智はまだ目を見開いて俺を見てる。

起きてるの?智……。

唇を……ゆっくり離していく。

離れがたい柔らかい感触が、少しずつ遠のいていく。

智に……なんと思われたか……。

俺も黙って智を見続ける。

「……おいら、まだ寝てる?」

え?それを聞くのは俺じゃない?

「っんふふ。そうだよね。まだ夢の中だ……。」

智が小さく笑う。

30過ぎのおっさんが、その顔はないだろ?

ずりぃよ。

「すっごいリアル……感触まである……。」

智は俺の頬を指先で撫でる。

「近くで見る翔君は、イケメン……。翔君の方が、おいらよりアイドルみたい。」

ほんとに思ってるか?

国民的アイドルに言われると……なんだ?恥ずかしいな……。

「でも、夢の中だから……翔君の声は聞こえないんだね……。」

……そう言うわけじゃないんだけど……。

夢の中ってことにしたいの?

それとも本当にそう思ってる?

「……じゃ、いいよ。翔君の声、好きだけど、しゃべんなくて。」

それは……しゃべんなってこと?

「おいら……たくさんの初めてを翔君にもらった……。

 ありがとう。

 夢の中だけど……男同士のキスも初めてだよ?」

……そりゃそうだ。俺だって初めてだよ。

「男同士なんて、考えたこともなかったけど……嫌じゃなかった。」

……智…。

俺はホッとするのと同時に、期待で胸が膨らむ。

今日だけだから。

今日だけの恋だから……。

祈るように智の次の言葉を待つ。

「これは夢だから、きっとおいらの思った通りになる……。

 ねぇ、翔君、おいら、帰りたくない。

 もっと一緒にいたい……。

 翔君の作るラーメン、また食べたい……。」

智……。

俺は智を両手で抱きしめる。

智の体が、俺の右足の上で俺に近づく。

石鹸のような匂いが、ふわっと俺の鼻を掠める。

シャンプーとは違う、もっと清潔感のある匂い。

きっと、これは智の匂い……。

「ほらね。おいらの思った通りになった。」

智がちょっと寂しそうに笑う。

「いいんだ……。これからは、夢の中で会うんだから。

 夢の中で……。」

俺はたまらず、智の唇に唇を重ねる。

柔らかい唇の間から、智の舌が俺の唇の間を割って入ってくる。

絡まる舌に、より唇が密着する。

角度を変えて、貪るように吸い付くと、智の両手が俺の頬を包んだ。

クチュッと、唾液が小さな音を立てる。

何度も舌を絡めながら、左足の膝を智の太腿の上に乗せ、抱え込む。

より体が密着し、興奮気味の俺のが、智に当たる。

「あんっ……。」

鼻に抜ける、小さな吐息。

「翔……くん……。」

柔らかい、優しい声。

「んっ……んんっ……苦し……。」

いつの間にか、力の入った俺の腕が、智の華奢な体を縛り付ける。

苦しそうに歪んだ顔も、余計に俺を炊き付ける。

「ダメっ。」

力いっぱい体を引き離した智が、はぁはぁ息をしながら俺を見る。

「おいら……こんなこと考えてるんだ……。

 思ってたよりスケベだな……。

 もっと淡白だと思ってたのに……。」

「智……。」

「あ……翔君の声……。もっとしゃべって。」

「…………。」

俺は何を言ったらいいのかわからなくなる。

夢の中だから……何を言っても許される?

「俺も……もっと一緒にいたい。」

「うん。そうだね……もっと、いろんなこと、教えて欲しい。」

「帰んなよ。」

「うん。」

「ずっとここにいればいい。……狭いけど。」

「ふふっ。狭いから、こうしてずっとくっついていられる。」

「もっと抱き合って……キスして……。」

「あはっ。翔君スケベ……って、おいらが考えてるのか……。」

「……好きだよ。」

「翔君、チャラい。出会ったその日に言うなんて。

 しかも相手は男なのに……。

 そうか。夢の中だから、そういうコテイガイネン?無視していいのか……。」

智はちょっと顔を傾けて、眉間に皺を寄せる。

「でも……おいらの気持ち、翔君に伝わらなくていいんだ……。

 翔君にとっては迷惑……きっと。

 翔君はいろんな女の人と知り合って、恋をして、結婚して……。

 おいらと違ってそれが普通。

 おいらは……こうやって夢の中で翔君に会えるから……。」

これは夢じゃない……喉まで出掛かって、飲み込む。

夢の中の方が、きっといいんだ……。










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