「ココロチラリ」
ココロチラリ 田舎編

ココロチラリ 田舎編 (31) - タイムカプセル side story -

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おいら達は上気した顔が元に戻る頃、膝についた埃を払って広間へ戻る。

戻ったとたん、ジュン君と目が合って、ニコッと笑われた。

おいらは気づかれたみたいな気がして、下を向いて席につく。

隣のショウ君を見ると、満面の笑みでにこやかに笑い返してる。

広間を見回して、カズとマー君を探すと、カズと目が合った。

カズは沙良ちゃんと話しながら、フンと鼻を鳴らす。

マー君は子供達と遊ぶのに夢中で、こっちに気づかない。

あの浴衣の子は……いなくなってた。

お父さんとお母さんはおじいさんと話をしてる。

おいらはホッとして、ショウ君を見上げる。

ショウ君は、大丈夫というように、おいらの肩を抱いて力を込める。

おいら達の席の前に、舞香さんと飛鳥ちゃんがやってきて、深々と頭を下げた。

「今日はありがとうございます。おかげで、お父さんに会うことができました。」

丁寧に話す舞香さんの笑顔は柔らかく、とっても優しそう。

「とんでもない。こちらこそ、おかげで認めてもらうことができました。」

ショウ君も丁寧に言い、頭を下げる。

おいらも倣って頭を下げる。

おいら達が舞香さんと話し始めると、

飛鳥ちゃんはすぐにマー君のところに行ってしまった。

マー君は、子供達と一緒に転がりながら笑ってる。

みんなの周りでモジモジしている飛鳥ちゃんを見つけると、

マー君が手招きして呼び寄せる。

すぐに飛鳥ちゃんも混ざって走り始めた。

マー君は本当にすごい。

笑顔のパワーが半端ない。

だから、座敷童も幽霊もくっついてきちゃうんだよ。



宴会はショウ君が言った通りに夜まで続き、眠くなると各自部屋へ帰っていく。

おいら達が部屋に戻ったのは10時くらい。

まだ12、3人の人が広間で飲んでいた。

ショウ君のお父さんも一茂おじさんも残っている。

おじいさんはとっくに部屋に戻っていた。

おいら達は5人で軽くシャワーを浴び、楽な格好で部屋に帰る。

途中で、ジュン君がショウ君に言った。

「隠し部屋があったんだって?」

「ん?うん。」

ショウ君が頭を拭きながら返事する。

「俺も……行ってみたい!ダメ?」

ジュン君がお酒のせいか、お風呂上りのせいか、色っぽい目つきでショウ君を見る。

ショウ君はジュン君から目を逸らして、おいらを見る。

おいらは小さく首を振る。

「俺も行きたい!俺も行ってない!」

おいらとショウ君、カズは顔を見合わせてどうしようか考える。

「明日帰っちゃうし……行ってみる?」

カズがショウ君に言う。

「俺、ちょっと気になってることがあるんだ。」

ショウ君がまた言う。

「おいら……部屋で待ってる。」

おいらがそう言って立ち止まると、両脇からマー君とジュン君の腕が伸びる。

「ダメだよ。みんなで行こうよ。」

「そうそう、5人がここへ来た記念にね?」

二人にそう言われて、しぶしぶ廊下を歩き出す。

でも……本当に、なんだか嫌な感じがするんだよな……。

マー君は大丈夫?

マー君が大丈夫なら……平気なのかもしれないけど……。

おいら達の部屋を過ぎ、廊下を進んで、物置の前に立つと、マー君が急に首を横に振る。

「やっぱり、俺、いいや。」

ほら、やっぱり。

「マサキのその反応……出るんですね?」

カズの目がキラリと光る。

「ここは……どんな感じなの?」

ジュン君が、ちょっと心配そうにマー君を見る。

マー君は、顔を上げて、匂いをクンと嗅ぐ。

「うん……キレイな感じと悪い感じが乱れてる……。」

「乱れてる……やばそうな感じ?」

ジュン君が物置のドアに手を掛け、中を覗こうとする。

「昨日……サトシも行ったんだよね?大丈夫だった?」

ジュン君の潤んだ瞳で聞かれ、ちょっとドキッとしながら昨日のことを思い出す。

昨日は……大丈夫だったよね……?

「うん。……昨日は大丈夫だった……。」

今日みたいな嫌な感じはしない……。

「サトシ、先頭で入っていったんだよ、昨日は。」

ショウ君がジュン君を見ながら、行きたそうに言う。

今日は、なんでダメなんだろう?

結局、おいらとマー君は物置で待つことになった。

いざと言う時、助けに行けるように。

ショウ君を先頭に、階段を下りていく3人を見送る。

すでに地下の空気がどんよりしてる。

3人が行ってしまって、物置に残ったおいらとマー君は顔を見合わせ、階段を覗き込む。

どんよりした空気は、下に行けば行くほど濃くなってる気がする。

「だ、大丈夫かな?3人で行かせて……。」

マー君が情けない顔でおいらを見る。

「うん……昨日は何もなかったんだけど……。」

おいらも眉を下げてマー君を見つめる。

「……追いかける?」

「うん……。」

おいら達が頭をくっつけて、階段を覗き込むと、マー君は首を小刻みに横に振る。

「でも、おいらとマー君が行ったら……少しは……。」

「ん……。」

二人の間に沈黙が流れる。

「もう……着いたかな?」

「うん。着いた頃……。」

おいらは耳を澄ます。

でも、全然音なんか聞こえない。

「懐中電灯……1本で大丈夫かな……。」

「中は電気が点くから大丈夫……。」

また沈黙が流れる。

おいら達はどうしたらいいかわからなくて、ソワソワする。

突然、階段の下から、ギャッという悲鳴が聞こえる。

二人で、入り口に張り付く。

「ショウ君!」

「カズ!ジュン君!」

耳を澄ましても、何の音も聞こえない……。

「どうしよう……。」

おいらがマー君を見ると、マー君は鼻を摘んで懐中電灯を棚から取る。

「い、行ってくる!」

マー君が恐る恐る階段を下りていく。

おいらもマー君の肩を掴んで後に続いた










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