「ココロチラリ」
ココロチラリ 田舎編

ココロチラリ 田舎編 (28) - タイムカプセル side story -

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おいら達は最後に佳代子さんのところへ行く。

忙しそうにしてた佳代子さん達も、やっと落ち着いておしゃべりしてる。

「佳代子おばちゃん!」

ショウ君が駆け寄り、ビールの瓶を差し出す。

佳代子さんもにっこり笑って、グラスを差し出す。

「今日はありがとうございました。そしてお疲れ様。」

グラスにビールを注ぎながら言う。

「こっちこそ、ごめんね。二人の大事な時に紀ちゃんの話を持ち上げて……。」

「おかげで助かったのは俺ら。佳代子おばちゃんには感謝しかない。」

ショウ君がグラスを上げて、おいらを見る。

おいらもグラスを上げる。

「改めて、佳代子おばちゃんの作戦成功おめでとう。」

ショウ君が小さな声で言い、おいらと佳代子さんは笑ってグラスを鳴らす、

「万事、上手くいってよかった。」

ショウ君も遅れてグラスを合わせる。

佳代子さんがグラスを口に運び、ゴクッと一口飲む。

「ああ、美味しい!」

佳代子さんは、本当に晴れがましそうに笑う。

「二人も、これで晴れて田沼家の大人の仲間入り。よろしくね。」

「はい。」

おいらとショウ君は同時に返事をし、顔を見合わせる。

「そうそう、聞きたいことがいくつかあるんだけど……。」

ショウ君が、テーブルの上の美味しそうな天ぷらを手づかみで頬張る。

「こら!ショウちゃん、手掴みなんて!」

佳代子さんが、近くにある割り箸をショウ君に突き出す。

「佳代子おばちゃんの天ぷら、相変わらず美味しい!」

ショウ君がおいらに、目で食べてごらんと促す。

おいらも山菜の天ぷらを口へ運ぶ。

「本当、美味しい。」

おいらもにっこり笑って佳代子さんを見る。

「あら、ありがとう。田舎料理だけどね。素朴が一番。」

佳代子さんもニコニコ笑う。

「聞きたいことって?」

「ああ、俺ら……地下室見つけたんだけど……。」

「地下室?……ああ、あれ、見つけたの?」

「うん。いつからあるの?」

佳代子さんは小魚の佃煮のようなものを口へ運ぶ。

「さぁ、私が生まれた時にはすでにあったから……。

 うわさだと、昔は密会部屋として使ってたらしいけど……。」

「密会部屋?」

おいらが首を傾げて佳代子さんを見ると、佳代子さんがニヤッと笑う。

「そう、何代目の当主だったか、かわいい子を見つけては、

 あそこで手をつけてたって……。すごい恐妻家でって話を聞いたことあるけど。」

「やっぱり。」

ショウ君がうなずく。

「戦時中には綺麗に作り直して、防空壕みたいにしてたって話だけど……。

 知ってるのはおじいさんくらいなんじゃない?」

おいら達はおじいさんを見る。

久しぶりに会う親戚のおじさん達と、楽しそうに話をしてる。

「でも、最後は紀ちゃんと一茂兄ちゃんの愛を育む場所になったから。」

佳代子さんは遠い目をして笑う。

きっとみんなで協力したんだね。

おいら達を応援してくれた、あの3人みたいに。

「あれは?納屋から続く隠し通路。」

ショウ君がビールを飲みながら、今度はお漬物をポリポリ。

「ん~!このお新香も最高!サトシも食ってみ。」

おいらは言われるままにお漬物を食べてみる。

「んん~!美味しい!みょうがが利いてる!!」

「でしょ?私の漬物、評判、すごくいいの。」

佳代子さんも嬉しそうにお漬物を摘む。

「あ、隠し通路だったわね?あれも見つけたの?」

「子供の頃、行っちゃいけないって言われてたところに

 いろいろ面白いものがあったんだね。」

ショウ君がちょっと意地悪そうに笑う。

佳代子さんが苦笑いする。

「仕方ないでしょ?あんなの知ったら子供たち、危なくても楽しくなっちゃうんだから。」

ショウ君が、うんうんと、うなずきながら笑う。

「確かに。俺らだったら絶対遊んじゃう。」

ショウ君は、遠くにいる従兄弟達を見て、ニヤッと笑う。

「あれも、昔の当主が……いざと言う時の逃げ道として……って口実で、

 夜遊びするのに作ったらしいけど……。」

「俺の先祖は遊び人が多いな。」

「そうよ。だからサトシ君、気をつけてね。ショウちゃんには遊び人の血が流れてるから。」

佳代子さんがニヤニヤ笑う。

「はは。俺は大丈夫。サトシ以外と遊ぶ気ないから。」

「わかんないわよ~。」

「わかるわかる。20年以上、サトシ以外を好きになったことないんだから。」

ショウ君は上機嫌でビールを煽る。

「好きじゃなくても浮気はできる。ね?サトシ君?」

「あ……はぁ。」

おいらが困ってうなずくと、佳代子さんがクスクス笑う。

「でも……ショウちゃんは大丈夫そうね?みんなの前でキスしちゃうくらいだから。」

おいらは思い出して、顔が赤くなる。

ショウ君は、そうだそうだとうなずきながら、パクパク天ぷらを摘む。

ホッとしてお腹が空いちゃったのかな?

おいらもお腹が空いてることに気づいて、ショウ君と一緒に佳代子さんの

美味しい料理をいただいた。

広間の中はどこを見ても楽しそうで、ああ、おいら幸せだなって、

やっと実感が沸いてきた。










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