「ココロチラリ」
ココロチラリ 田舎編
ココロチラリ 田舎編 (15) - タイムカプセル side story -
2015.09.10 *Edit
書斎のドアには鍵がかかっていた。
部屋のドアから出ると、鍵をかけることができない。
だからおいら達は、来た道を戻って帰ることにした。
戻る道すがら、あの部屋をもう一度調べてみたけど、何も出てこなかった。
物置に戻って、とりあえず、まだ調べていない東側の残りの部屋を調べていると、
真希ちゃんがやってきた。
真希ちゃんはショウ君の従兄弟で、千賀子さんの娘さん。
イマドキの女の子って感じで、目が大きくて、オシャレさん。
大学を卒業したばかりって言ってたかな?
「ショウちゃん!こんなとこにいた!」
真希ちゃんは慌てた様子で、息を切りながら走ってくる。
「真希?どうした?」
ショウ君が廊下の真ん中で立ち止まる。
おいらとカズもそれぞれの部屋から出て、真希ちゃんを待つ。
真希ちゃんはショウ君のところまで来ると、ショウ君の腕に縋りついて、
はぁはぁ、息を上げる。
「何、急ぎの用事?」
「はぁ、はぁ……ショウちゃんの……友達、今どこにいる?」
「友達?」
ショウ君がおいらとカズを見る。
「サトシとカズならここにいるけど?」
「他にもいたでしょ?ジュン君だっけ?それと……。」
「マサキ?マサキがどうした?」
マー君に何かあったの?
おいら達は真希ちゃんを囲んで、次の言葉を待つ。
「今、友達から、はぁ……、連絡あって……。」
真希ちゃんはショウ君の両腕を掴んで、大きく息を吸う。
「村でイケメン二人が、女の子に声掛けまくってるって。」
「声掛けまくるって……ナンパ?」
ショウ君がはぁ?って顔で首を傾げる。
「そう。だから、ばっちりメイクして外に出ろって!」
女の子だね。声掛けられるかもしれないから、綺麗にしたいなんて。
おいらが真希ちゃんを見て笑うと、真希ちゃんは目を見開いて首を振る。
「こんなイケメン、滅多にいないから、ナンパされようってみんな騒いでる!!」
「あのバカ。」
カズが小声でつぶやく。
「あいつら、自分達のこと、ほんとわかってないから。」
ショウ君が手の平でおでこを叩く。
「友達と連絡取れる?すぐ帰って来いって言ってもらって。」
ショウ君は、ちょっと目を吊り上げて、真希ちゃんに言う。
仕方ないよショウ君。
東京でだってあんなイケメン滅多にいないんだから!
あの二人が並んで歩いてるだけで騒ぎになっても!
しばらくして、二人が帰ってくると、腕組みしたショウ君とカズが、
仁王立ちして部屋で待っていた。
「ナンパしまくるって、どういうことですか?
あなた達、自分達の目的忘れたんじゃないですよね?」
「わ、忘れてないよ……なぁ?」
マー君はそう言いながら、ジュン君の後ろに隠れる。
「忘れてないから、こんなことになったんじゃない。」
ジュン君はしれっと答える。
「女の子にばっかり声を掛けたんだろ?」
ショウ君の声が怒ってる。
「そんなことないよ。だからほら。」
二人は手にしていたビニール袋をおいら達の前に置く。
「最初は畑仕事してるおじいさんとかおばあさんに声掛けて……。」
ジュン君が説明しながら、ビニール袋の中に手を入れる。
「そしたら、次々野菜をくれて。」
ジュン君の手には、なすやきゅうり、みょうがやとうもろこし。
ジュン君のビニール袋の隣に、マー君もビニール袋を置く。
「ショウちゃんとこに泊まってるっていったら、お世話になってるから持って帰れって。」
マー君の袋の中にはトマトがいっぱい。
「で、通りがかりの中学生とかにも声掛けて、聞き込みして。ね?」
マー君がジュン君に視線を投げる。
「そうそう、中学生だったかな?友達がそれらしい人見たって言ってたって言うから、
その友達に話し聞きたいって言ったら……。」
「中学生が5人くらいやってきて。」
「……気づいたら、どんどん女の子でいっぱいになってな?」
ジュン君がマー君の顔を見る。
ショウ君とカズは呆れたように溜め息をつく。
「でも、この村、女の子いっぱいいるんだね?」
マー君が感心したようにうなずく。
「ばか。隣の町からもやってきてるんですよ。」
カズが吐き捨てるように言うと、トマトを一つ取り上げた。
「そっかぁ、それであんなにいっぱいになったんだね。でも、なんで?」
マー君が首を傾げたのを見て、カズも諦めたのか肩を落とす。
「あなた、高校時代とか覚えてないの?女の子、いっぱいやってきてたでしょ?」
「あれは学校だったからでしょ?大人になってからは、あんまないよ。」
「大人には分別があるからです!」
カズが声を上げて、マー君を睨んだ。
そのままトマトを握りつぶしそうな勢い。
ショウ君も、はぁ、と溜め息をついて、トマトを一つ手に取る。
「で、成果はあったの?」
「あ、あったよね?」
マー君がジュン君に助けを求める。
「まぁ、ちょっとはね?」
「ちょっと?」
カズがまた目を吊り上げる。
ジュン君が、俺に振るなよと言うように、マー君を前に押し出して言う。
「紀子さんの行方を知ってる人には会えなかったんだけど……。」
マー君がチラッとカズを見る。
「白い服の女の人、見かけた人が何人かいたんだよ。」
マー君がカズの目を避けるように、またジュン君の背中に隠れる。
「でも、村の人じゃないって。」
ジュン君の背中から顔を覗かせて、マー君が答える。
「数日前から出没してるらしい。綺麗な人らしいから、目立つんだね?」
マー君を助けるようにジュン君が言う。
「じゃ、女の人は実在するってことですね?」
カズが手にしたトマトを齧った。
ジュルッとしたトマトの汁が、美味しそう。
「そうみたい。」
ジュン君もトマトを一つ手にする。
「マサキの錯覚じゃなかったわけだ。」
ショウ君もトマトに齧りつく。
ショ君の口元からトマトの汁が垂れる。
なんか、ショウ君がトマト齧ると……それだけで、やらしく感じる……。
おいらは一人で赤面して、そんな自分が恥ずかしくなる。
「サトシ、どうした?」
ショウ君がおいらを見ると、余計顔が赤くなっていく。
「な、なんでもない……。」
ば、ばか。何こんなとこで欲情してんだよ!
おいらは俯いて顔を隠す。
「あ、一人、その女の人を見たって高校生が……。」
ジュン君はそう言って、CMみたいにトマトを齧る。
「小さな女の子と一緒だったって。」
「女の子?」
ショウ君が、ジュン君の顔を見つめる。
「そう……おかっぱの。」
ジュン君がトマトを齧りながらニヤリと笑った。
部屋のドアから出ると、鍵をかけることができない。
だからおいら達は、来た道を戻って帰ることにした。
戻る道すがら、あの部屋をもう一度調べてみたけど、何も出てこなかった。
物置に戻って、とりあえず、まだ調べていない東側の残りの部屋を調べていると、
真希ちゃんがやってきた。
真希ちゃんはショウ君の従兄弟で、千賀子さんの娘さん。
イマドキの女の子って感じで、目が大きくて、オシャレさん。
大学を卒業したばかりって言ってたかな?
「ショウちゃん!こんなとこにいた!」
真希ちゃんは慌てた様子で、息を切りながら走ってくる。
「真希?どうした?」
ショウ君が廊下の真ん中で立ち止まる。
おいらとカズもそれぞれの部屋から出て、真希ちゃんを待つ。
真希ちゃんはショウ君のところまで来ると、ショウ君の腕に縋りついて、
はぁはぁ、息を上げる。
「何、急ぎの用事?」
「はぁ、はぁ……ショウちゃんの……友達、今どこにいる?」
「友達?」
ショウ君がおいらとカズを見る。
「サトシとカズならここにいるけど?」
「他にもいたでしょ?ジュン君だっけ?それと……。」
「マサキ?マサキがどうした?」
マー君に何かあったの?
おいら達は真希ちゃんを囲んで、次の言葉を待つ。
「今、友達から、はぁ……、連絡あって……。」
真希ちゃんはショウ君の両腕を掴んで、大きく息を吸う。
「村でイケメン二人が、女の子に声掛けまくってるって。」
「声掛けまくるって……ナンパ?」
ショウ君がはぁ?って顔で首を傾げる。
「そう。だから、ばっちりメイクして外に出ろって!」
女の子だね。声掛けられるかもしれないから、綺麗にしたいなんて。
おいらが真希ちゃんを見て笑うと、真希ちゃんは目を見開いて首を振る。
「こんなイケメン、滅多にいないから、ナンパされようってみんな騒いでる!!」
「あのバカ。」
カズが小声でつぶやく。
「あいつら、自分達のこと、ほんとわかってないから。」
ショウ君が手の平でおでこを叩く。
「友達と連絡取れる?すぐ帰って来いって言ってもらって。」
ショウ君は、ちょっと目を吊り上げて、真希ちゃんに言う。
仕方ないよショウ君。
東京でだってあんなイケメン滅多にいないんだから!
あの二人が並んで歩いてるだけで騒ぎになっても!
しばらくして、二人が帰ってくると、腕組みしたショウ君とカズが、
仁王立ちして部屋で待っていた。
「ナンパしまくるって、どういうことですか?
あなた達、自分達の目的忘れたんじゃないですよね?」
「わ、忘れてないよ……なぁ?」
マー君はそう言いながら、ジュン君の後ろに隠れる。
「忘れてないから、こんなことになったんじゃない。」
ジュン君はしれっと答える。
「女の子にばっかり声を掛けたんだろ?」
ショウ君の声が怒ってる。
「そんなことないよ。だからほら。」
二人は手にしていたビニール袋をおいら達の前に置く。
「最初は畑仕事してるおじいさんとかおばあさんに声掛けて……。」
ジュン君が説明しながら、ビニール袋の中に手を入れる。
「そしたら、次々野菜をくれて。」
ジュン君の手には、なすやきゅうり、みょうがやとうもろこし。
ジュン君のビニール袋の隣に、マー君もビニール袋を置く。
「ショウちゃんとこに泊まってるっていったら、お世話になってるから持って帰れって。」
マー君の袋の中にはトマトがいっぱい。
「で、通りがかりの中学生とかにも声掛けて、聞き込みして。ね?」
マー君がジュン君に視線を投げる。
「そうそう、中学生だったかな?友達がそれらしい人見たって言ってたって言うから、
その友達に話し聞きたいって言ったら……。」
「中学生が5人くらいやってきて。」
「……気づいたら、どんどん女の子でいっぱいになってな?」
ジュン君がマー君の顔を見る。
ショウ君とカズは呆れたように溜め息をつく。
「でも、この村、女の子いっぱいいるんだね?」
マー君が感心したようにうなずく。
「ばか。隣の町からもやってきてるんですよ。」
カズが吐き捨てるように言うと、トマトを一つ取り上げた。
「そっかぁ、それであんなにいっぱいになったんだね。でも、なんで?」
マー君が首を傾げたのを見て、カズも諦めたのか肩を落とす。
「あなた、高校時代とか覚えてないの?女の子、いっぱいやってきてたでしょ?」
「あれは学校だったからでしょ?大人になってからは、あんまないよ。」
「大人には分別があるからです!」
カズが声を上げて、マー君を睨んだ。
そのままトマトを握りつぶしそうな勢い。
ショウ君も、はぁ、と溜め息をついて、トマトを一つ手に取る。
「で、成果はあったの?」
「あ、あったよね?」
マー君がジュン君に助けを求める。
「まぁ、ちょっとはね?」
「ちょっと?」
カズがまた目を吊り上げる。
ジュン君が、俺に振るなよと言うように、マー君を前に押し出して言う。
「紀子さんの行方を知ってる人には会えなかったんだけど……。」
マー君がチラッとカズを見る。
「白い服の女の人、見かけた人が何人かいたんだよ。」
マー君がカズの目を避けるように、またジュン君の背中に隠れる。
「でも、村の人じゃないって。」
ジュン君の背中から顔を覗かせて、マー君が答える。
「数日前から出没してるらしい。綺麗な人らしいから、目立つんだね?」
マー君を助けるようにジュン君が言う。
「じゃ、女の人は実在するってことですね?」
カズが手にしたトマトを齧った。
ジュルッとしたトマトの汁が、美味しそう。
「そうみたい。」
ジュン君もトマトを一つ手にする。
「マサキの錯覚じゃなかったわけだ。」
ショウ君もトマトに齧りつく。
ショ君の口元からトマトの汁が垂れる。
なんか、ショウ君がトマト齧ると……それだけで、やらしく感じる……。
おいらは一人で赤面して、そんな自分が恥ずかしくなる。
「サトシ、どうした?」
ショウ君がおいらを見ると、余計顔が赤くなっていく。
「な、なんでもない……。」
ば、ばか。何こんなとこで欲情してんだよ!
おいらは俯いて顔を隠す。
「あ、一人、その女の人を見たって高校生が……。」
ジュン君はそう言って、CMみたいにトマトを齧る。
「小さな女の子と一緒だったって。」
「女の子?」
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