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「ココロチラリ」
ココロチラリ 田舎編

ココロチラリ 田舎編 (3) - タイムカプセル side story -

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おじいさんの部屋は、中庭の前の広い和室だった。

ショウ君に先導されて、4人はぞろぞろついていく。

おいらはもちろん、ショウ君の後ろ。

ショウ君のお父さんとお母さんは、小さい頃から知っていたから

あんまり緊張しなかったけど、おじいさんは緊張しちゃう。

あ、トイレ、行っとけばよかったかな?

おいら達の部屋からどう行ったのかわかんないけど、

大きな襖の前でショウ君が正座した。

みんな、その後ろに一列に並んで正座する。

何畳くらいあるんだろう?

何枚もの障子と襖に、どこまでが部屋なのか、廊下からではわかんない。

「おじいさん、ショウです。」

ショウ君が少し大きな声で襖の向こうに呼びかける。

「……ショウか。入りなさい。」

ショウ君は両手を襖に添えると、そっと開けていく。

反対側の襖も、膝でにじり寄って半分開ける。

部屋に入る前にお辞儀をしたので、おいらもそれに倣う。

顔を上げると、正面の低いテーブルの向こうにおじいさんが座っていた。

おじいさんは所謂、強面(こわもて)で、つるつるの頭に鋭い目、

口の周りに白い髭を生やしていて、いかにも主といった風貌。

時代劇とかに出てくる、忍者の頭とか、道場主って感じかな?

それでも、その目元の皺がショウ君の笑った時に似てて、ちょっとホッとする。

「お久しぶりです。」

気づくとショウ君は、おじいさんのテーブルの向かいに、少し離れて座る。

「いつぶりかのう……。いくつになった?」

「31になりました。もう10年ぶりくらいです。」

「うむ。大人の顔になってきたな。」

「ありがとうございます。」

ショウ君が頭を下げる。

おいら達はおずおずとショウ君の後ろに並んで座る。

もちろん正座。

おじいさんがおいら達を見る。

その視線が動いて、一人一人を見定められてるみたいで、また緊張していく。

一通り見終わると、おじいさんはショウ君を見つめ、にっこり笑う。

「いい友達にも恵まれてるようだな。」

「はい。」

ショウ君の声は明るい。

あんまり緊張してないのかな?

おいら達は、いい友達と言われ、チラッと隣を見回した。

こそばゆい思いを共有する。

「今日は……おじいさんに紹介したい人を連れて来ました。」

ショウ君の声がちょっと緊張する。

おいらの緊張はもちろんピーク。

普段、あんまり緊張しないおいらだけど、さすがに緊張して、顔が強張るのがわかる。

「紹介したい人……。」

「はい。」

「それは人生の伴侶……という意味でいいのかね?」

「はい。そうです。人生、生涯の伴侶です。」

おじいさんはゆっくりと腕を組んで、大きくうなずく。

「お前が……十分に考え、感じたのだな?」

「はい。私には彼以外、考えられません。」

ショウ君の声は澄んでいて、淀みも迷いもなくて……。

おいらはショウ君の背中を見つめる。

大きな広い背中。

シャツがピッと張って、ショウ君が軽く礼をする。

「サトシ……。」

ショウ君が振り返って、おいらを呼ぶ。

その声があまりにも優しくて、さわやかで……。

一瞬、何が起こってるのかわからなくなって、呆けた顔になる。

「サトシ。」

もう一度呼ばれて、おいらはハッと我に返る。

「は、はい。」

おいらは立ち上がって、ショウ君の隣に行く。

並んで座って、不安になってショウ君の顔を見上げる。

ショウ君は緊張してる風でもなく、目尻を下げて笑い掛けてくれる。

いつものショウ君の優しい顔。

ショウ君はおいらを安心させるようにうなずいて、手を握ると、

おじいさんの方を向く。

「おじいさん、サトシです。私が選んだ伴侶です。」

おいらはショウ君の手を離し、膝の上に手を乗せて、おじいさんを真っ直ぐに見る。

「大野……サトシです。」

おいらは思いっきりお辞儀をする。

顔を上げて、おじいさんを見ると、おじいさんは鋭い目でおいらを見つめてる。

おいらがショウ君に相応しいかどうか、値踏みされてるみたい……。

しばらくおいらを見つめた後、厳しい顔のままショウ君に言う。

「ふむ……。では、我が家の仕来たりに従ってもらうが……よいかな?」

「仕来たり?」

ショウ君が怪訝な顔をする。

そんなの聞いたことがないと言う様に、おじいさんに目で訴える。

「ショウは聞いたことないか……。我が家では、男も女も伴侶を決める際、

必ずやってもらう儀式がある。」

「儀式……ですか?」

「まぁ、大したことはない。本当の伴侶なら、できないことはない。」

「はぁ……。」

ショウ君は困った顔でおいらを見る。

おいらは笑って、ショウ君の顔を見返す。

「まずは……明後日、ここに親戚一同が顔を揃える。

 その時に振舞う料理……用意してもらおうかのぅ。」

「料理……ですか?」

ショウ君が聞き返す。

「そうだ。……素麺で、もてなしてもらおうか。」

「素麺……。」

おいらは小さくつぶやく。

「ほっほっほ……。」

おじいさんは笑っておいらとショウ君を見比べる。

おいら達は顔を見合わせて考える。

素麺なんて……茹でるだけなのに……おもてなし料理になんてなるのかな?

おいらがそんなことを考えていると、おじいさんはマー君達に声を掛けた。

「お友達も、ゆっくり遊んでいきなさい。ここは広いだけが取り柄の何もないところだが、

 山も川も空もある。久しぶりに子供に帰るのもよかろう。」

おじいさんが言うと、みんなが一斉にお辞儀した。










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