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花火(やま)

花火 10話 ~ やま ~

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DVDが終わって、俺には内容なんて全く残ってなかったけど、

智が饒舌に話し始める。

「くぅ~っ!いい!あのパンチ!見た?」

いつも、言葉少ない智には珍しい。

智が、俺の隣の床に座って足を投げ出した。

上半身をソファーに預けて、う~んと背中を伸ばす。

伸ばした時の喉仏……滑らかな感じが……触りたくなってくる……。

右手が10センチ持ち上がる。

「やっぱ、かっけぇ!ケリとか見えねぇし!」

智が上体を起こし、キラキラした目で俺を見る。

俺は右手を握って、笑って見せる。

智はプレイヤーからDVDを丁寧に取り出して、興奮してる。

俺は違うことで興奮気味……。

DVDをしまうと、ソファーに寄りかかってお菓子をパクパク食べ始める。

……もうちょっと色気のあるDVDだったら……。

智と恋愛モノ……?それもなぁ。

AVは……一緒に見てくれないと思うし……。

それに、エロい女見て興奮する智……。

見たいような見たくないような。

「翔君……?」

智が俺の顔を覗き込む。

目をクリクリさせて、不安そうに覗き込む。

智の口の周りに、お菓子のくずがついてて、それが目から離れてくれない。

唇……と思って視線を上げたら、顔が近くて恥ずかしくなる。

俺は不自然に顔を逸らす。

「面白くなかったかなぁ。」

智が顔を離して頭を掻く。

「そ、そんなことないよ。」

そんなことないけど、俺の頭の中は違うことでいっぱい。

二人の間の沈黙が……変な雰囲気を作っていく。

チラッと智を見ると、智は下を向いて口を尖らせてる。

「……どうしたの?」

「別に……。」

まだ口を尖らせたままの智。

「口……尖ってる。」

「……生まれつき。」

「さっきまでは尖ってなかったよ。」

智がプイとそっぽを向く。

あ……俺がDVD、真面目に見なかったから、怒った?

「……怒ってる?」

「怒ってないよ。」

智は顔を逸らしたまま答える。

「……怒ってるじゃん。」

「怒ってないって!」

智がこっちに顔を向ける。

俺の顔を見て、一瞬目を見開くと下を向く。

「なんか……こういう会話、やだ。」

「……なんで?」

俺が聞くと、智はテーブルの端を指で撫でながら言う。

「カップルみたいじゃん。」

「カップル?」

俺は思いもよらない返事にびっくりする。

「俺……カップルでもいいんだけど……。」

「だから、おいら、その気(け)はないからって言ってるじゃん。」

智はテーブルの端を見ながらそう言って、口を尖らせる。

でも、さっきとはちょっと表情が違う?

「俺……その気(き)……満々。」

俺は意を決して智を見る。

智は……テーブルの端を撫で続けて、その場から動かない。

俺のこと……待ってる?

「智……。」

俺はちょっと智に寄ってみる。

テーブルを撫でていた智の指がキュッと止まる。

「俺の気持ちは知ってるよね?」

智が小さくうなずく。

「あれから……変わってないよ。俺。」

おずおずと智の目が俺を見る。

「何度も言うけど、おいら達、男同士だよ?」

「知ってる。」

「男同士で恋人って……キモくない?」

「……。」

前はそう思ってたよ。

智に会うまでは。

でも、そんなことどうでもいいくらい、智のことが頭から離れないんだから、仕方ない。

俺は智の後ろのソファーに右腕を伸ばす。

「友達同士じゃダメなのかなぁ?」

智の目が俺を映す。

言ってる言葉とは裏腹に、智の目は俺を誘ってるようにしか見えない。

これは俺の目の錯覚?

願望がフィルターかけてる?

「智は……俺のこときらい?」

「んふふ。きらいなわけないじゃん。きらいだったら家になんて呼ばないよ。」

俺は伸ばした右手を智の肩にかける。

「そういう気持ちがあるって思ってい……。」

「いや、だから……それは違……。」

俺は智の頬に手を添える。

「あの時のキス……思い出して眠れない俺を想像したことある?」

俺はゆっくり指先を動かす。

幻を触るみたいに。

「智は思い出したことあった?」

「…………。」

俺は智の顔ギリギリまで顔を近づける。

ああ、智の匂い、智の唇。

でも、我慢……。

智の気持ちを聞くまでは……。

でないとその先には……いけない。

「俺のこと……友達以上には……見れない……かな?」

智はだまったまま、微動だにしない。

ああ、しまった!キスしてから聞けばよかった。

キスすら久しぶりの俺らなのに!

柔らかい唇を目の前に……俺、待てって言われてる犬状態?

よし!がいつくるかわからないのに……。

「おいらだって……。」

智がポツリとしゃべりだす。

「思い出したこと……あるよ。」

思い出した?キス?俺?まさか、夏の思い出とか言うなよな。

「何を?」

俺も小さな声で聞く。

この近さなら十分聞こえるはず。

「……花火の……。」

「花火の……?」

「キス……。」

智の唇が軽く開いて俺を待つ。

「していい?」

「……ん。」

俺は智の唇の、尖ったところを挟むように唇を合わせる。

ああ、またしまった!

智の気持ち確かめてないじゃん。

でもダメだ。

俺、止まらないもん!










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