「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the lady (5人)

テ・アゲロ  the lady ⑤ -9-

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駿太郎の手が大野の後頭部に回り、大野の唇に唇が迫ってくる。

「や……え?」

大野の目が大きく見開かれると、有無を言わせぬ勢いで駿太郎の唇が重なる。

その手は大野のジッパーの間に差し込まれ、女物の下着の上を進んでいく。

「んっ……駿……。」

すると、ドンドンドンドンとけたたましくドアを叩く音が響く。

「あ……んっ……ドア……。」

大野が両手で駿太郎の肩を押し、唇を離す。

「いいよ……気にしないで……。」

駿太郎の手は、化繊の下着の上を優しく撫でる。

「あ……あんっ……やっ……。」

また、ドアを叩く音。

なおも角度を変え、唇を合わせる駿太郎をかわし、大野が眉を下げて駿太郎を見つめる。

「でも……。」

駿太郎はチラッとドアに目をやると、チッと小さく舌打ちして立ち上がる。

ベッドの大野はそのままに、駿太郎は叩き続けられるドアに向かって怒鳴る。

大野はその間に下着を直し、足を閉じる。

ジッパーに手を掛けるが、思いとどまる。

「なんだよ、いったい!」

「お客様、火事です!」

ダラダラとドアに向かっていた駿太郎は目をみはり、急いでドアを開ける。

「火事って……。」

開いたドアからスルリと男が入ってくる。

仕立ての良さそうなスーツを着たその男は、駿太郎には目もくれず、

ツカツカと部屋の中へ歩いていく。

「ちょ、ちょっとあんた、何……。」

男はベッドが目に入ると立ち止まり、大野を凝視する。

「サトコ……これはどういうことかな?」

大野は男から隠れるようにシーツを引っ張る。

「違うの……。」

「違うも何もないだろう。」

男は大野に鋭い視線を送りながら、振り返って駿太郎を睨みつける。

「なんだよ、いきなり!」

「これはどういうことか、説明してもらおうか?」

男はベッドの端に腰掛ける。

「なぁ?サトコ?」

一気にシーツを捲り上げると、上半身には何も身につけず、

パンツのジッパーも下げたままの大野が体を小さくして現れる。

「お前、誰だよ!」

駿太郎が男の前に立ち止まると、上から見下ろし、威圧する。

「はぁ?俺のに手ぇ出しといて、いけしゃあしゃあと何言ってるのかなぁ?」

男も立ち上がる。

「サトコ、お前、浮気したの?」

「違うの……聞いて!」

「何が違うのか……説明してもらおうか?」

男は大野と駿太郎を交互に見る。

「私……嫌だって言ったのに……。」

「サトコ…ちゃん……?」

駿太郎がびっくりして大野を見る。

大野は顔を伏せ、足を横に投げ出し、よよと泣き崩れる。

「そうか、そうか……。サトコ……怖かったな?」

男はベッドに片膝を付き、大野の頭を優しく抱きしめる。

「サトコを無理やり?どういうことかなぁ?」

男は駿太郎に向かって鋭い視線を向ける。

「いや……サトコちゃん!ちゃんと本当のこと言って!」

「本当の……こと?」

大野は小首を傾げ、大きな瞳を大きく見開く。

「本当のこと……だよ?」

心細そうに瞳を潤ませ、男の腕にすがりつく。

「サトコちゃん!」

男は大野の頬を撫で、振り返って駿太郎を見る。

「この落とし前、どうつけてくれるのかな?」

「ど、どうって……。」

「そうだな……。現金で……200。これでどう?」

男はベッドの端に腰掛、長い脚を組むと、中指と人差し指を立てる。

「現金て……。嵌めたな!」

駿太郎は大野に目をやると、大野はふふっと笑う。

「ウチのサトコを怖がらせたんだ、それくらい、安いもんだろ?お坊ちゃん。」

「200って……。」

「それとも何?サトコにはそれほどの価値はない……そう言う?」

「そんなことは……。」

駿太郎は男の迫力に圧倒され、後ずさる。

「じゃ、すぐ用意してもらおうか?」

「そんなお金……俺にあるわけないだろ!」

「パパとママに電話すればすぐだろ?」

男は駿太郎のジャケットから携帯を取り出し、画面を叩く。

「ほら、電話して。」

男が駿太郎の頬にペチペチと携帯を当てる。

駿太郎はグッと唇を噛むと、男に向かって飛び掛った。

「ふざけるなっ!」

ベッドのスプリングが弾む。

男の上に馬乗りになると、駿太郎は男の顔目掛けて拳を振り下ろす。

男はその拳を手の平で受け止め、握り込むと体を翻す。

今度は男が馬乗りになって、駿太郎の両手を押さえつける。

「ふざけてるのはお前だろ?サトコに手を出したんだからな?

 サトコとはどこまでやったの?……まだ手ぇ付ける前?」

男は面白そうに、口角を上げて笑う。

「サトコと一度やったら止められなくなるよ。すっげぇいいから。」

大野が力いっぱい男の頭を叩く。

「余計なこと言うな!」

大野は顔を赤くして下を向く。

駿太郎は、そんな大野を見て、ポッと頬を染める。

「で、どうなの。力の差も歴然……。電話掛ける気になった?」

駿太郎は男から顔を背け、大野を見つめて目を閉じた。

「……わかったよ……。」

男は駿太郎から降りると、落ちていた携帯を拾い、駿太郎に渡す。

駿太郎はうな垂れながら電話を掛ける。

「……もしもし?俺……あの……200…万……必要なんだけど……。」

駿太郎は窓際に向かって歩いていく。

「え……それは……黙って用意して…………うっ……わかったよ………ん……ん……。」

男と大野は、電話を掛ける駿太郎の後姿を見つめ、顔を見合わせる。

男が、ふっと笑いかけると、大野もふふっと微笑む。

「わかったって……言う通りにするから……ん……。」

男は大野に近づくと、そっとジッパーを上げ、唇に唇を合わせる。

「貞操の……危機?」

「ばぁか。んなわけねぇだろ?もしそんなことになったら……蹴り上げて逃げるわ。」

二人が小声で話していると、駿太郎の電話が終わる。

振り返った駿太郎が二人に向かって言う。

「200万、用意するから……。」

言いよどむ駿太郎に二人は首を傾げる。

「だから……今晩、サトコちゃんを……。」

頬を染め、大野を見る駿太郎に、大野の罵声が木霊する。

「ふざけんな!やるわけねぇだろ!」










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