FC2ブログ

「ココロチラリ」
ココロチラリ(やま)【41~57】

ココロチラリ その後(41) - タイムカプセル side story -

 ←Love so sweet №54 →ココロチラリ その後(42) - タイムカプセル side story -


それから数日、ショウ君はショウ君のお父さんとお母さんについて、

何も言わなかった。

おいらは個展の準備もほぼ終わり、後は搬入すれば……という頃、

ショウ君が、買う家を見に行こうと言い出した。

もう、夕暮れ時だったけど、リフォームが入る前に見に行こうって。

ショウ君が連れて行ってくれたのは渋谷区の端っこ。

渋谷駅からはほど遠く、最寄駅はどこなんだろう?

小田急線か、京王線ってショウ君が言ってた。

渋谷と言う地名からは想像もできないような、住宅街にびっくり。

その中の、古い一戸建ての前に車を止めた。

「ここ。」

ショウ君が車から降りる。

おいらも後に続いた。

昭和の雰囲気そのままのおうちはなんだか落ち着く。

おいらの実家に雰囲気が似てるかな?

ショウ君が鍵を開けると、おいらを中へと促した。

「入って。」

ショウ君に言われるまま中に入る。

ガランとした室内はちょっと寂しい。

夕暮れの空気がそうしてるのかな。

古い畳の上に上ると、ミシッと音がする。

「リビングを広めにして、小さいけどサトシのアトリエと俺の書斎を作りたいんだ。」

ショウ君が楽しそうに笑う。

「できれば書斎とアトリエを隣にしたかったんだけど、それはちょっと無理そうだから、

 サトシのアトリエを1階、俺の書斎をその上に作って、寝室は2階。」

ショウ君が階段をゆっくり上っていく。

2階の窓からはきれいな夕陽が室内に降り注いでいる。

「東側に寝室。西側に俺の書斎。」

ショウ君がゆっくりと2階を歩きまわる。

「サトシが書斎で仕事する俺を呼びに来る。」

ショウ君が振り返って笑ったから、おいらも釣られて笑う。

「『そろそろ寝よう?』って可愛く小首を傾げて、書斎のドアからひょっこり顔を見せる。」

「え?……おいら、可愛くなんて……できるのかな?」

おいらはちょっと首を傾げて考える。

「あはは。そのままで十分可愛いから。」

ショウ君がおいらの肩に腕を回して、キスしてくれる。

「そんな感じでどう?」

「うん。素敵だね。」

おいら達は体を寄せ合って、沈んでいく夕陽を眺める。

「じゃ、今日、これからショウ君の実家に行こう。」

「……どうして?」

ショウ君は驚いたというよりは、不機嫌そうな顔で固まる。

「ちゃんとおいらもショウ君のお父さんとお母さんに挨拶したい。」

「…………。」

ショウ君は、静かにおいらの肩から腕を外す。

「大丈夫だから。ウチは。」

ショウ君がおいらに背中を向けて答える。

ショウ君とお父さん……まだ仲直りしてないのかな……。

ショウ君のお父さんは大きな会社のえらい人で、仕事をしっかりやってきた人。

だから、家族と一緒にいる時間も少なくて……。

そんなお父さんに反発もあってか、就職を決める時、お父さんに全く相談しなかった。

お父さんはショウ君に、自分の会社に入って欲しかったんだろうな。

可愛い息子だもんね。

でも、ショウ君はさっさと今の会社に決めちゃって、お父さんと大喧嘩。

お母さんがなんとか二人を宥めて……。

でも、冷戦状態は続いてたんだね。

おいらはショウ君を後ろから抱きしめる。

「おいらだって、知っててもらいたい。ショウ君のお父さんとお母さんに。」

ショウ君は黙ったまま夕陽を見てる。

「行こう。ショウ君。」

ショウ君は、抱きしめたおいらの手を上から握る。

「お袋にはちゃんと話すから。」

「ダメ。お父さんにも。ショウ君だって、おいらの父ちゃん、がんばってくれたのに、

 おいらは挨拶もできないの?」

「……させたくない。サトシが傷つく。」

ショウ君はおいらの手をギュッと握る。

「そんなことないよ。簡単に認めてくれるなんて思ってない。

 すぐには無理でも、根気よく話していけば……父ちゃんだってわかってくれた。」

「ウチの親父はサトシのお父さんとは違うから。」

「どうして?」

「クソ爺(じじ)ぃだから!」

「ショウ君……。」

ショウ君はおいらの手を解くと、振り返っておいらを見る。

「あのわからずやに、何を言っても無駄だよ。サトシが傷つくとこなんか見たくない。」

ショウ君はおいらをギュッと抱きしめる。

「それでも、おいらは挨拶に行きたいよ?」

「…………。」

「じゃ、おいら、勝手に行っちゃうよ?」

「ダメだ。それはダメ。」

「じゃ、今から行こう。」

「ん……わかったよ……。」

ショウ君はおいらの体を離すと、おいらを見つめて言う。

「でも、もうダメだと思ったら、すぐ帰るからね?」

「……うん。わかった。」

おいら達は家を出ると、車に乗り込んだ。

夕陽が沈んでしまっても、まだ辺りは明るくて、

日が長くなったのがよくわかる。

新しくショウ君が買った家が夕陽でシルエットになって、

とっても綺麗だった。

車を走らせると、ショウ君の横顔は複雑でおいら達は黙ったまま

ショウ君の実家に向かった。

ショウ君は実家の近くで、一度車を止めると、電話を掛ける。

「ああ、お袋?今近くに来てるから、サトシと一緒に寄るから。

 ……うん、そう。………大丈夫だって…………親父は?

 うん……うん、わかった。じゃ、後5分位で着くから。」

電話を切って車を走らせるショウ君は、やっぱり黙ったままで、

おいらは小さく溜め息をついた。










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ 3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
総もくじ  3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png Happiness(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png 夏疾風(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png STORY
【Love so sweet №54】へ  【ココロチラリ その後(42) - タイムカプセル side story -】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【Love so sweet №54】へ
  • 【ココロチラリ その後(42) - タイムカプセル side story -】へ