「Love so sweet」
Love so sweet(やま)【41~60】

Love so sweet №54

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「ただいま~。」

俺はゆっくり玄関を閉める。

「お帰り~。」

リビングから智君の声が聞こえる。

俺はトレイに鍵を置いて上着を脱ぐ。

何を真剣に見てるんだ?

智君の視線の先、テレビに目をやると、智君には珍しくニュースが流れてる。

「何見てるの?」

「ん?」

智君は振り返らずに答える。

「ニュース……。」

「真剣に見てるなんて珍しい。」

俺も上着をハンガーに掛け、智君の隣に座る。

「翔君のはいつも真剣に見てるよ。」

智君が心外だなって顔をする。

「それはどーも。」

俺はリラックスしてソファーの背もたれに寄りかかる。

「翔君、顔が丸く映ってるとか、今日のスーツ姿もカッコいいな、とか。」

智君がんふって笑って、またテレビに目を向ける。

「それ、真剣に見てるって言う?」

俺が笑って足を組むと、智君が笑ってるのが少し見える。

「……翔君のお父さん、ニュース出てた。」

智君が振り返ってにっこり笑う。

「すごいんでしょ。お父さん。」

俺は言葉に詰まる。

すごいと言えばすごいけど……。

「お父さんから連絡あった?」

「いや……俺たちはそういう関係じゃないから。」

俺は笑って智君を見つめる。

智君がちょっと眉をひそめる。

俺は顔の前で手を振って、

「違うから、大丈夫。もう大人だから、仲良いよ。」

笑いながら智君の髪を撫でると、まだ不審そうに俺を見つめる智君。

「本当だって。分かり合えたのも智君のおかげだから。」

俺は智君の肩を引き寄せる。

「おいら?おいら何にも……。」

俺は智君の頭に頭を重ねて手を握る。

「智君がいてくれたから……。親父と仲直りしようと思った。

 ああいう人だから。俺のこと心配なんだろうけど……。」

「翔君もお父さんも悪くない。ただちょっとすれ違ってただけだよ。」

智君が心配そうに覗き込む。

「えらい人だから、いろいろ心配になっちゃうんだよ。」

その、覗き込む顔に、俺はチュッと唇を当てる。

「な、なんだよ。急に。」

「したくなった。」

「し、したくなったって……。」

智君がきょとんとしたと思ったら、顔を徐々に赤らめる。

「あはは、違うよ。チューしたくなったの。こっちもしたいけどね?」

俺は智君の肩に回した手を尻まで下げる。

「ば、ばかじゃねぇの?」

慌てて俺の手を振り払う智君。

俺は声を上げて笑うと、智君をじっと見つめる。

智君も俺を見上げ、真剣な顔になる。

「お父さんに……おめでとうって言ってあげないの?」

「……うん。後でメールする。」

俺はまた、智君の唇に唇を当てる。

「なんか、翔君のお父さん、えらくなりすぎて、遠く感じる。」

「そうかな?」

「そうだよ。日本を背負っていく人なんだよ。」

智君の顔が真剣で、子供みたいに口を尖らせる。

「俺は、智君だけ背負えればいいや。」

「おいら、背負われるの?」

「うん。」

「いんや、おいらが翔君背負う!」

智君がまた真剣な顔をしたから、俺はクスクス笑う。

「じゃ、背負ってもらっちゃおうかな。」

「仕方ねぇなぁ。背負ってやるよ!」

智君もクスクス笑う。

「俺らの仕事がなくなっても、一生背負ってね。画伯!」

俺は智君の背中に抱きつく。

「おぅ!任しとけ!って、画伯?」

智君が首を傾げる。

「そうそう。俺らが仕事できなくなっても、智君は絵を書いて生活できそうじゃない?

 俺、マネージャーやるよ。敏腕マネージャー。」

俺は智君の耳元で笑う。

釣られて智君も笑う。

「翔君がマネージャー……すっごいこき使われそう。」

智君がんふふっと笑って、抱きついている俺の腕に手をかける。

「分刻みのスケジュール、おいらには無理だからな。」

「わかってますって。二人でイチャイチャする時間もスケジュールに入れとくから。

 1時間単位で。いや、毎日3時間は確保しないと。」

「え?……翔君……。」

「ついでに朝起きて、キスする時間もスケジュールに入れとく。」

「え~、それは勘弁!」

俺は笑って、抱きしめる腕に力をこめる。

「……でも、おいら達のこと……バレたら、翔君のお父さん困るよね?」

「どうして?」

「スキャンダル……。」

「う~ん、誰と撮られてもスキャンダルだけど……。」

智君が肩越しに振り返る。

「翔君のお父さんに迷惑……かかるよね……。」

「それくらいでどうにかなるようなら、あの人の仕事もそこまでってことでしょ?」

「そんなことないよ。翔君のお父さんは立派だよ。」

智君が俺に向き直り、真っ直ぐ俺を見る。

「……ありがとう。でも、同じくらい智君も立派だよ。」

「そんなことないよ……。」

「本当にあなたは自分を過小評価しすぎ。こんなに忙しくて、なのに、

個展までやるんだよ。十分すぎるほど立派だよ。」

「それは事務所のおかげ……。」

「その事務所を動かしたのはあなただから。」

「翔君……。」

俺は智君の頬に手を添える。

「俺はね……バレてもいいと思ってるよ。」

その手で智君の頬を撫でる。

「何になれても、どんなものが手に入っても、智君がいなければ意味がない。」

「翔君……。」

「みんなに迷惑がかかっても構わない……と思う時もある。」

「ダメだよ。そんなの。」

智君の眉が下がる。

「だから……そうなった時は……智君に背負ってもらう!」

俺は笑って智君の顔に顔を近づける。

そっと唇を重ね、柔らかい感触を楽しむ。

大丈夫だよ。智君。そんなことにならないように、俺が智君を守るから。

だから、いつでも笑っていて欲しい。

智君の笑顔さえあれば、俺はびっくりするくらい、なんでもできるんだから!

俺は智君の体をゆっくり倒していく。

テレビから、台風が過ぎ去った経路を説明する声が聞こえる。

台風も、ずっと留まることはないんだよ。

ねぇ、智君。










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