「ココロチラリ」
ココロチラリ(やま)【21~40】

ココロチラリ その後(36) - タイムカプセル side story -

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この間から、ショウ君の様子が変。

なんか……落ち込んでる?

思い返せば、あの酔っ払って帰ってきた日からのような気がするんだけど……。

おいらはとんかつを摘むショウ君を見ながら、冷奴に箸を入れる。

「あんまり美味しくない?」

「そんなことないよ。どうして?」

ショウ君は摘んだとんかつを口に入れる。

「じゃ、元気がない?」

おいらはショウ君の顔を覗き込むように首を傾げる。

「そうかな?元気なさそうに見える?」

「うん……。」

おいらは箸を置いて、ショウ君を見る。

「何かあるなら、ちゃんと話して……。」

「……わかった。……先にお風呂、入ってくる。」

ショウ君は箸を置いて、バスルームへ向かう。

いつものショウ君と違って、なんだか歯切れが悪い。

まだ、酔った日のこと気にしてるのかな?

あんまり気にするから、ちゃんと教えてあげたのに……。

は、恥ずかしかったんだよ。教えるの。

だって、あんなこと……。

口で言えないって言ったら、やってみてって……。

ショウ君、それだけで3回も……。

だから、それが原因ではないと思うんだけど……。



腰にバスタオルを巻き、頭をガシガシ拭きながらショウ君が戻ってくる。

「ビール、飲む?」

おいらが冷蔵庫からビールを取り出しながら聞くと、

ショウ君はちょっと考えてうなずく。

缶ビールを2本もって、ソファーへ移動する。

「はい。」

おいらはビールを1本、ショウ君に手渡し、隣に座る。

ショウ君は髪を拭いていたタオルを首に掛け、ソファーに体を預ける。

「ショウ君、早く着替えないと風邪引くよ。」

おいらが笑って、ショウ君の髪に触ると、ショウ君がいきなり抱きついてきた。

「サトシ……。」

「ん?」

おいらは、まだ蒸れたショウ君の体のせいで、頬が熱くなる。

「幸せ?」

「もちろん。……なんでそんなこと聞くの?」

「いや……。」

「幸せそうに見えない?」

「そんなことないけど……。」

おいらは体を離してショウ君を見る。

「あの日……酔って帰ってきた日、後輩が結婚するって……みんなでお祝いだったんだ。

 ほら、前にサトシが俺の会社の前で見かけた……。」

ショウ君がおいらの髪を撫でる。

おいらはまだ熱い、ショウ君の腕の筋肉に触れる。

「あいつ、すっごく幸せそうで……見てたら、俺のわがままで

 サトシの幸せを奪ってるような気がしてきて……。」

ショウ君は優しく笑いながら、おいらの髪を指で梳く。

「いいの?俺といたら、結婚も、まして子供も、サトシにあげることはできない。」

ショウ君は言い終わると、真剣な顔でおいらを見つめる。

ショウ君の顔があんまり真剣で、おいらはクスクス笑ってしまう。

「なんで笑うんだよ。俺、真剣なのに。」

ショウ君が口を尖らせて、視線をはずす。

濡れた髪からポタッと雫が垂れて、バスタオルの上に落ちる。

おいらはショウ君の首のタオルを取って、ショウ君の頭に乗せる。

「おいらはショウ君と一緒にいられれば、それで十分。」

ゴシゴシと髪をタオルで扱いてあげる。

「でもさ……。」

おいらはタオルを持つ手に力を込める。

ガシガシ、ショウ君の頭を拭いていく。

「ちょ、ちょっとサトシ!」

おいらは頭を拭く手を緩めない。

「ショウ君は?ショウ君がそう思うから、そんなこと考える?」

「ち、違うよ!」

ショウ君がおいらの腕を掴んで下に下ろす。

ショウ君の頭からタオルがパサッと落ちる。

「俺はサトシがいればそれでいい。」

「おいらだって……。」

「でも、俺はサトシに世界で一番幸せになってもらいたいんだ。」

ショウ君が掴んだおいらの腕を、自分の顔の前に持っていく。

「誰よりも幸せになって欲しい。」

おいらの両手にキスをする。

「それは、おいらだって同じだよ。ショウ君に、世界で一番幸せになってもらいたい。」

ショウ君に掴まれた手でショウ君の頬を撫でる。

「それと同じくらい、おいらも幸せになりたい。」

おいらは微笑んでショウ君を見る。

「おいらはね、ショウ君と一緒にいられれば、それが最高の幸せなんだよ。

 結婚も、子供も、ショウ君がいないなら、おいらはいらない。

 ショウ君のいない世界でなんて、おいら幸せになれない。」

おいらの腕を掴んでた、ショウ君の腕から力が抜ける。

その手でおいらの頬を撫で、潤んだ瞳でじっと見られると、

急にショウ君が小さい子供のように思えて、おいらは体を伸ばして

ショウ君の頭を抱きしめ、背中を撫でる。

「……いいの?本当に、俺だけで。」

おいらの腕の中でショウ君がつぶやく。

「いいよ。おいらはショウ君だけでいい。ううん。ショウ君だけがいい。」

おいらがそう言うと、ショウ君の腕がおいらの背中に回って、

力いっぱい抱きしめられた。

「ショウ君は?ショウ君はおいらだけでも平気?」

背中の腕にさらに力が入って、腰の当たりが苦しくなる。

「俺は、サトシがいれば何もいらない。」

おいらはショウ君の濡れた髪を撫でる。

「よかった。おいら達、同じだね。」

「……俺は、幸せ者だ。」

ショウ君がおいらの腕の中でそう言うと、そっと顔を上げる。

「サトシ……。」

「ん?」

おいらは微笑んで、ショウ君を見つめる。

「俺……家、買うから。サトシとこれからもずっと一緒に暮らしていく家。

 渋谷で見つけた。小さいけど、二人で暮らすには十分だと思う。

 だから、サトシのご両親に、ちゃんと話をしようと思う。」

おいらはびっくりして、唾を飲んだ。

結婚するわけじゃないのに、そういうのって必要なもの?










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