「season」
CARNIVAL NIGHT Part2
CARNIVAL NIGHT Part2 #2 - season 文化祭編 -
2015.06.21 *Edit
「それどういうこと?」
マサキがカズに詰め寄る。
「だから、ウチ、そっち系めざしてるやつ多いわけよ。
でも、如何せん、みんな裏方志望。本当はさ、映画撮りたかったんだけど、
それは時間的に無理があるねっつって、芝居になった。」
「だから、それはどうでもよくて、どうして俺らが主役なの?」
ジュンが箸をトントンさせながら言う。
「え?客寄せパンダ?」
カズがニヤリと笑う。
「客寄せ!?」
マサキが素っ頓狂な声を出す。
「却下!」
ショウは持っていた冊子をテーブルの上に放ると、卵焼きを大きな口でパクリと食べる。
「いいのかな~、そんなこと言って。」
カズがニヤニヤ笑う。
「な、なんだよ。」
ショウはカズの顔に不穏なものを感じ、体を引く。
「写真……いろいろあるんだよ?」
「え?」
ショウはドキッとしてカズを見る。
「そ、その話は型がついたはず……。」
「ああ、あの写真はね?でも他にも……。」
「ね、ね、ね!何の話?それ、どんな写真?」
マサキが興味深深でカズの肩を掴む。
「マサキはやるよね?」
「う~ん、役にもよるなぁ。」
マサキも冊子を取るとペラペラ捲る。
「これさぁ。」
さっきから冊子を捲っていたジュンが顔を上げる。
「男、あんまり出てこないじゃん。」
「そうだよ。」
カズはしれっと答える。
「そうだよって……俺ら、4人もいらなくね?」
「いや、いるでしょ?主役って言ったじゃない。」
「え?主役って……。」
マサキが最初のキャストページを開いてカズに見せる。
「シンデレラ、しらゆき姫、眠れる森の美女、王子……あと、魔女?
これがメインキャストだよね……?」
「そうですよ。」
カズは面白そうにニヤニヤ笑うと、みんなの顔を順繰りに見回していく。
「それって……。」
ジュンが目を見開いて、まさかと言う様に口を開ける。
「そうです。女装……して頂きます。」
カズが愉快で仕方ないと言いたげに、笑い声を上げる。
「やだよ。女装なんて。」
マサキが口を尖らせて文句を言う。
「いいの?マサキはやらない?」
「俺は女装なんてしないからな。」
ショウは、ふんっとそっぽを向いてお弁当を食べ続ける。
「……これさ、途中までしかないじゃん。」
冊子をずっと読んでいたジュンがカズを覗き込む。
「そうなんです。まだ途中なんですけどね……。」
「この先はどうなってんの?」
ジュンが片肘ついてカズに聞くと、カズがニヤッと笑う。
「私が脚本、演出なんで……。」
「カズが脚本?すごい!きっとおもしろくなるね。」
今まで黙っていたサトシが、カズを見てふにゃりと笑う。
「でしょ?サトシは手伝ってくれるよね?」
「え?……おいらの女装なんて……似合うかな?」
サトシが首を傾げて考える。
「似合うに決まってるじゃん!」
ショウが間髪入れずに答えると、ジュンもマサキも大きくうなずく。
「そ、そうかな……。」
みんなの雰囲気にたじたじになりながら、サトシは冊子を一冊取り上げる。
「ふふふ。大丈夫ですよ。サトシは女装しないから。」
「え?サトシの女装、なし?」
ジュンがびっくりして、声を上げる。
「はい。サトシには王子役をやってもらおうと思って。」
「なんで?一番似合うのに?」
マサキが不思議そうにカズを見る。
「似合うからですよ。王子姿もきっと似合うけど。」
カズがニヤリと笑うと、ジュンが手を挙げる。
「俺、やってもいいよ。」
ジュンもニヤリと笑ってカズを見返す。
「はは。ジュン君、さすがわかってる!」
「何がさすがなんだよ。」
ショウはカズの言わんとすることが読めなくて、イライラした口調で言う。
「だから……。」
カズが言いかけると、ジュンがシッと口に指を当てる。
「な、なんだよジュン!言えよ!」
「いいよ、ショウちゃんはやらなくて。」
ジュンが意地悪そうに笑う。
「やりたくないんでしょ?」
「やりたくないけど……なんか、やった方がいいって俺のセンサーが働く……。」
ジュンがじっとショウを見つめる。
「さすが、ショウちゃんのセンサー。感度、ほんとにいいよね?」
ジュンが感心してうなずくと、マサキもそれに便乗する。
「俺も、なんかおもしろそうな気がしてきた。」
「じゃ、マサキはやるね?」
カズが確認すると、マサキはうんとうなずく。
「ショウちゃん、どうする?」
「だから、何があるのか言えよ。」
ショウが声を荒げてジュンとカズを見比べる。
「やるんなら教えてあげるけど、やらないんなら……教えられないな。」
カズが、ふふんと鼻を上げると、ショウは仕方なく下を向く。
「わかったよ……。」
「じゃ、やるんですね?」
「……やるよ!」
ショウは投げ捨てるようにそう言うと、お弁当をかっ込んだ。
「決まり!全員参加ですね?」
カズはご満悦の様子でうなずくと、みんなに一冊ずつ冊子を渡す。
「……おいら、やるって言ってないのに。」
サトシがボソッとつぶやくが、誰の耳にも届かない。
「で、何があるんだよ。」
ショウはそれが聞けるまでは仮契約とでも言うように、肩頬を上げてカズを見る。
「ふふふ。後半、王子と姫のキスシーンあります。」
「キスシーン!」
ショウ、ジュン、マサキが一斉に声を上げる。
「……おいら、やるって言ってない……。」
やはり、サトシの声はみんなに届かなかった。
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