「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the team (5人)

テ・アゲロ  the team ④ -15-

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いつものバーに大野が行くと、大野指定のカウンター席に松本が座っていた。

「もう来てたのか。」

大野が松本の手前、いつも櫻井が座る席に腰を下ろす。

松本はウィスキーの水割りを飲みながら、キラキラ光る目で大野を見つめる。

その目があまりに眩しくて、大野は松本から視線を外す。

「そりゃぁ、バイト代。」

松本が手の平を差し出す。

「お前も聞いてただろ?宝くじ……。」

「それとこれとは話が別。1本ですよね?」

顔の前で指を1本立てる。

大野は煙草を取り出すと、1本、口に咥える。

松本は、大野の前に置いてあるライターを掴むと、大野の煙草に火を点ける。

大野は松本の手に顔を近づけ、両手で火を覆う。

「サンキュ。」

深く吸い込み、煙を吐き出す。

松本はそんな大野を見つめて笑う。

「俺、煙草吸ったことないんだ。」

「じゃ、吸うな。吸わないのが一番。今じゃ、吸うとこなくて大変だぞ。」

「いいじゃん、一口だけ。」

松本は大野の口から煙草を取ると、口に咥える。

思い切り吸い込み、息を止める。

「え……これの何がいいの?」

しゃべるのと同時に煙が漏れる。

不味そうに顔を歪ませる松本を見て、大野が笑う。

「だから、吸わなくていいって。」

松本の手から直接口に咥えると、大きく吸い込み、ゆっくり吐き出す。

「うめぇ。」

煙草を歯で挟み、ニヤッと笑う。

「ふん。俺だって、慣れれば……。」

大野の口から煙草を取ろうとする松本の手を、骨ばった、大きな手が遮る。

「そういうのは、俺の許可を取ってからにしてくれないと。」

櫻井は大野の口から煙草を取り上げると、一口吸って、灰皿に押し付ける。

「だから、俺のなけなしの煙草~っ!」

大野が消された煙草を拾いあげ、指でまっすぐに伸ばしていく。

「後で買ってあげるから。」

櫻井が溜め息交じりに言う。

「え?」

大野は一瞬嬉しそうにしたが、顔を左右に小さく振り、伸ばした煙草に火を点ける。

「もったいないからね。大事にしないと……。」

皺々の煙草を美味しそうに吸い込む。

「なんか、そんな皺々の煙草も似合う……。」

松本はカウンターに肘を着いて顎を乗せ、仄かに上気した頬で大野を見つめる。

「だから、そんな顔して見んな。」

大野が松本から顔を背ける。

松本はそんな大野の横顔を眺め、ウィスキーを口へ運ぶ。

「決めた!俺の報酬、1回でどう?」

松本が大野から目を離さず、ニヤリとする。

「何が1回?」

「エッチ。」

「はぁ?お前までニノみたいに……。」

「なんなら、俺、やられてもいいよ。」

「また、経験もないガキのくせに……。」

マスターは無表情で大野の前にグラスを置く。

いつものバーボンロック。

隣の櫻井の前にもスコッチのソーダ割りが置かれる。

大野はグラスを口に運ぶとゴクリと飲み込む。

「最初がないと、いつまでも経験者にはなれない……。」

松本はクスクス笑いながら、摘みのナッツを下唇の上に乗せる。

それを上唇で口の中へ入れると、熱の籠もった目で大野を見る。

「いいじゃない。一度してみれば?」

櫻井がニヤニヤしながら、スコッチを口に含む。

「ばっ!お前まで!」

「した後で、きっと俺のこと思い出すから。」

櫻井は大野の顎を人差し指で持ち上げる。

「ええい!お前ら、俺の体をなんだと思ってる!」

大野はグラスを煽ると、カウンターの上に乱暴に置く。

「ダメ?」

松本の声が甘く響く。

「おいらの体はそんなに安くない。」

「じゃ、いくらならいい?」

「そうだな……おいらに勝ったら?」

「勝つって……何で?」

「……ばいおれんす?」

「バイオレンス!いOK!すぐ勝負!」

「待て。おいらはラスボスだから、まずはあのボディーガードに勝ってから。

 その後は、こいつ。」

大野は櫻井の腕を引っ張る。

「こいつに勝って、それからおいら。」

松本はじっと櫻井を下から上へ見上げていく。

「う~ん、強そうにも見えないけど、弱そうにも見えない……。」

「まずはボディガードと戦ってきな。鍛錬しとけって言ってたぞ。」

「ふん。鍛錬なんかしなくても、今の俺で十分。」

松本はウィスキーを飲み干し、立ち上がる。

「善は急げ。」

大野に向かってウィンクすると、店を飛び出していった。

「大丈夫なの?」

櫻井が煙草を咥えて大野を見る。

「大丈夫。酔ってるから相手にしてもらえないだろ。

 あのボディーガード、真面目そうだから。」

大野は言いながら、櫻井の煙草を奪い、口に咥える。

櫻井がその煙草に火を点けると、大野をまじまじと見つめる。

「なんだよ。」

「そろそろ、俺の報酬……。」

櫻井は大野の太腿の上に左手を乗せる。

「は?なんで報酬?」

「俺だって、働いたじゃん。」

「勝手にな。」

「そう仕向けたんでしょ?」

「何を勝手なことを……。」

大野が櫻井から顔を逸らすと、櫻井は大野の腰をグイッと自分に寄せる。

「二宮さんからも、お礼はhoneyからもらえって言われてる。」

櫻井がいやらしく笑う。

「はぁ?ニノ~!」

「じゃ、行くよ。……それとも、あいつとしてみて、俺のこと思い出すか試してみる?」

「ふ、ふざけるな!」

櫻井はあはは、と声に出して笑い、椅子から降りる。

大野の手を掴むと、入り口に向かって歩き出す。

「あ、会計……。」

「済んでる。」

「……手ぇ繋ぐとか……気色悪っ。」

そう言う大野は櫻井とは逆の方向を向いている。

「ふうん、honeyはこういうのが好みなんだ。」

櫻井は大野の手をギュッと握る。

「や、止めろ!」

大野の声が、どこか恥ずかしそうに聞こえ、櫻井は楽しくなってくる。

「さて、報酬、何してもらおうかな。」

「だから、なんでだよ!」

櫻井は大野の手を握り締め、満面の笑みで店を後にする。

人の溢れる繁華街でも、櫻井は大野の手を離すことなく歩き続ける。

「今日はホテルまで、手繋ぎデート♪」

「ば、ばかっ!そういう恥ずかしいことを……。」

櫻井の高笑いと、大野の焦った声が、夜の喧騒の中へ消えていった。










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