FC2ブログ

「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the team (5人)

テ・アゲロ  the team ④ -13-

 ←テ・アゲロ  the team ④ -12- →テ・アゲロ  the team ④ -14-


「小春ちゃんは大丈夫だった?」

大野がカウンターの小春に向かって声を掛ける。

「何が?」

答えたのは相葉だった。

「財布……。危ないことはなかった?」

小春が振り返ると、大野に向かって頬を膨らませる。

「雅紀君の心配性が大野さんにもうつっちゃった?」

小春は大野に冷めた視線を浴びせると、相葉に向き直る。

「小春は太郎君の役がやりたかったのに……。」

「それはダメ。小春ちゃんは女の子なんだから。」

「でも、太郎君だって、怖くなかったって……。」

小春は今日初めて太郎の方を向く。

「うん。大野さんがいたから……。でも、もったいないお婆ちゃんに捕まったけど……。」

相葉は、ほらと言うように小春を見つめる。

「でも、危なくなかったんでしょ?」

「う……うん。」

太郎はチラッと大野を見る。

大野はクスクス笑いながら助け舟を出す。

「小春ちゃんの財布だって、見つからなかったからいいようなものの、

 見つかってたら危なかったんだよ。」

「小春ちゃんは危ないのが好き?」

松本が片肘をついて、クスクス笑う。

小春は小さく息を吐くと、ランドセルから財布を取り出した。

「小春はダメって……ずるい!」

「小春ちゃんだって、十分役に立ってるよ。」

相葉が宥めるように言う。

「みんな、心配しすぎ。」

小春が睨みながら財布を差し出すと、相葉は財布をを受け取り、

微笑んでカウンターの端へ置く。

小春は頬を膨らませたままストローを咥える。

「そう言えば、中身はちゃんと返せた?」

そう言いながら、相葉はコーヒーをカップに注いでいく。

「ん?ああ、もちろん。」

太郎が大野を見て、不安そうにする。

「ほんとに大丈夫だったかな?もったいないお婆ちゃん、気づいてくれたかな?」

「大丈夫だろ?」

大野は煙草を咥えたままクスクス笑う。

「どうやって返したの?」

櫻井は煙草を灰皿に押し付ける。

「ニノの計画では……婆さんの鞄にこっそり返すか、それが危なそうだったら

 郵送だったんだけど……。」

計画の全容を知らない櫻井でもわかるよう、大野が詳しく説明する。

もちろん、松本も知らない。

「婆さんの手下がフラフラやってきたから……。」

大野は短くなった煙草の最後の一口を吸い込む。

「背中に貼っつけといた。」

ニヤリと笑って煙草を灰皿に押し付ける。

「背中?」

「うん。」

大野が楽しそうに笑う。

「大丈夫かな?他の人に盗られたりしない?」

太郎が心配そうに相葉を見る。

「そうだね……ビニール袋、透明だったから、お金、見えちゃってるもんね……。」

相葉もカップをトレイに乗せて、考えるように小首を傾げる。

「大丈夫だろ?盗られたらそれまで。おいら達は返したんだから。」

大野は心配する様子もなく、もう一本、煙草を口へ咥える。

それに火を点けると、櫻井が大野の煙草を奪う。

「あなた、吸いすぎ。」

大野の煙草を口に咥え、旨そうに煙を吐き出す。

「な、何すんだよ。おいらのなけなしの煙草なんだぞ!」

大野が慌てて櫻井から煙草を奪おうとすると、櫻井は面白そうにそれを避ける。

「いつも、あげてるじゃない。たまには貰ってもいいでしょ?」

櫻井はまた、口元を覆い隠すように煙草を吸う。

「煙草なんていつ貰った?銘柄も違ぇのに?」

大野はそれでも、奪おうとする。

「あげてるでしょ?ベッドの上で。」

櫻井がニヤニヤ笑うと、思い出したのか、大野はカァッと頬を染めて煙草を諦める。

それを見ていた松本が、面白くなさそうに鼻を鳴らす。

「はいはい。お疲れ様~。」

相葉がコーヒーを運んで来ると、3人の前に置いていく。

「これで、疲れた体を休めて。」

「ビールじゃないのか?」

大野は不満そうにコーヒーカップを見つめる。

「まだみんな仕事中でしょ?」

「そうだけど……。」

櫻井はコーヒーカップを持ち上げると、香りを嗅ぐ。

「ま、俺は仕事中に抜け出してきてるから、これで十分。」

「俺も。」

松本もカップを持ち上げ、口へ運ぶ。

「いい香り。」

櫻井も一口、コーヒーを口へ含む。

松本はゴクンと飲み込んだ瞬間、櫻井を見る。

櫻井も何を思ったか松本を見つめる。

「ま、まじ(ず)い。」

二人同時に声を上げた。

「ま、まずいって言うな~っ!」

相葉が全身で叫んだ。

大野と子供達は、そんな3人の顔を見て声をあげて笑った。



しばらくすると、カランコロンとドアの開く音がする。

二宮と佳代子が肩を落として入ってきた。

「お帰り~。……二宮さん、どうしたの?」

相葉は二人の様子に気づき、顔を曇らせる。

「お帰りなさい。……どうしたんです?浮かない顔して。」

櫻井も心配そうに二宮と佳代子を見比べる。

「ちゃんと、写真と宝くじ、返したんだよな?」

大野は立ち上がって、二宮の肩を掴む。

「もちろん、返しましたよ。任務は成功です。

 今、宝くじも換金してきました。」

二宮は力なくそう言って、佳代子を見る。

「わ、私が悪いんです。……宝くじなんて買ったことなかったから……。」

佳代子はその場に崩れ落ちる。

それを大野が支えると、佳代子は支えられながら、立ち上がる。

「ぬ、沼田さん、大丈夫ですか?」

大野が佳代子を近くの椅子に座らせると、相葉がおしぼりを佳代子に差し出し、

背中をさする。

「ニノ、宝くじ、どうしたの?……また誰かに盗られた?」

「いいえ。」

二宮がゆっくり首を振る。

「偽物だった?」

「いいえ。」

また二宮が首を振る。

「換金できなかった?」

「いいえ。」

「じゃ、どうしたんだよ!」

大野がイライラしたように大声を出す。

「宝くじ、組違いだったんですよ!」

二宮の声が店中に響き渡った。










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ 3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
総もくじ  3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png Happiness(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png 夏疾風(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png STORY
【テ・アゲロ  the team ④ -12-】へ  【テ・アゲロ  the team ④ -14-】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【テ・アゲロ  the team ④ -12-】へ
  • 【テ・アゲロ  the team ④ -14-】へ