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「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the team (5人)

テ・アゲロ  the team ④ -10-

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西口のコインロッカーの前に大野はいた。

コインロッカーからラジコンを取り出すと、それを持って、西口の空中遊歩道に向かう。

人目に付かない遊歩道の端に行くと、そこから線路を見下ろす。

線路の一番端で、二宮が退屈そうに携帯をいじっている。

大野はふふっと笑うと、ラジコンを広げ、胸ポケットから手帳を取り出す。

手帳をパラパラ捲り、二つ折になっている封筒を空に透かしてみる。

封をしっかり確認し、ラジコンに括り付けると、コントローラーを握りしめる。

電車が入ってきたのを目の端で追い、ヘリを空中に浮かす。

そのまま、ゆっくり線路の上に飛ばしていく。

電車はすぐに発車し、数人がホームを歩いていくのが見て取れる。

大野はへりを架線にぶつけないよう、丁寧に二宮に近づけていった。



相葉と櫻井に向かって走ってきた大男は、いきなり櫻井の体を調べ始めた。

「な、何するんですか!」

櫻井が身を捩って抵抗すると、大男は櫻井をクルッと回し、

背中、腰とパンパン叩いていく。

「ちょっと、聞いてますか?」

櫻井が振り返って大男を見上げると、大男は相葉に向き直る。

「ちょ、ちょっと、何、何?」

相葉が怯えて後ずさると、遊歩道の手すりに押し付け、相葉の体も調べていく。

「なんなんですか、いったい!」

財布を持っていないのを確認すると、大男は二人の顔を見比べる。

「ウェストポーチの男は知り合いか?」

「ウェストポーチ?」

相葉が首を捻る。

「今どき、ウェストポーチなんて!ね?」

櫻井が相葉に同意を求める。

「ひゃっひゃっひゃ。見ないよね?」

「知り合いじゃないんだな?」

大男が念を押すと、櫻井は真顔になって答える。

「そんな男、知らないけど、ずいぶん失礼じゃありませんか?

 一緒に警察に行ってもらってもいいんですよ?」

櫻井の態度に大男は、クッと小さくつぶやき、二人に背を向ける。

「ちょっと!説明してくんないの?」

相葉も大きな声で大男を呼び止める。

大男は振り返ることなく、改札の方へ戻っていった。



小春と太郎は信号で分かれた。

小春は待ち合わせのファミリーレストランに向かい、

太郎は階段を上って、反対側の西口に向かう。

改札の前をキョロキョロしていると、知らない声に振り返った。

「坊や、迷子かい?」

太郎はドキッとして顔を上げると、いかつい大男が太郎を見て、にこやかに笑っている。

怯えるように首を振ると、その男の隣にいたお婆さんが、男を睨みつける。

「怯えてるだろ。もっと優しい顔はできないのかい?」

「は、はぁ。」

男は大きな体を小さくして、精一杯の優しい顔を作る。

太郎はそれが面白くて、クスッと笑う。

「迷子じゃないのかい?」

「はい。……あ、知らない人と話しちゃいけないんだった。」

太郎は口を押さえて、二人を見上げる。

「ちゃんと躾られてるんだね。いい子だ。じゃ、困ったことがあったら声を掛けるんだよ。

 いいね?」

「はい。」

太郎はお婆さんの顔を見てうなずき、小さくお辞儀すると、西口に向かって歩き出した。



太郎が西口に着くと、遊歩道の端から大野が太郎に向かって手を振っていた。

「大野さん!」

太郎は大野を見つけ、駆け寄っていく。

大野は太郎の頭をガシガシ撫でると、にっこり笑って太郎の両肩を掴む。

「大丈夫だったか?」

「うん。」

太郎はクルッと後ろを向くと、ランドセルを大野に見せる。

「ほい。ありがと。成功みたいだね。」

ランドセルを閉めて、太郎を振り向かせる。

「さて、最後の仕上げだ。」

大野と太郎が歩き出そうとした時、いかつい男が息せき切ってやってきた。

「い……いた……。」

息も切れ切れに大野に近づいてくる。

「お前が……やったん…だろ!」

大野に掴みかかろうとする男を、大野は太郎を庇いながら、スルッとかわす。

「なんのことだか、さっぱり。そっちから手ぇ出してきたんだろ。」

「さ、財布を返せ!」

いかつい男はヨロヨロしながら、やけっぱちのように、大野に向かってくる。

大野は太郎の背中を押して、避けさせると、男の肩に手を掛け、

馬飛びのように飛び上がった。

綺麗に両足で着地すると、振り返って、男の背中をポンと押す。

男はつんのめって、転びそうになる。

大野はもう一度、今度は背中を強く押し、男が転がるのを見とめてから、

太郎の肩を引き寄せ、東口に向かって歩き出した。

「大野さん……いいの?」

太郎は心配そうに振り返る。

「大丈夫。疲れてるみたいだから、しばらく動けないよ。」

大野は早く歩くよう、太郎を促す。

「お婆さんに返さなくて……。」

太郎がそう言いかけると、楓がボディーガードと一緒にこっちを見ていることに気づく。

「坊や、大丈夫だったみたいだね。」

楓は優しく笑いかけるが、大野を見ると、顔色を変える。

「お前、さっきの男!」

ボディーガードが楓の前に歩み出る。

「何もなかっただろ?」

大野が不敵に笑ってみせる。

楓はジロリと太郎を見ると、太郎の腕を掴んで引き寄せる。

「ちょ、何すんだよ!」

大野が楓の腕を掴むと、ボディーガードが大野の手を掴む。

「ランドセルの中……見せてもらうよ。」

楓の言葉に反応するように、ボディーガードが太郎のランドセルに手を掛けた。










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