愛と勇気とチェリーパイ(5人)

愛と勇気とチェリーパイ #2

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あたしがこの町に越してきて1週間。

今日、なんとか仕事も決まった。

派遣だけどね。

取り合えず、このお店のコーヒーとケーキを食べる為、働かないとね。

あたしはコーヒーを飲みながら、窓の外に目を向ける。

この町の住み心地は良好。

海が近くて、ちょっと坂が多いのが辛いけど、そこはダイエットと思って頑張る。

だって、毎日ここのケーキ、食べたいもん。

MJの作ったケーキ、めっちゃ美味しいんだから♪

窓から視線を戻すと、ニノちゃんが今日のケーキを運んできてくれる。

「お待たせしました。本日のケーキ、アップルパイでございます。」

さわやかな笑顔~。

おっ!今日はいつもより、シャツのボタンが開いてる~。

いつもは一つ、襟のボタンを外してるだけなのに、今日は二つ目まで外してる。

ねぇ、ニノちゃん、誰かに外されたの?

あたしがクスクス笑うと、ニノちゃんは両手を広げて自分の格好を確認する。

「何かついてる?」

「え?ごめんなさい。不躾で。」

「笑うから気になっちゃった。でも、この店では、笑ってくれるのが一番だからね。」

ニノちゃんが、肩をすくめて軽くウィンクする。

くぅ~~~!

可愛いんだから!

トレイを抱えて帰っていく、後ろ姿までも可愛い!

ニノちゃんは、二度目にお店に来た時から、敬語じゃなくなった。

相手に不快感を与えずに、こういうことができるんだよね。

どうみても、あたしの方が年上なのに。

改めて、カウンターに置かれたケーキに目を向ける。

一番最初に来た時に座った、カウンターの一番端があたしの定位置。

空いてれば、必ずそこに座るようにしてる。

イケメン達を近くで見たいし、内緒話を聞いたりするのにうってつけ。

でも、後ろ、テーブル席側が見えないのが難点。

イケメン達がどこでイチャイチャしだすかわかんないから、

カウンター近くの、窓際のテーブル席もいいんだよね。

今度、あっちに座ってみようかな。

おっと、ケーキ、ケーキ!

今日のアップルパイもとってもイケメン!

きらきら光沢のある表面。間に挟んであるりんごはたっぷり♪

添えてあるホイップはまぁるく雲のよう。

チョコで書かれてるのは……お疲れさま?

あたしは顔を上げて、カウンターの中を見る。

MJがアイバ君と並んで、こっちに向かってウィンクしてる。

はぁん♪

クラクラして倒れそうです。

しかも、アイバ君の右側に立つ、MJの手がアイバ君の左の腰にっ!

MJはアイバ君がお気に入りですか?

それともアイバ君の、腰、がお気に入りですかぁ?

あたしの顔はきっと、恥ずかしい位、デレたに違いない。

この店は、あたしの妄想を掻き立てる。

だって、イケメンばっかりで、みんな仲がいいんだもん!

あたしはアップルパイにフォークを入れる。

一口、口に含むと、シナモンの香りとリンゴの甘みが口いっぱいに広がる。

はぁ~幸せ。

リンゴがね、クタッとしてなくて、シャッキリ感があるの。

MJの作るケーキは最高♪

「コーヒー、お代わりする?」

カウンターの中からアイバ君が、コーヒーの入ったフラスコを持って微笑んでる。

あれがフラスコって言うんだって、アイバ君が教えてくれたの。

「じゃ、少し。」

あたしはコーヒーカップをアイバ君の方へ差し出す。

アイバ君はカップにコーヒーを注ぎながら

「これ、サービスね。店長には内緒。」

って、唇に人差し指を当てる。

いやん!その人差し指、触らせてくださ~い!

いつの間にかアイバ君の後ろに来ていたニノちゃんが、

アイバ君の首に腕を回して抱きついた。

「何?ニノ?苦し~。」

アイバ君がフラスコを持ったまま、びっくりする。

「疲れた~。」

「重っ!」

「じゃ、おんぶ。」

「なんで俺が!」

「一番力持ちだから~。」

アイバ君の後ろで、ニノちゃんがクスクス笑ってる。

はぁ、ニノちゃん、グッジョブ。

いいよ、いいよ。なんならおんぶと言わず、お姫様抱っこで、

疲れたニノちゃんをベッドへ運んであげても~♪



「む、胸が苦しい。」

「どこ?」

ニノちゃんのシャツを脱がすアイバ君。

「ここ。」

ニノちゃんがアイバ君の手を取って自分の生肌に持っていく。

「アイバ君のこと考えると胸が苦しい。」

「ニノ……。」

アイバ君の唇が、ニノちゃんの唇へ……。



は~い。これは思いっきり、あたしの妄想~。

でも、ちょくちょく妄想しちゃう環境がここにはある!

だって、みんなスキンシップ半端ないし、なぜか色気までだだ漏れてて。

真面目な腐女子は、妄想を止められません!

そこへ、ショウ君と店長がやってきた。

大きな荷物と一緒に。

「ショウさん遅いよ~。」

ニノちゃんが、アイバ君に抱きついたまま文句を言う。

「ごめん、ごめん。店長の荷物持つの手伝ってたから。」

「ごめんね~。ショウ君、借りちゃった。」

「それにしても長くない?店長んちでしょ?」

MJが割って入る。

「いったい二人で何してたんだか♪」

アイバ君が二人をからかう。

ちょっと、待った~!

二人で一緒?店長の家?何してたの~!!



…………。



この妄想は自粛。

××が××に…ピィーーーッ!な内容になるから。

ほら、こういうの、規制がうるさいでしょ?

でも、この場合、やっぱり店長が受け……?

いや、ショウ君も意外と……。

そんなことを考えていると、アイバ君の背中から離れたニノちゃんが、

店長の唇に自分の顔を近づけていく。

店長の肩を掴んで、逃げられないようにして。

キャ~~~っ!

思わず声が漏れそうになる。

あと、3センチ、いや2センチ?

それで二人の唇はくっつくのに、ピタッと止まる。

店長は口を真一文字に結んでニノちゃんを見てる。

「ほら、息して。」

ニノちゃんがSな口調で店長に迫る。

店長は口を結んだまま顔を横に振る。

すると、ニノちゃんが店長の鼻を思いっきり摘んだ。

たまらず店長が大きく口を開けると、ニノちゃんがその口に自分の鼻を合わせる。

「あ~~、やっぱり。この人達、我々が身を粉にして働いてる間、お酒飲んでました~。」

店長が慌ててニノちゃんの口を塞ぐけど、間に合わず。

MJがショウ君の腕を掴む。

「そうなの?ショウさんまで?」

「……ご、ごめん。」

ショウ君が下を向いて、バツが悪そうにする。

違うでしょ?それだけじゃないよね?

だって、お店に入ってきた時の二人の空気感、全然違ってたもん。

仄かに甘い雰囲気っていうか、ちょっとさっぱりした感じとか。

どう見たって、お酒飲んだ流れで……さっぱりしたでしょ?

ニノちゃ~ん!匂い嗅ぐのそこじゃないから~っ!

私はニヤケが止まらない!

よし!今度から、店長とショウ君は要チェックね。

もう、私の妄想Life、めっちゃ楽しい♪










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