愛と勇気とチェリーパイ(5人)

愛と勇気とチェリーパイ 上

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温かな樹で作られたちょっとアンティークな扉。

ああ、なんか可愛い。

入り口の、これも樹で作られた看板にはCafe Happinesの文字。

幸せ?

幸せ……なんて、今のあたしには一番不釣合いな言葉。

でも、その扉をそっと引いてみる。

不釣合いだけど……なぜか入ってみたくなる。

目に飛び込んできたのは、樹の温もりを大事にしたお洒落な内装。

壁の至るところに絵や写真が飾ってある。

中に一歩踏み出し、店内を見回す。

店はさほど広くなく、カウンターには椅子が5、6個?

テーブル席も10個位かな?

椅子もテーブルも樹でできていて、入っただけで優しさを感じる。

「いらっしゃいませ~。」

後ろから声をかけられ、ドキッとする。

振り向くと、色白の小柄な男性がにっこり笑って立っている。

白いシャツに黒いパンツ。

腰には黒くて短いカフェエプロン。

イケメン~~っ!

男性は右手を上げて、あたしを奥へと導く。

「カウンター席とテーブル席、どちらがお好みですか?」

男性がメニュー表を持ち返ると、丸くて短めの指が目に入る。

なんか可愛い~♪

あたしはちょっと考えて、カウンター席をお願いする。

一人だったから、テーブル席はちょっと申し訳なくて。

時間が早かったせいか、店内に人影はまばら。

それともあんまり流行ってない店なのかな?

こんなに可愛いのに。

男性に案内されて、カウンターの端の席に腰を下ろす。

男性は私の目の前にメニュー表を置き、また爽やかな笑顔を浮かべる。

やっぱりイケメン!

釣られてあたしもにっこり笑う。

その時、胸のプレートが目に入る。

……ニノ?変わった名前……。ニノちゃん……んふふ。

あたしは手で口元を隠してニヤニヤする。

ダメ。ニヤニヤが止まらないっ!

「今日のお勧めはチェリーパイでございます。当店のチェリーパイは特別でして……。」

今度は片方の唇の端を上げて笑う。

何?その意味深な笑い。

「じゃ、チェリーパイとコーヒーで。」

あたしはクールに答える。

イケメンに興奮してるなんて、恥ずかしくって、気づかれるわけにはいかないもの。

「かしこまりました。」

ニノちゃんというカフェの店員は恭(うやうや)しく頭を下げる。

いやね。そんなお辞儀までカッコいいなんて!

ニノちゃんはカウンターの中に声を掛ける。

「チェリーパイとコーヒーね。」

「了解。」

誰もいないと思っていたカウンターの中から声が聞こえる。

え?と思ってカウンターの中を見ると、背の高い男性が突然現れた。

あ~~、何?この円らな瞳~~~っ!

あたしと目が合うと、背の高い男性がニコッと笑いかけてくれる。

人懐っこい笑顔が犬みたい。

いい人なのが見ただけでわかる。

これまたイケメン!

あたしのテンションはどんどん上がっていく。

偶然入った店で、こんなイケメン達に出会えるなんて!

背の高いイケメンの胸のプレートには「アイバ」とある。

アイバ君かぁ。いくつ位なんだろ?

あたしは頬杖をついて、アイバ君に見惚れる。

一応、携帯を取り出して、チェックしてる振りはするけど、アイバ君から目が離せない。

アイバ君はサイフォンでコーヒーを淹れていく。

コーヒー担当かぁ。

アイバ君がコーヒーを淹れる、その後ろに、もう一人男の人が現れる。

手にはパイらしき物を持っている。

あれがオススメのチェリーパイ?

その男の人の顔はよく見えない。

向こうを向いて、何か作業している。

サイフォンとアイバ君に隠れてチラチラ見えるんだけど……。

その人もニノちゃん、アイバ君と同じで、白いシャツに黒いパンツ、カフェエプロン。

でも、ニノちゃんとアイバ君のエプロンは短いのに、その人のエプロンだけ長い。

調理する人なのかな?

なかなかその人の顔が見えなくて、イライラしながら見上げると、

アイバ君と目が合った。

あ……。

一瞬で自分の頬が染まったのがわかる。

アイバ君は相変わらず、優しい笑顔であたしを見つめる。

いやん。そんなに見つめられたら……恥ずかしいよ~!

でも、嬉しい♪

「お客様、ご旅行ですか?」

アイバ君に声を掛けられた。

「え?ええ……ちょっと……。」

気取って答える。

いいの、いいの。

次、いつ会えるかわかんないんだから、目いっぱいカッコつけんの!

すると、斜め後ろから手が伸びる。

いつからそこにいたのか、お絞りをあたしの目の前に置いていく。

あたしもフッと顔を上げる。

うっわぁ~、素敵ぃ~♪

王子が私に向かって微笑んでる~♪

インテリジェンス漂う微笑?

育ちのよさが滲む仕草?

でも、ぷっくり膨れた唇がちょっとH?

あたしの左側に立つと、トレイの上のお冷を私の前にそっと置く。

ひやぁ~♪

忘れちゃいけない胸のプレート!

ショウ?ショウ君?

ショウ君は、3人と違ってベストと蝶ネクタイ着用。

これまた似合ってるぅ~♪

ショウ君は軽く会釈して戻っていく。

何、何?ここ!

次から次とイケメンしか出てこないんですけど!

こうなったら、アイバ君の後ろの男の人の顔を見なくては!

あたしはお冷を飲みながら、後姿に釘付けになる。

背中のラインはイケメンっぽいよね。

でも、ここまでイケメンばっかりで、あの人までイケメンなんて、ありうる?

いんや、そんなにイケメンがいるわけありません!

それとも何?ここにイケメンが集中してるから、私の近くにはイケメンがいないの?

え?そうなの?そういうこと?

そんなことを考えていたら、アイバ君がカウンター越しにコーヒーを出してくれる。

ああ~ん、癒される笑顔~♪

アイバ君になら、騙されてもいい!あたし!

「ありがとう。」

あたしは心とは裏腹に静かに答える。

ええ、イケメンにキャーキャー言っても許されるのは10代まで。

コーヒーカップを回して、摘むと一口、口に含む。

はぁ~、美味しい。

まろやかで、香り高い。

酸味の多いのが苦手なあたしにはバッチリ。

アイバ君とコーヒーに夢中になっていたら、またしても、知らない内に左側に誰かいる。

ふと、顔を上げると……。










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