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「ココロチラリ」
ROMANCE(やま)

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「美味しそうだね。」

俺達は顔を見合わせて、頂きますをする。

サトシの料理はどれも美味しくて、それにも増して、

蝋燭のオレンジ色の明かりの中のサトシが、幻想的で美しくて、

俺は見蕩れて、しばしば手が止まる。

その都度、心配そうに俺を見るサトシ。

「あんまり美味しくなかった?無理しなくていいからね。

 おいら、料理上手じゃないから……。」

「そんなことない。サトシの作る料理で美味しくなかったことないよ。」

「ショウ君、優しいから……。」

「本当だって!」

俺はパクパク食べることに集中した。

サトシを心配させないために。

食べるだけ食べた後は……。

この幻想的な雰囲気の中でなら……。

俺はその先のシュミレーションを、食べながらしてみる。

うん。いけそうな気がしてきた!

ワインも飲んで、ほわっとしたサトシが、さらにほわっとした頃、

俺はサトシをソファーに誘う。

二人並んでソファーに座ると、心なしか緊張してきた。

お互いぎくしゃくした感じがする。

サトシも、ちょっと離れてソファーに座る。

しゃべったらダメだ。しゃべったら余計ぎくしゃくする……。

仄かな蝋燭の明かり、バラの香りの中、俺は意を決してサトシの手を引っ張る。

「ひゃっ。」

サトシが俺の腕の中に飛び込んでくる。

びっくりして起き上がろうとするのを、力を込めて離さない。

「ショ、ショウ君?」

俺は黙ってサトシを後ろから抱きしめる。

心臓がバクバクする。

初めてじゃないのに、初めてと同じ位バクバクいってる。

しばらく抱きしめて、少し落ち着いてきた頃、腕の力を緩めた。

「サトシ……俺……。」

「ショウ君?」

サトシが顔だけ振り向いた。

「俺が、あの夜言ったこと覚えてる?」

「あの夜?」

「うん。俺が……告白した夜。」

「……うん。覚えてるよ。」

「今までできなかったキスをいっぱいする。」

俺はサトシのおでこにキスした。

「今までできなかった分抱きしめる。」

俺はまた腕に力を込める。

ただでさえ細いサトシが、折れちゃうんじゃないかってほど、ぎゅっと。

「今までできなかった分……。」

「もっと触れる。」

サトシはそう言って、俺の腕を愛おしそうに抱きしめた。

「もっと……触れていい?」

サトシは振り向かずにうなずく。

「うん。……ショウ君に……触れて欲しかった……。」

下を向いたまま顔を上げてくれないサトシ。

「顔、見せて。」

「ダメ……恥ずかしい。」

「どうして……?」

「だって……。」

サトシの声がどんどん小さくなる。

「触れて欲しくて……こんなことするなんて……。」

「こんなこと?」

「……料理たくさん作ったり……蝋燭点けてみたり……。」

俺はサトシの髪にそっとキスする。

ああ、サトシも俺と一緒。

素直に誘えばいいのにね?

それが、なんだかできなくて、お互いに触れたいのに触れられなくて……。

「ごめんね……。」

「ううん。おいらも、素直に言えばよかった。でも、色々考えちゃって……。

 は、初めてだったから……下手だったのかな……とか、

 あんまりよくなかったのかな……とか。

 そしたら、いってらっしゃいチューまでできなくなって……。」

俺はサトシを抱きしめる。

「そんな心配させて……本当にごめん。

 俺だって、何度サトシの部屋の前に行ったことか……。

 でも、サトシに負担がかかるし、そればっかりなのも……

 それが目当てみたいだし……。」

サトシがやっと顔を上げてくれた。

「ショウ君……おいらのこと、考えてくれてたんだ……。」

サトシはまだぎこちなさの残る顔で、俺を見て、嬉しそうに笑った。

俺は我慢できずに唇を合わせる。

ああ、我慢なんてしなくていいんだ。

サトシの唇。

温かくって柔らかい、サトシの唇。

俺は夢中になって舌を絡めた。

強引なくらい、サトシの口内を吸い上げた。

「は………ぁ……っ!」

サトシが微かに声を漏らす。

ああ、やっと、やっと……。

俺はサトシを抱き上げた。

「きゃっ!」

サトシがびっくりして俺の首に抱きつく。

「ちゃんとベッドに行こうね。」

サトシが顔を赤くしてうなずく。

はぁ、可愛い。

こんなに純情可憐な子、他にいる?

いや、いるわけない!

俺は自分の寝室のドアを開ける。

蝋燭よ、バラよ、ムードよ!ありがとう!

俺がサトシを部屋に入れようとした時、

サトシが急に俺の腕から降りた。

何?まさか、ここまできて!?

「ショウ君、蝋燭消して!このままじゃ危ない。」

サトシは急いで蝋燭を消していく。

部屋中に散りばめた蝋燭は20本近く。

俺達は二人して蝋燭を消して回った。

はぁ、せっかくのムードが……。

最後の一本を二人で消すと、サトシがにっこり笑って俺の手を握った。

でも、ちょっと顔を背けて言う。

「ショウ君……して…くれる?」

「もちろん!」

俺はサトシの腰に腕を回し、部屋まで連れて行く。

ああ、やっと……。

俺は後ろ手でドアを閉め、心の中でつぶやく。

サトシ、俺は毎日でもオッケイだから!










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