「ココロチラリ」
ROMANCE(やま)

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「ショウ君。朝だよ。起きて。」

サトシがカーテンを開けると、窓から眩しいくらいの陽が注ぎ込んでくる。

「ん……眩し……。」

「起きないと遅刻しちゃうよ。」

サトシが優しく俺の耳元で囁く。

サトシの声で目覚める朝。

しかも、俺ら、想いが通じ合ってる……はず。

「ショウ君!」

俺はハッとしてガバッと起き上がる。

「サトシ、今何時?」

「もう、9時になっちゃう!」

「やべっ!」

急いでクローゼットからシャツを取り出しTシャツの上に羽織る。

「靴下とネクタイ~!」

「もう、出してあるよ。ベッドの上。」

「わりぃ!」

サトシは笑いながら、俺を見て、部屋を出て行く。

俺は着替え終わると、ダッシュで玄関を出る。

「ショウ君、朝ごはん!」

「ごめん、もう時間がない!」

俺は急いで車に飛び乗る。



俺らはニューヨークに帰ってきた。

日本からこっちに帰ってくる最後の日、俺はサトシに長年の想いを告白した。

サトシも同じ想いでいてくれたことがわかって、今、二人の新たな日々が始まったわけだ。

ところが、俺らは体も心も結ばれたはずなのに、どういうことか

帰ってきてからこっち、全く体の繋がりがない。

帰ってきた日はそりゃ仕方ないとして、その後、タイミングを見計らってはみるものの、

なかなか上手くいかない。

サトシの体の負担も考え、次の日も誘うのを止めたりしたら、

サトシの仕事があったり、俺の仕事が忙しかったり。

そうこうしている内に、全くタイミングがわからなくなってしまった。

それどころか、ずっとしていた、「いってらっしゃいチュー」と

「お帰りチュー」まで無くなって……。

あの夜は、あんなに濃厚だったのに……。

サトシの可愛い声と滑らかな肌。

潤んだ瞳、揺れる腰つき……。

思い出しただけで下腹部がきゅんっと疼く。

毎日は無理でも、せめて週に2回……いや、1日置きくらいは……。

いやいや、とにかく最初の1回!

今日こそは!と毎日思っているが、いやはや……。

そこで、俺は考えた。

今日はサトシを外食に誘って、ムードで持っていく。

サトシ、男だけどやっぱりムードって大事かな?とちょっと勉強した。

なんせ、俺、女相手でもムードのあることしたことなかったから。

ここはロマンチックに攻めてみようと、昨日遅くまで考えていたら、朝からこの様だ。

くそっ!絶対、今日こそは!!

俺は、とにかく仕事を早く終わらせようと、車を走らせた。



帰るメールをする時間、今日はメールじゃなくて電話を掛けた。

「サトシ?」

「どうしたの?電話なんて。」

「うん、今日さ、外で食事しない?」

「今日?」

「うん。……なんか用事ある?」

「……ないけど……今日はウチにしない?」

「あ……夕飯、作っちゃった?」

「うん……ごめん。」

「いや、嬉しいよ。サトシの手料理、大好きだから。」

「ごめんね。タイミング悪くて……。」

「いや、本当に大丈夫。外食なんていつでもできるんだから。」

俺は30分後に帰ると言って電話を切った。

タイミングが悪いのは俺の方だよ!

朝、時間があれば、ちゃんと言っておけたのに!

俺はサトシの声が沈んでるのが気になった。

俺のせいで落ち込ませちゃったか……。

はぁ。今日も上手くいく気が全然しなくなってきた。

それでも、予約しておいた花を取りに花屋により、帰宅する。

「ただいま~。」

玄関を開けると、サトシがすぐに迎えに出て来た。

「お帰りなさい。」

にっこり笑って、戻っていく。

ああ、やっぱり「お帰りチュー」はなしか……。

俺は靴を脱ぎ、後ろに隠していた花束を持ってダイニングへ向かう。

あれ?なんか薄暗い?

ダイニングに入ると、薄暗い中に蝋燭の炎が、そこここで揺れている。

ダイニングテーブルの上には、サトシが作った料理の数々。

「何?どうしたの?」

「う、うん……。」

サトシがモジモジと体を揺らす。

「誕生日……じゃないよね……。」

「うん……。」

サトシが緊張した顔をしているから、俺もなんだか緊張してきた。

俺は蝋燭の仄かな明かりの中、綺麗に並んだ料理を見回す。

ピーマンの肉詰め、マカロニグラタン、鰹のたたき、貝の盛り合わせ……。

和洋折衷で、俺の好きなものばかり。

「全部、サトシが作ったの?」

「うん……ショウ君に食べてもらいたくて……。」

「サトシ……。」

サトシ、俺が元気がないと思って心配して……。

嬉しくて、サトシの顔をまじまじと見つめる。

サトシの顔は仄かなオレンジ色の明かりの中で、恥ずかしそうに俯きぎみ。

俺は後ろ手に持った花束を差し出す。

「はい。」

紅色のバラの花束。

「これ……誕生日……じゃないよね?」

サトシは俺の顔を見て、クスッと笑った。

俺達はクスクス笑いながら、テーブルにつく。










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