FC2ブログ

「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the fake (5人)

テ・アゲロ  the fake ② -4-

 ←テ・アゲロ  the fake ② -3- →テ・アゲロ  the fake ② -5-


荒い息を落ち着かせながら、大野は考えていた。

なんだ?なんて言ってた?

親?親がどうしたって?

櫻井はそっと大野の腰をベッドへ落とすと、大野の横に寝転がる。

「はぁ…はぁ……いいね。ほんと、いい体してる……。」

汗の匂いと櫻井のコロンの香りが、大野を落ち着かせていく。

大野は腕を額に当て、目を瞑った。

「なぁ、もう一度説明して。」

「はぁ……やだよ。」

「あんな時に言われたって頭に入ってこねぇし。」

櫻井はゴムを取ると、手早く結び、枕元のティッシュに刳るんで捨てる。

「それはあなたの問題。俺はちゃんと説明したし。」

大野は、確かめるように櫻井の顔を窺う。

「……昼間の櫻井翔は別人……替え玉ってことだよな?」

「そういうことだね。」

ってことは、今回の依頼主もあんなことしなくてよかったんじゃ?

大野は額に当てた手を口元へ移動させる。

そんな大野を見つめる櫻井は、体を横に向け、肘を突いて頭を乗せる。

「結構イケメンだったぞ。」

「ふうん。お袋の趣味かな?」

櫻井は笑って、大野の体の上に被さる。

「ちょ、ちょっ、待てよ。」

「何勘違いしてんの?」

櫻井はベッドの下の服から煙草を取り出し、大野に見せる。

「おかわり?」

櫻井が片方の口角を上げて笑う。

「ち、ちげぇよ。ふざけんな。」

大野は頬を染めてそっぽを向く。

それを見ながら、櫻井は煙草を咥え、火を付ける。

旨そうに長い息を吐き出すと、枕の位置を直し、上半身を少し起こす。

「俺にもくれ。」

大野が2本指を櫻井の方へ出す。

「ん。」

櫻井は自分が吸っていた煙草を大野の口へ宛がう。

僅かに湿った煙草のフィルターに、櫻井の味が残っている。

大野が煙草を咥え、大きく息を吸うと、煙草の先が赤く光る。

大野の吐く煙を見ながら、櫻井はもう一度煙草を咥えた。

煙草の灰が三分の一位になると、周りをキョロキョロ見回し、煙草を縦に立てる。

「灰皿、灰皿!」

「灰皿?」

大野は上半身を起こし、部屋を見渡す。

ベッドから降り、ベッドと反対側にある机の上から灰皿を取り上げる。

「ほらよ。」

大野はベッドに膝を着き、櫻井に灰皿を渡すと、

灰を落とすのを確認してベッドへダイブする。

「ば、ばか。危ないだろ!」

「んふふふ。何が危ないって?」

大野は櫻井の隣に並んで横になる。

「灰が落ちる!」

「ふぅん。綺麗好きなんだ?」

「清潔と言ってくれるかな?」

櫻井はまた煙草を口に咥える。

「俺にも。」

大野は櫻井の口から煙草を奪うと、短くなった煙草を吸い込む。

それを、櫻井の持つ灰皿にねじ込むと、櫻井の方へ体を向ける。

「もし、俺の依頼主が本気になってたら、どうするつもりだったんだ?」

「本気って……お見合い?」

大野がうなずく。

「それは……ないんじゃない?」

「どうして?」

「俺の親もばかじゃないから、それなりの手は打ってると思うけど……。」

「手?」

「相手から断られるよう、何か考えてたんじゃない?」

そう言えば……マザコンに女好き……って言ってたっけ?

そう見えるようにしてたってことか。櫻井の親も結構な役者だ。

あいつ……あの青年、同業者か……。

大野はは天井を見つめ、頭の下に両手を滑り込ませる。

「さて、おかわり、行きますか?」

櫻井が大野の胸に吸い付く。

「だぁ~!誰が!」

「いいの?あなた、まだ出してないよ?」

そう言えば……。

大野はさっきの情事を思い出す。

「後ろだったからね?出しづらい?」

櫻井がクスクス笑う。

「うるせぇ!」

大野は枕を櫻井の顔に押し付けた。



「あ、これ、領収書。」

大野は二宮のデスクの上に、そっと領収書を差し出す。

「何だかわかるようにしてあります?」

二宮はパソコンから目を離さず答える。

「え……まぁ。」

大野の声が小さい。

「ちゃんと書いといてくださいよ?」

顔を上げた二宮の目が、キラリと光る。

その時、玄関のチャイムが鳴った。

「おっ?お客さんかな?」

大野は笑顔を浮かべ、二宮に出ろと指で合図を送る。

二宮はしぶしぶ立ち上がり、玄関に向かった。

大野は自分のデスクに戻り、デスクの上に置いてあった二宮の報告書を確認する。

すると、すぐに二宮が戻ってきた。

「大野さん、お客さん!」

「客?誰?」

大野が首を傾げると、先日の依頼主、しおりがそこに立っていた。

「しおりさん?」

しおりは大野の顔を見ると、目に涙を浮かべる。

「え?しおりさん……。」

みるみる大粒の涙が溢れてくる。

「え?あ……ちょっ……。」

大野が慌てて二人の元へ行くと、二宮がキッと睨みつける。

「あ、しおりさん、下にマイガールって店があるから、そこで待っててもらえる?」

しおりはハンカチで涙を拭きながら、コクッとうなずき出て行った。

急いで玄関を閉めると、大野は二宮に向き直る。

「あ、頼んどいたあれ、どうもありがとう。助かったよ~。

 俺、ちょっと行ってくるから。」

「また、依頼人に手を出したんですか。」

二宮が静かに冷たく言い放つ。

「違っ。ばか、そんなんじゃないから。」

「本当ですかねぇ?」

「本当だよ。いつもマジで俺から手ぇ出したことねぇから。

 それに、遊んでない女なんか、怖くて手ぇ出せるか。」

大野はそっと背中でドアを開けていく。

「あなた、本当にわかってない……。ま、いいですよ。行ってください。

 くれぐれも慰謝料等、請求されないようにお願いしますよ。」

二宮の声は穏やかだが、目つきは極めて厳しい。

「大丈夫。わかってるって。」

大野はひらりと玄関から逃げていく。

「本当にわかってるんですかねぇ?あの人。……自分の魅力……。」

二宮は肩を竦めてデスクに戻った。










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ 3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
総もくじ  3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png Happiness(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png 夏疾風(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png STORY
【テ・アゲロ  the fake ② -3-】へ  【テ・アゲロ  the fake ② -5-】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【テ・アゲロ  the fake ② -3-】へ
  • 【テ・アゲロ  the fake ② -5-】へ