ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑨-3

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俺はえさを食べて、テレビの前でまどろんでいた。

今日はいろんなことがあって、ちょっと疲れたみたいだ。

サトシもソファーの上で丸くなっている。

ショウはその隣で、何枚もの紙の束を読んでいる。

時々、テーブルの上のパソコンをカチャカチャ弄る。

あのパソコンっていうやつ、すごいんだって、マサキが言っていた。

マサキも仕入れの管理をパソコンでやってるんだけど、

パソコン弄ってる時に、近くに行くと怒られる。

集中できないんだって。

俺も、最初のうちはよくわかんなかったけど、

マサキの後ろで見ているうちに、マサキがいつも間違えるところがわかってくる。

「そこ!間違えてる!」

俺がせっかく教えてあげても、

「気が散るから、あっち行ってて!」

ってまるで聞いてくれない。

だから俺はパソコンを覗くのはやめた。

言葉が伝わらないって、本当に不便だ。

ショウはカチャカチャとパソコンを弄っていく。

マサキみたいに間違えることなんかないみたいに、指が滑っていく。

サトシが起き上がって、大きな欠伸をすると、

ショウの膝の上にのっそりと乗っかった。

「何?どうしたの?」

ショウが指を止め、サトシを見つめる。

サトシはペロッと口の周りを舐めると、ショウの膝の上で丸くなる。

「ふふふ。気持ちよさそうですね、子猫ちゃん。

 でも……ちょっと邪魔なんですけど。」

サトシは、全く聞こえていないように動かない。

ショウは優しく笑ってサトシの頭を撫でる。

サトシにはあんな顔するんだよな。

俺はちょっとおもしろくなくて、前足の上に顔を乗せて目をつぶった。

しばらくして、人間のサトシが腰にバスタオルを巻いた姿で、バスルームから出てきた。

「そんなカッコでいたら、風邪引くだろ?」

ショウが人間のサトシを見上げる。

俺はすぐさま人間のサトシの足に擦り寄る。

「だって、早く出てこないと心配で……。」

「何が。」

「ショウ君がすぐ張り合うから。」

人間のサトシがふにゃりと笑って、俺の頭を撫でる。

「張り合ってなんかないよ。」

ショウは不満そうに口を尖らせて、ソファーを少し空ける。

人間のサトシは、首に掛けたタオルで頭を拭きながら、隣に腰掛ける。

「それより、そんなカッコでいると俺が欲情するから……。」

ショウは人間のサトシの背中に腕を回し、腰を引き寄せる。

なんか、それだけでいやらしい。

俺は人間のサトシの膝の上に前足を置いて、顔をペロペロ舐めようとする。

すると、ショウが俺の前足をサトシの上から払い落とす。

「風呂上りのサトシを舐めていいのは俺だけだから。」

ショウは不敵に笑って、サトシを俺から隠そうとする。

「ほら、すぐ張り合う。」

サトシが困ったように溜め息をついた。

「寝るときは、こいつらどうするの?」

「リビングで大丈夫だと思うんだけど……。

 ショウ君はマー君と寝てるって言ってたけど。」

「マサキ、こいつと寝てるの?」

ショウが俺をじっと見る。

「なんだか気色悪い……。」

何を想像したのか、ショウがブルッと体を震わす。

人間のサトシは笑って、俺の頭を撫で続ける。

「とりあえず、柵もあるから、そこで寝てくれると思うけど……。」

人間のサトシが心配そうに俺を見る。

俺は……できれば人間のサトシと寝たいな……。

そう思った時、サトシの小さな泣き声が聞こえてビクッとする。

見透かされてる?

「サトシ君はソファーの上でも大丈夫かな?トイレもここにあるし。」

サトシのトイレはリビングに置かれてる。

俺は散歩の時にするから、家ではしない。

「じゃ、さっさとベッドへ……。」

そう言いながら、ショウが紙の束を片付け始める。

「その前に……。」

人間のサトシは立ち上がると、リビングの引き出しから爪切りを取り出した。

「サトシ君は爪、切っておこうね?」

人間のサトシは再びショウの隣に座ると、ショウの膝からサトシを抱き上げた。

「このままじゃ、ショウ君達が怪我しちゃうから。」

膝の上に抱きかかえ、サトシの前足の肉球をグッと押す。

指が開いて、爪が出る。

突然、サトシが暴れだした。

サトシの足が人間のサトシを蹴りつける。

「おいらは爪なんか切らないよ!」

サトシは爪きりが大嫌い。

押さえつけられるのも大嫌い。

ダメだ。このままじゃ人間のサトシが怪我しちゃう。

俺はサトシをその場から連れ出そうと鼻を近づける。

でも、俺より一歩早く、ショウがサトシを両手で掬いあげる。

「子猫ちゃん、いい子だから、おとなしくしててね。」

「おとなしくしてたら、爪切られちゃうじゃん!」

ショウはサトシにチュッとキスすると、片手で体を抱き、片手で前足を押さえる。

サトシの足は空中で蹴るものを探している。

「いやだ、いやだってば!」

人間のサトシも立ち上がって爪に爪きりを当てる。

「すぐすむから、いい子にして。」

人間のサトシは素早く爪を切っていく。

時々、ショウが優しい声音でサトシに声を掛ける。

片足が終わると、もう片足。

切った後、軽くヤスリもかける。

「さ、できた。」

人間のサトシがにっこり笑うと、ショウはサトシを抱きしめ、鼻を撫でる。

「いい子だったね。これでもう痛くないよ。」

サトシの前足をニギニギしながら、ショウが笑う。

そんなショウを見て、人間のサトシも笑う。

おもしろくなさそうにサトシが鼻を鳴らす。

「さて、寝ますか。」

ショウが人間のサトシを見て、ニコッと笑った。










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