Welcome to our party ⑭

しばらくして和也が帰ってきた。

続いて雅紀も帰ってきて、みんなで夕食を堪能した。

潤の作った料理は案の定、好評で、次々とみんなのお腹に納まっていく。

雅紀がいつも以上に明るく振舞う。

それを見て、いつものように鼻で笑う和也。

そんな二人を見て、どうしていいか分からず、顔を見合わせて笑う潤と智。

いつもと違った空気の中、食事が終わると、

雅紀はそそくさと部屋に戻り、和也が洗い物を始めた。

「おいらも手伝うよ。」

智は和也の隣に立って、腕まくりする。

「座ってテレビでも見てればいいのに。」

「いいから、いいから。」

智は和也が洗った物を水ですすいで行く。

「すみませんね。」

和也はそう言いながら、手をどんどん動かしていく。

「あ、翔さん……そろそろだった……。」

潤は急いでテレビのリモコンを押し、ソファーに座る。

大きな画面に翔の顔が映る。

「うわっ。びっくりした～。」

智は和也の顔を見て笑う。

和也も笑いながら皿を洗っていく。

「……どうしてこんなことになってしまったのか。詳しく調べてみました。」

翔の声がテレビから流れる。

「ニュースの翔さん、カッコいいよね～。」

和也はお皿を洗うと智の前に置いていく。

「うふふ。ほんと、イケメン。」

智は和也の隣で、その手から皿を受け取って流す。

「あ、ありがと。……リーダー、いっつも言うよね。

　翔さんのこと、イケメンって。」

「そぉかぁ？」

智はふにゃりと笑い、昨日のことを思い出す。

あのイケメンに迫られて、よくもったよなぁ。おいら。

テレビでは、翔が誰かにインタビューしている。

「潤君が好きになるのもわかるな。」

和也は最後の皿を洗いながらテレビに目をやる。

「……ニノ……。」

潤がゆっくり振り返る。

「誰でも気づきますよ。」

「ニノ……。」

智の手も止まる。

水道の水が、智の手を滑っていく。

「あれ？あなたも気づいてたんですか？珍しい。」

智はじっと和也を見つめる。

和也は最後の皿を流すと、すばやく手を拭く。

「私、部屋戻りますね。お先～。」

ゆっくりと階段を上っていく和也を、潤と智、二人が目で追う。

和也の部屋のドアが閉まる音を聞いて、智は居たたまれない空気に

どうしたもんかと頭を掻いた。

「リーダー、気にしないでよ。」


そう言われても……。


困った智は不自然な笑顔を作る。

「ほら、やっぱり気にしてる……。」

潤はちょっと口を尖らせ、智に向かって手招きする。

とまどいながら、智が隣に座ると、潤は智の頬を両手で摘む。

「変な笑い方しないの。」

「い、いひゃいよぉ～。」

智は情けない声を出し、潤の手を握る。

潤は勢いよく手を離し、智の顔を覗き込むように上目遣いで見る。

智は両頬を両手でさする。

「松潤、力、強い～。」

「ごめんごめん。」

潤は智の手の上から頬をさする。

「……大丈夫。きっと翔君も松潤のことが好きになる。」

潤は手を止め、にっこり笑う。

「いいんだ。翔さんが俺じゃない誰かを好きでも……。」

「……松潤。……翔君は松潤のいいとこ、たくさん知ってるよ。だからきっと大丈夫。」

智は潤の頭を優しく撫でる。

「……人を好きになるって理屈じゃないじゃない？

　いい人だから好きになるとは限らない……。

　俺も翔さんのこと、なんで好きになったかなんて、説明できない……。

　だから、諦めることもできなくて……。」

「松潤……。」

「何度も諦めようとしたんだよ？俺に勝ち目なんかないから……。」

「松潤……。」

智はやわらかく潤の体を包む。

「リーダー……。」

智の温もりが、いっそう潤を切なくさせる。

「ん……、松潤が思う通りにすればいいよ。ね。」

潤も智の背中に両手を回す。

テレビ画面では翔が図を見ながら、何か説明している。

二人は抱き合ったまま、そんな翔を眺めた。