「season」
season(5人)【61~Last】

season (80) - タイムカプセル 高校生編 -

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楽しかった旅行から帰ると、5人を待っていたのは熱い太陽と部活三昧の毎日だった。

ショウは全国大会予選、ジュンは春の高校野球、マサキは新人戦に向け汗を流した。

カズも新聞社主催のコンクール、サトシは秋のコンクールに向け、作品を仕上げる。

カズの副職も順調で、ショウが自分の身を犠牲にして守った

サトシの寝顔が売られることはなかったが、

ショウのキス顔は100枚を越える売り上げになり、カズの笑いは止まらない。

「いやぁ、あの旅行代は、ほぼショウちゃんの写真で行ったね。

 次はジュン君のキス顔で150枚目指します!」

ニコッと笑ってカズは言う。

後に、この写真を越えるヒット写真に巡り合えることになろうとは、

この時のカズは思ってもいなかった。

暑い夏は彼らの汗と共に通り過ぎる。

2学期になり、それぞれの部活の合間、相変わらずのランチタイム。

「ショウちゃん、生徒会、立候補するんだって?」

マサキが息咳切って走ってくる。

「お前……どこでそれを……。」

ショウはから揚げを持ったまま動きを止める。

「部活の先輩。俺にも立候補しろって!」

マサキが不満そうに口を尖らせる。

「俺も言われた。」

ジュンはお弁当から目を離さずに会話に加わる。

まだ、サトシとカズは来ていない。

「あ~、やっぱり?」

マサキはジュンの隣に腰掛ける。

「あれ、本当なの?生徒会に入ると部費が優遇されるって。」

弁当を広げながらマサキが言うと、ショウもから揚げを口に入れ、大きく口を動かす。

「そう、先輩達は思ってるみたいだね……。」

ジュンが頬杖をついて答える。

「どうせ、先生達が故意に流したうわさだろ?立候補が少ないから……。」

ゴックンとから揚げを飲み込み、親指と人差し指、2本の指でペットボトルを摘み上げる。

「で、お前ら、どうすんの?立候補。」

ショウが二人に視線を移すと、二人は顔を見合わせる。

「しないよ。そんなの。めんどくさい。」

マサキは弁当の蓋についた海苔をきれいにはがす。

「俺も。時間ないし。ショウちゃんはするの?」

ジュンが、肘をついたままほうれん草を口に運び答える。

ショウは二人から顔を背けて言う。

「俺は……立候補する。」

「え~~~っ!ショウちゃん、立候補するの?」

マサキの声が中庭中に響き渡り、みんなが振り返る。

「マサキ!声でかい!」

ジュンにたしなめられ、マサキは慌てて口を塞ぐ。

「なんで?どうして?」

マサキが目をパチクリしながら聞く。

「……そういうことになった。」

「なったって、どういう意味?」

ジュンが不審そうにショウを見る。

ショウは昨日の部活のことを思い出す。



しつこく立候補しろというキャプテンに、ショウはいい加減うんざりしていた。

「だったら、先輩が立候補すればいいでしょう?」

「ばか。俺じゃダメなんだよ。確かに俺も人気はあるが、若干弱い。

 バスケは相葉を出すって言ってるし、野球は松本を出すって言ってる。

 これに対抗できるのはお前しかいないだろ?」

「あいつら、立候補なんてしないですよ。」

ショウがめんどくさそうにそう言っても、キャプテンはしつこく食い下がる。

「わかんないだろ?な、お前なら確実だから!」

ショウは溜め息をついて、キャプテンを見ると、

「じゃ、先輩が本当に好きな人に告白したら、俺も立候補してもいいですよ。」

「俺、本当に好きな人なんて……。」

「いないんなら、この取引は中止。」

ショウは着替えを済ませ、部室から出て行こうとする。

「わかった。告白するよ。必ず、立候補しろよな!」

キャプテンが走り出す。

「ちょ、ちょっとキャプテン!」

ショウはキャプテンの後を追いながら考える。

マネージャーに告白なら……。

もしそうでなくても、諦めがつく?

どっちにしろ、マネージャーにとっては……。

考えながら走っていると、急に目の前の壁にぶち当たる。

「いってぇ……。先輩?」

壁はキャプテンの大きな背中だった。

キャプテンの脇から前に回りこもうと顔を出すと、

キャプテンの前にはマネージャーが立っている。

「せ、先輩?あの……。」

きょとんとしているマネージャーをよそに、大きく息を吸って、キャプテンが声を上げる。

「俺と付き合えよ。」

マネージャーはびっくりして周りをキョロキョロする。

「え?……まさか、櫻井君!?」

キャプテンは目を見開き、びっくりしたまま笑い出した。

「んなわけねーだろ?」

「え?えーっ……と?……私?」

「お前しかいないだろ。」

「またからかってる?それとも遊び?」

マネージャーもまたかと、呆れたように笑う。

「バカ、本気だよ、本気!」

ぶっきらぼうに言うキャプテンに、ショウは微笑まずにいられない。

「マネージャー、よかったですね!」

「え?あ……。」

見る見る顔が赤くなっていくマネージャーに、ショウは可愛いな、と初めて思った。

「付き合うな?付き合うよな!」

キャプテンは強引にマネージャーの腕を掴む。

「痛いってば!」

「どうなんだよ!」

キャプテンは顔を背けて、目をぎゅっとつぶる。

「早く言え!これ以上待ったら、心臓が壊れる。」

キャプテンの、その姿も可愛くて、ショウはわからないようにクスクス笑う。

「マネージャー、ちゃんと本心を言ってくださいよ。

 先輩、本気の告白なんですから。」

「え……。」

マネージャーはまだ何が起きてるのかわからないようで、

助けを求めるようにショウを見る。

ショウは大きくうなずく。

「どうなんだ、付き合うよな!」

先輩の大声に、釣られたように、マネージャーが言う。

「はい!」

先輩はやっと目を開け、マネージャーを見る。

「よし!」

言うが早いか、マネージャーを抱きしめ、グルグル回した。

「ちょ、ちょっと、恥ずかしいから!」

「ははは。ショウ、ありがとう!お前のおかげだよ!」

キャプテンの笑顔が眩しくて、ショウも笑顔になる。

「先輩も年貢の納め時ですね。」

「おう!ほんと、お前のおかげだよ。……でも、さっきの約束も忘れるなよ?」

先輩がニヤッと笑った。










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