ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑥-4

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ガタガタと音がして、俺は片目を開く。

マサキがジュンの水槽を開けて、ジュンを取り出している。

「絶対逃がさないでよ?逃がすとタンスの裏とかに入っちゃって、

サトシじゃないと出てこなくなっちゃうんだから。」

「へぇ?サトシなら出てくるんだ?」

カズが、餃子をほおばりながら言う。

「そうなんだよ。人間と同じだね?」

マサキが、困ったもんだと首をすくめると、人間のジュンがニヤッと笑う。

「ジュン!そろそろ諦めろよ。サトシには俺がいるんだから!」

ショウが、隣に座っている人間のサトシの肩を抱いて、引き寄せる。

人間のサトシはふにゃりと笑って身を任す。

ああ、いいよなぁ。あの笑顔。ふわっとしてて。

俺がサトシに見惚れていると、前足に痛みが走る。

「痛っ!」

思わず声を上げ、見ると、サトシが俺の前足に噛み付いている。

「ショウちゃんが悪い。おいらがいるのに動こうとするから。」

そう言ってサトシはフン、とそっぽを向く。

「ええ~っと……違うよね?俺が人間のサトシを見てたから……。」

俺はサトシが噛んだ後を舐め、サトシの頭を鼻先で小突いた。

「……ヤキモチ……。」

俺はちょっと嬉しくて、ついそう言ってしまう。

言わなきゃいいのに。

「ショウちゃん、まだわからないの?ショウちゃんはおいらのベッドなんだから!」

そう言って、サトシは俺の鼻に噛み付いた。

「いってぇ~~~っ!」

俺の悲鳴に人間達が一斉に振り返る。

俺は痛い鼻先を地面にこすり付け、サトシが乗ってない方の前足でその鼻先を撫でる。

「どうした?ショウ?」

マサキが心配そうにやってくる。

鼻先を押さえている俺と、しれ~と寝たふりをしているサトシを見て、

マサキにも何があったのかわかったのか、俺の腕からサトシを取り上げた。

俺の足をどけ、鼻先を持ち上げていろんな角度から確認する。

「大丈夫。ちょっと歯型がついてるだけだよ。」

マサキが笑って俺の頭を撫でる。

そんなこと言ったって痛いよ~マサキ!

「こら、サトシ。ショウが優しいからって甘えすぎちゃダメだろ?」

抱き上げたサトシに向かって、メッと怒って見せる。

「こっちのサトシには、もっと甘えて欲しいんだけど。」

ショウが人間のサトシに向かって、柔らかい笑顔を向ける。

へぇ~、あんな顔もするんだ。

あいつ、そんなに嫌なやつじゃないのかも。

俺がそんなことを思っていると、マサキがサトシを抱いたまま、テーブルに戻っていく。

「このジュン、サトシが大好きなんだよ。見てて。」

そう言って、ソファーの上にサトシを座らせ、水槽からジュンを取り出す。

さっきは俺の声で水槽に戻してしまったらしい。

「すげぇ。派手!さすがジュン!」

ショウが感嘆の声を上げる。

初めて見たらそう思うよね?

ジュンの派手さと目力。

「だから、私がオウムでジュン君がこれって、どうも納得できないんですけど!」

カズは不満の声を漏らす。

「いいじゃん、いいじゃん!俺、こいつ好き~♪」

人間のジュンが喜んでジュンの顔を覗き見る。

注目されて嬉しいのか、首をゆっくり右から左へ捻っていく。

「ハ~イ!ジェントルメン♪俺の姿に釘付けだね?」

満足そうに小さくうなずくと、ソファーの上のサトシに気づく。

「可愛い子猫ちゃん♪俺のことを待っててくれたの?」

ジュンは尻尾をバタつかせて、サトシにウィンクする。

マサキはそっとソファーの上にジュンを乗せ、静かにするように周りに促す。

ジュンはキョロキョロと周りを一度確認すると、

スルスルっとサトシの後ろ足の間にもぐりこむ。

いつもの行動。

サトシも慣れたもので、そのままジュンを潰さないように体を横にする。

サトシの後ろ足の間から顔を覗かせたジュンが、気持ちよさそうに首を持ち上げ、

大きな口を開ける。

「ね?可愛いでしょ~?」

マサキが周りの反応を見ながら、俺を呼ぶ。

俺はゆっくりマサキに近づきソファーの上の2匹を見つめる。

「なんか、イマイチおもしろくないんだけど。」

ショウが人間のサトシと猫のサトシを交互に見て、不満そうな顔をする。

「人間と同じで愛があるんだよね?サトシ?」

人間のジュンがキラキラな笑顔で人間のサトシにウィンクする。

本当、人間のジュンの笑顔はキラキラして見える。

オーラがあるって言うの?

こんな笑顔を向けられたら、みんな間違いなくイチコロだね。

でも、人間のサトシはにっこり笑ってうなずいただけ。

それでもショウはおもしろくないらしく、人間のサトシの腰に手を回し、

グッと自分に近づけた。

「ほら、ショウ、ここ。」

マサキは指でソファーの端をトントンと叩く。

俺はマサキの支持通り、ソファーの上に鼻を乗せた。

俺はみんなに注目されて、なんだか居心地悪くって、目をキョロキョロ動かす。

すると、俺をチラッと見たサトシがジュンの頭をペロッと舐めた。

「なんだよ。そうやって、いっつもジュンには甘くって……。」

俺が眉と耳を思いっきり下げて、喉を鳴らす。

「拗ねるなよ。大人げないないぁ。」

サトシがまた、ジュンの頭をペロッと舐めた。

「ジュンは小さいんだから、仕方ないだろ?」

「小さいたって、ジュンも十分大人だよ!」

「ハニー、愛してるよ。」

ジュンが頭を上げて、またウィンクする。

俺がシュンとしていると、人間のサトシが頭を撫でてくれる。

「……人間のサトシは優しい……いい匂いだし……。」

俺が目を細めて小さく言うと、サトシが俺を見つめる。

「じゃ、ショウちゃんは、おいらより人間のサトシの方がいいの?」

小首を傾げて流し目で俺に問いかける。

「……人間のサトシの方が優しいんだもん……。」

ちょっと鼻先を上げて、そう言うと、

サトシは俺の鼻に前足を乗せて2度撫で、ザラザラした舌でペロッと舐めた。

「おいらの方が可愛いでしょ?」

その瞬間、ジュンが飛び掛ってきて、俺の耳に噛み付いた。

俺が痛さのあまり、頭を振ると、ジュンがどこかへ飛んでいく。

ガタン、と上の方から音がして、カズナリがバサバサと羽を広げて空中を飛んでいる。

「ヤキモチは~、大好きだから~♪」

棚の上に着地すると、クルッと回ってみんなを見下ろす。

人間達が声を上げて笑う。

「マー君ちは賑やかだね。」

人間のサトシがニコニコと、俺らに笑いかける。

「もう毎日大変なの!」

マサキもニコニコ答える。

「さびしん坊だから、これくらいがちょうどいい。」

カズがマサキにニヤッと笑う。

「俺も飼おうかな?このトカゲ!」

人間のジュンがトカゲのジュンを探してキョロキョロする。

「あれ?あのトカゲ、どこ行った?」










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