ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑥-3

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「おっ。来たね?」

マサキがいそいそと玄関に向かう。

俺はちょっと顔を上げて、クンっと匂いを嗅いでみる。

俺の好きそうな匂いはしてこない。

人間のサトシの側の方がいいなぁ。

「ショウ君、カズナリ君は覚えてくれた?」

「ぜんっぜんダメ。こいつ、ほんとはバカなんじゃないのか?」

ふくれっ面でショウがソファーに戻ってくる。

ショウの胸で安心しきったように丸くなるサトシ。

「そんなことないよ。」

今度は人間のサトシが立ち上がり、カズナリの前へ行く。

「カズナリ君。こんにちは。」

「こんにちは~。」

カズナリが首を上下に動かす。

「うふふ。お利口さんだね。」

サトシが指を鳥かごの中に差し込むと、カズナリはその指を甘噛みする。

「なんでしょうね?この人。触りたくなる~。」

カズナリが珍しく優しい声で言う。

「だろ?不思議だけど、仕方ないよな?」

俺はカズナリに賛同して鼻をあげると、チラッとサトシを見る。

サトシは相変わらず、ショウの胸で気持ちよさそうにまどろんでいる。

「カズナリ君、覚えてくれるかなぁ。うんとね……。」

人間のサトシが、何かごにょごにょとカズナリに話している。

何を教えるんだ?と耳を立てて聞いていると、リビングのドアが開く。

「ちーっす。」

首を傾げたウィンクと共に、カズが入ってくる。

その後ろから、キラキラした笑顔の人間のジュンも顔を出す。

「何?二人で来たの?」

ショウが立ち上がると、最後に入ってきたマサキがドアを閉める。

俺はそんな三人より、人間のサトシが気になって仕方ない。

俺は人間のサトシの周りをウロウロする。

「何、何教えたの?」

俺が小さな声で鳴くと、人間のサトシは俺をチラッと見て、ニコッと笑った。

「サトシ~!」

大きな声がして振り返ると、カズがやってきて人間のサトシに抱きつく。

「カズ。久しぶり~!」

人間のサトシは喜んでされるままになっている。

「おいっ!カズ!」

慌ててショウが、二人の間に割って入る。

「気安く触るな!」

「はぁ?なんですかぁ?サトシは俺のものって言いたいの?」

「俺のだから!」

そう言って、ショウが人間のサトシを後ろに隠す。

「あんだけ散々ヘタレてたくせに、ずいぶんえらくなりましたねぇ?」

カズが意地悪そうな顔で腕を組む。

「な……昔のことはいいんだよ!」

二人がああだ、こうだと言い合ってる間に、人間のサトシの後ろから

人間のジュンがそっと抱きしめる。

「サトシ。久しぶり。ちゃんとショウちゃんに大事にされてる?」

「うん。」

人間のサトシが幸せそうな顔で人間のジュンを見る。

「サトシが幸せなのが一番。何かあったら俺に言うんだよ?ん?」

こいつ、人間のジュンが来る度に思うんだけど、このジュンってやつ、

サトシに対していつもやけに甘ったるい。

猫好きなのかと思ったら、人間のサトシにもそうだ。

俺やカズナリにそんな雰囲気、一度もないのに。

「は~い。餃子ができたよ~!」

キッチンからマサキの声がしてみんな一斉に振り返った。

「ちょっと待て!ジュン!」

人間のジュンに気づいたショウが、サトシを放り投げて、

人間のサトシから人間のジュンを引き離した。

ああ、ややこしい。俺が言ってること、わかるかな?

まぁ、いいや。

サトシが悲鳴をあげて体を捻った。

「ぎゃっ!なんだよっ!」



人間達がテーブルの周りで飲み会を始めると、俺は窓辺で体を横にした。

陽が当たって気持ちいいんだよ。

どうせ、俺らに食べ物はくれないし、少し昼寝でも……と思ったら、

サトシがやってきて、俺の腕の間に入ってくる。

「俺のとこには来ないんじゃなかったの?」

俺がちょっと意地悪く言うと、サトシはいつものように小首を傾げて、

「来てあげたのに、文句言う?」

と、鼻を鳴らす。

まぁ、いいよ。人間のサトシの匂いも好きだけど、

俺はやっぱりサトシのほわっとした匂いが好きだから。

「ショウちゃんこそ、おいらより人間のサトシの方がいいんじゃないの?」

「だから、それは犬の性……。」

そこで、カズの声が大きく響き渡った。

「ヤキモチは大好きだから焼くんだよ~。ヤキモチは~。」

人間達が大声で笑った。

俺はサトシに鼻を当てて聞いてみる。

「そうなの?ヤキモチなの?」

サトシはぎゅっと目をつぶってつぶやく。

「……違うよ。ヤキモチなんかじゃないやい。」

「俺は……人間のショウに抱っこされてるサトシ……やだったけど……。」

眉を下げて、小さな声で言うと、サトシの鼻に鼻を合わせた。

サトシは俺の鼻をペロッと舐めて、俺の腕に頭を乗せる。

「あいつもショウちゃんも、おいらのベッドみたいなもんだろ。」

ベッド……。

でもいいか。サトシの毛並みは気持ちいいし、何よりこの匂いが一番安心できる。

あったかくって気持ちいい……。

俺はサトシの頭に鼻をくっつけて、目を閉じた。










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