ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑥-2

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「ふうん。猫サトシはウチのサトシとはずいぶん違うね?」

ショウはニヤッと笑って靴を脱ぐ。

おっ!あいつやる気?

サトシ相手にどうする?

ショウは、サトシの後ろをゆっくりついていく。

俺がことの成り行きをじっと見ていると、人間のサトシがクスッと笑った。

「ショウ君、心配しなくても大丈夫。

 人間のショウ君は猫をいじめたりしないから。」

違うんだよ。そうじゃない方が心配……。

人間のサトシが俺の鼻先を撫でて、横を通り抜ける。

俺は人間のサトシについていく。

だって~、いい匂いなんだもん~。

サトシ、仕方ないんだよ。これは犬の性(さが)なんだから!

その後ろを、はぁ、と溜め息をついたマサキが着いてくる。

リビングに行くと、人間のサトシとショウが並んでソファーに腰掛ける。

突然、今まで静かだったカズナリが叫びだした。

「サトシ~、サトシ!可愛いサトシ~。チュ~しちゃうぞ~♪」

ショウがムッとした顔でマサキを見る。

マサキは慌てて顔の前で手を横に振る。

「違う違う!猫、猫の方だよ。」

サトシは小さくミィア~と鳴くと、ショウの膝に飛び乗った。

「うふふ。人間のショウもおいらにチュ~する?」

サトシがショウに向かって鼻を突き出す。

おいっ!サトシ!すぐそうやって!

俺がサトシを払い退けようとすると、人間のサトシが俺を呼んだ。

「ショウ君、おいで。」

人間のサトシがふにゃりと笑う。

俺がフラフラと人間のサトシの前に行き、お座りすると、

人間のサトシは優しく俺の鼻を撫でた。

ううん。いい匂い。しかも触り方が優しい。

俺は目を細めて鼻先を人間のサトシの膝の上に乗せる。

俺がチラッと隣を見ると、サトシと目が合った。

サトシはフンッと鼻を鳴らして、甘えたような声を出す。

「ね?おいらと遊んでくれるよね?」

前足でショウの胸を撫でる。

「こっちのサトシは甘え上手だね。」

そう言って、ショウがサトシにキスをする。

すると、満足したサトシがクルッと向きを変え、膝から飛び降りる

……ところを、ショウにつかまった。

「止めろよ!あっちで遊ぶの!」

サトシが振り返って威嚇する。

そんなサトシを、ショウは両手で持ち上げ、顔の前にかざすと、

「怒っても無駄だよ。子猫ちゃん。」

ショウは勝ち誇ったようにニヤッと笑う。

「ショウ君、苛めないで離してあげなよ。」

人間のサトシが、ダメっというように可愛く睨んで、ショウの腕に手を掛ける。

「どこの世界のサトシも、サトシはみんな可愛くて、手放せなくなっちゃうんだよ。」

ショウは笑いながらサトシの鼻に鼻をこすり付ける。

サトシはギュッと目をつぶり、首をすぼめる。

「ショウ!ショウ!ダメじゃないか!サトシを食べちゃダメだよ~!」

カズナリが甲高い声をあげる。

「マサキ!こいつ、うるさいよ!」

マサキがキッチンから餃子を持って現れる。

「ごめんごめん。」

ショウに向かってそう言うと、吊るされた鳥かごに向かって声をあげる。

「こら!おしゃべりカズナリ!静かにしろ!」

「サトシ~、サトシ!可愛いサトシ~。チュ~しちゃうぞ~♪」

カズナリは羽をバタつかせながら、笑う。

もちろん、笑ってるのは人間にはわからない。

「お前、俺をおちょくってんの?」

マサキが鳥かごに指を掛けて、カズナリを睨む。

「マサキのバ~カ。マサキのバ~カ。」

「……カズだな。カズが教えたんだろ?」

そう。この間、ウチに来た時、カズがカズナリにこっそり教えていた。

短いのなら、すぐ覚えるかなって。

「あっははは。カズらしい。」

サトシが大声で笑う。

「笑うなよ~。」

マサキがサトシを見て、はにかんだような笑顔を向ける。

「じゃ、俺も教えとこう!ショウはカッコいい!サトシはショウを愛してる。」

ショウがサトシを胸に抱いて立ち上がり、鳥かごに向かって言う。

「ショウちゃん!変なこと教えないで!」

マサキが口を尖らせて、ふて腐れる。

「うふふ。ショウ君てば。」

人間のサトシはそう言って、恥ずかしそうに俺の首に抱きつく。

俺はまた、人間のサトシの匂いに包まれて、尻尾がちぎれんばかりに振れる。

「おいらは、ショウちゃんなんか好きじゃないよ!」

サトシは俺の尻尾を見て、フンって鼻を鳴らす。

サトシ~、だから、これは性なんだって!

「ほんと、人間てばかだよな~。ショウちゃんと一緒~。」

カズは何度も同じ言葉を繰り返すショウに向かって、

首を奇妙に上下しながら言う。

「フンッ。ショウちゃんなんか知らないもんね。

 おいら、結構、人間のショウ気に入ったから、

 ショウちゃんの腕の中になんかもう行かないからね!」

「サトシ~。」

俺が小さく鳴くと、人間のサトシが俺の耳元でそっと囁く。

「猫のサトシも犬のショウ君が大好きなんだね?」

え?サトシが俺のこと大好き?

俺が振り返ってショウの胸のサトシを見ると、

サトシは気持ちよさそうに、目をつぶってまどろんでいる。

「俺より人間のショウの方が好きみたいだよ?」

俺が首を傾げながらそう言うと、人間のサトシはにっこり笑う。

「ヤキモチ焼かせたいんだよ。だから、自信を持って堂々としてて。

 ショウ君は賢くてカッコいいんだから。」

俺は人間のサトシと一緒にサトシ達を見る。

覚える気のないカズに、しつこく言葉を教えるショウと、

その隣で溜め息交じりであきれているマサキ。

ショウの胸でまどろむサトシがチラッと片目を開けてこっちを見る。

その時、玄関のチャイムが鳴った。










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