ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑥-1

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今日は朝からやけに騒がしい。

俺は首を上げて当りを見回す。

「あちゃ~!これじゃ間に合わないよ!」

マサキがキッチンで叫んでる。

俺は体を起こしてキッチンに行ってみる。

「こら、ショウ、来ちゃダメ。」

マサキはキッチンで餃子の種を作っている。

これが美味しいんだよ。

俺もサトシも大好き♪

ちなみにカズナリも大好き。

ジュンは……どうかわからない。

食べたことあるのかな?

あれ?大好きな餃子を作ってるのに、サトシがいない?

俺はソファーに戻ってサトシを探す。

いない……。

お気に入りの棚の上にも……いない。

サトシ~。サトシ~?

「君(くん)、付けろや!」

サトシの声がジュンの水槽の方から聞こえてくる。

「サトシ……君?」

俺が水槽の裏を覗いてみると、サトシが水槽に頭を付けて丸くなっている。

「何してるの?」

俺は鼻先をサトシのいる隙間に押し込む。

「ジュンがさ、おいらにいてくれって言うから。」

見ると、水槽の中のジュンもピトッと水槽のガラスに体を寄せて、

サトシにくっついている。

「それに、ジュンのとこ、あったかいんだよ~。」

サトシがふにゃっとした顔でガラスに頭をこすり付ける。

「サトシは俺に甘いんだよ。な?サトシ?」

水槽の中から、甘えたような声が聞こえてくる。

「ジュンは可愛いからな~。」

サトシの甘い声。

見守るような視線。

俺はちょっとイラッとして、隙間から鼻を抜いて、ソファーの上に登る。

「いいよ。サトシの大好きな餃子、マサキが作ってるの、教えてあげようと思ったのに。

 俺ら、失敗作しか食べさせてもらえないのに、いいんだね~?」

サトシの耳がピクッと動く。

「ハニー♪俺が幸せにしてやるからさ、ここにいろよ。」

ジュンがサトシにウィンクする。

ふん!それくらい俺にだってできるもんね!

俺もサトシに向かってウィンクすると、玄関のチャイムが鳴る。

「は~い!ちょっと待って!」

マサキが急いで手を洗う。

俺はすかさず、玄関に向かう。

なんだか、あの玄関の向こうに、良いことが待ってるような気がしたんだ。

なんでだろ?でも俺の勘もまんざらじゃなかった。

玄関に着くと、俺はドアを前足でカリカリする。

「はいはいはいはい。」

マサキが小走りでやって来て、玄関を開ける。

ビューっと寒い風が俺を通り過ぎていく。

風を避け、目を細めると、フワッとあの人の匂いがする。

「来た!」

俺はちょっと興奮して後ろ足で立ち上がる。

「ひゃっ。びっくりした~。」

あの人……人間のサトシが玄関に入ってきた。

「ショウ君、元気にしてた~♪」

人間のサトシが俺の頭を撫でてくれる。

俺は尻尾をめいっぱい振ると、人間のサトシの体にしがみついた。

「サトシ~♪会いたかったよ~♪」

俺はそのまま人間のサトシの顔を舐めまくる。

ああ、サトシの味だ~。

俺をほわんとさせるあの匂い、味。

俺が舐め続けていると、いきなり体を引き離された。

見ると、人間のサトシの隣で腕を組んで立っている男が、

ムスッとした顔で俺を睨んでる。

「こら、ショウ!ショウちゃんに怒られちゃうよ。」

俺を引き離したのは、笑っているマサキ。

「こいつがショウ?」

人間のショウが俺を上から下までじっと見る。

俺はそいつの匂いを嗅いでみた。

クンッ……。

キザなコロンの香りがする。

……俺、こいつなんか好かない。

俺はまたサトシの匂いを嗅ぎに行く。

「待て。みんな中に入れないだろ?」

マサキに抑えられ、俺は廊下の隅に追いやられる。

「サトシ~。」

俺が切ない声で鳴くと、ちょっと怒った可愛い声が聞こえた。

「ショウちゃん、また、人間にうつつ抜かしてるの?」

廊下の向こうから、尻尾を立てて、優雅に歩いてくるサトシ。

「違うよ~。サトシはほんと、いい匂いなんだよ。」

この間、散歩で人間のサトシに会った後、サトシに引っ掻かれて大変だった。

「これは犬の本能なんだ……仕方ないよね?」

俺が眉を下げて、小さな声で言う。

「ショウちゃんなんか、知らないやい!」

優雅なサトシは、玄関でチョコンと座ってみんなを見回す。

「サトシ君。こんにちは。」

人間のサトシが腰をかがめて、サトシに声をかける。

「ふん。おいらに愛想なんか通用しないから!」

サトシが鼻を上げて、プイッとそっぽを向く。

そのそっぽの先に、人間のショウが立っていた。

サトシは人間のショウをじっと見る。

人間のショウもサトシをじっと見る。

なんか、いやな予感がする……。

サトシが可愛く一声鳴くと、小首を傾げて人間のショウを見る。

サトシの目が光る。

「マサキ、こいつが猫のサトシ?犬と違って可愛いじゃん。」

「いやいや、ショウだって、可愛いんだよ?な?」

マサキが俺の頭を撫でて、にっこり笑う。

「そうだよ。犬のショウ君、可愛いんだよ。」

人間のサトシが俺を撫でてふにゃりと笑う。

それを見たサトシが俺とショウを見比べて、甘えたような声を出す。

「おいらと遊ぶ?遊んであげてもいいよ?」

そう言うと、ショウの方へ近づいていく。

「はは、どうしたの?抱っこして欲しい?」

ショウがしゃがんで両手を差し出す。

すると、サトシはショウの腕の中に飛び込んで、気持ちよさそうに目を細める。

「んんっ。可愛い~。」

ショウは優しく抱きしめると、顔を近づける。

サトシはショウの唇をペロリと舐めると、まん丸な可愛い目を一度閉じて、

小首を傾げて見開く。

そして、スルリと、ショウの腕から飛び降りる。

きれいにスタッと着地し、ショウの方を振り返る。

長い尻尾をゆらゆら揺らし、ショウに向かってストンと落とす。

「そんなに遊びたいんなら、遊んであげるよ?」

サトシは小さく鳴いて、また尻尾を揺らした。

なんか、嫌な予感が大きくなっていった。










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