「ココロチラリ」
ココロチラリ(やま)【1~20】

ココロチラリ その後② - タイムカプセル side story -

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ショウ君に気づかれないように、こっそり帰ろう。

そう思って、柱の影に隠れてショウ君を見ていたら、

ショウ君が携帯を取り出した。

誰にかけるんだろう?

柱の影からそっと覗く。

誰にかけるかなんて、ここからじゃわからないよ!

声が聞こえるかと耳を澄ましていたら、おいらの携帯が鳴った。

やばい!

柱の影にしゃがみ込んで、急いで携帯に出る。

「もしもし。」

「もう終わった?」

「え?あ……うん。」

「どうしたの?声、小さいね。」

「そ、そっかな?……お店の中だから。」

「ふうん。ここはお店の中なんだ。」

携帯じゃないところから声が聞こえる。

びっくりしてキョロキョロすると、おいらの後ろでニヤニヤしながら

ショウ君が立っている。

「なんで嘘なんかついたの?」

ショウ君が、携帯をポケットにしまいながらおいらを見下ろす。

「え……驚かせよう…と…思って……。」

とっさについてしまった嘘。

おいらはショウ君を見上げ、顔を引きつらせながら笑う。

「俺も迎えに行こうと思って、急いで仕事、終わらせたんだよ。」

ショウ君はおいらの腕を掴んで、おいらを立たせると、コートの裾をパンパンはたいた。

「ご飯でも食べて帰る?せっかく銀座だし。」

「う…うん。」

おいらは俯いて答える。

「どうしたの?」

「何が?」

おいらが俯いたまま顔を上げられないでいると、ショウ君がおいらの顎をクイッと掬った。

「どうしたの?」

ショウ君の大きな目がキラキラ輝きながら、おいらの顔に近づいてくる。

「ご飯、行きたくない?」

「そうじゃなくて……。」

おいらはショウ君と視線を合わせられない。

ショウ君がおいらをじっと見てる。

おいらはギュッと目をつぶった。

「ふうん。……よし、じゃ、行こうか。」

ショウ君がおいらの肩に手を回す。

え?と思っておいらが目を開けると、ショウ君が優しく微笑んでる。

「え?ど、どこへ?」

おいらはショウ君に押されるように、銀座の街の中へ歩きだしていた。



「ね?どこ行くの?」

「もうすぐ着くから。」

ショウ君はおいらの肩をしっかり抱いて、どんどん歩いていく。

しばらく歩くと、見たことある看板の前に十数人の人。

「あ……“ろーたす”って……マー君のお店?」

ショウ君がにっこり笑う。

「うん。この店、今月オープンしたばっかりなんだ。マサキの餃子食べたら、

 サトシも下向かなくなるでしょ?」

「ショウ君……。」

ショウ君の優しさが眩しくて、おいらは目を細める。

こんなに優しいんだもん、ショウ君がモテないわけない……。

おいら達は最後尾に並んだ。

北風が、おいら達の間を通り抜けていく。

外に立って待つのは寒かったけど、ショウ君がおいらを守るように

風上に立ってくれるから、おいらは全然寒くない。

「ショウ君、そろそろ場所交代。」

おいらがショウ君の後ろに回ると、ショウ君はおいらをクルッと元に戻す。

「俺はロングコートだから大丈夫。サトシは短いから寒いでしょ?」

確かにおいらは腰丈のダッフルだけど……。

「そういうことじゃないよ……。」

おいらは口を尖らせる。

本当に優しいショウ君……。

おいらはこんなショウ君に相応しい?

おいらのこと、嫌になっちゃうんじゃない?

寝癖で隈なんか作ってる場合じゃないよ!



順番が回ってきてお店に入ると、マー君がダイナミックに湯切りしていた。

「うわぁ!」

おいらは小さく声を上げる。

それに気づいたマー君がおいら達を見て、ニコッと笑う。

「お!いらっしゃい。仕事帰り?」

マー君がカウンターを指差す。

「うん。今日は新橋に用事があったから。」

おいらはマー君を見ながら、カウンターに腰掛ける。

「相変わらず、忙しそうだね。当分ここ?」

ショウ君がコートを脱いで、隣に座る。

おいらも慌てて、コートを脱ぐ。

「うん。もうちょっと、落ち着くまでは。落ち着いたら、本店に戻るよ。」

おいら達はラーメンと餃子を注文して、一気に食べた。

マー君の餃子はとってもおいしくって、知らず知らずの間に元気が出てくる。

そんなおいらを見て、ショウ君が微笑んでる。

「ん?なぁに?」

「マサキの餃子の威力はすごいな、と思って。」

ショウ君がおいらの頬を指で拭って、その指をペロッと舐めた。

「そりゃそうだよ。俺が作ってるんだから!」

マー君がカウンター越しに笑ってる。

「うふふ。ショウ君とサトシ君は元気?」

「元気、元気!もう毎日運動会だから!」

マー君が湯切りしながら、身振りで大変さをアピールする。

「熱っ!バカ!飛ぶだろ!」

ショウ君がおでこを押えてマー君を睨む。

「悪い悪い。」

マー君はカウンターのお客さん、みんなに笑顔で軽く頭を下げる。

でも、飛んだのはショウ君だけみたいで、お客さんもニコニコしてる。

マー君の餃子とラーメンを食べたら、みんなニコニコしちゃうんだよ。

マー君にはそんな優しさと明るさがある。

おいらは最後の一口を平らげた。










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