ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑤ 下

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俺らが一斉に振り向くと、小柄な男の人が立っていた。

ふにゃりと笑う顔は優しくて、どこかサトシと似た雰囲気のその人は、

マサキにゆっくり近づいてきた。

「サトシ!あれ?どこ行くの?」

え?この人が人間のサトシ?

「ちょっと、ケチャップ買いに。」

「ケチャップ?」

「うん。今日の夕飯オムライスなんだ。」

マサキの前で立ち止まると、マサキの顔が嬉しそうにほころぶ。

「二人の生活、だいぶ慣れた?」

「うふふ。ニューヨークと変わらないから。」

「そっか。」

俺はその人の足元の匂いを嗅いでみた。

ああ、俺、この人の匂い好きだ。サトシのフワフワの匂いと似てる。

「マー君は散歩?」

「そう。……ほら、ショウ、ご挨拶。」

マサキは俺に座れの支持を出す。

賢い俺はすぐにお座りをし、キリッとカッコつける。

「この子がショウ君なんだ。」

その人はクスクス笑って、俺の頭を撫でた。

「人間のショウ君とおんなじで、お利口さんだね。」

「とんでもないよ!俺が仕事から帰ってくると大変なんだから。

 家の中がすごいことになってて。」

マサキが大げさに困った顔を作り、外国の人みたいに肩をすくめた。

ちょっと待て、マサキ。それはほとんどサトシとカズのせいだからな!

俺が抗議の声をあげると、マサキがごめんごめんと笑った。

人間のサトシはしゃがんで、俺と同じくらいの高さになると、

俺の顔をじっと見て、また頭を撫でてくれる。

「ふふ。ショウ君みたいにイケメン。」

「でしょ?俺もこいつを見た時、絶対ショウって名前にしようと思ったんだ。」

マサキがいつもより楽しそうで、この人のこと、大好きなのがわかる。

「うふふ。可愛い。」

俺を撫で続ける人間のサトシが、ふにゃりと笑った。

その顔を見たとたん、俺の中に沸き起こる感情!

俺は人間のサトシの顔に鼻を押し付け、ペロンと舐めた。

なぜか、この人を舐めたくて舐めたくて仕方ない。

俺が何度も舐めるので、人間のサトシが顔の中心に皺を作ってギュッと目を閉じた。

でも、口元は笑っててくれる。

「こら、ショウ!やりすぎ!」

マサキがリードを引っ張っても、俺はこの人から離れない。

何度も何度も舐め続けた。

俺、この人大好きだ~。

そう思った時、マサキの胸からサトシが顔を覗かせる。

「ショウちゃん!なんかムカつく。」

サトシの声で我に返ると、サトシがマサキの胸から飛び降りてきた。

「ショウちゃんは、おいらとこの人、どっちが舐めたい?」

サトシは人間のサトシの隣に並んで、俺を見据える。

俺の好きな小首を傾げるポーズで、俺の答えを強要してくる。

そんなこと言われても……。

俺はサトシと人間のサトシを交互に見比べたが、どっちなんて選べるもんか!

すると、人間のサトシがサトシを抱き上げた。

「マー君、この子もお散歩?」

「あ~、なんかね、今日に限って一緒に行きたがって……。

 で、とりあえず、リードつけてみた。」

「あはは。さすがマー君!」

人間のサトシはサトシの顔に顔を近づける。

「この子も可愛いね~。名前は?」

「この子は……。」

マサキはちょっと言いづらそうにする。

「サトシ……。」

人間のサトシがびっくりした顔で、びっくりした声を出す。

「この子がサトシ!」

人間のサトシは、サトシを自分の顔の高さに掲げると、ニコッと笑った。

「こんにちは。おいらが人間のサトシだよ。猫のサトシ君。」

サトシが人間のサトシをじっと見つめる。

「ごめんね。君のショウ君をちょっと借りちゃって。」

「な、違うからな。別にそんなんじゃないからな!」

サトシが慌てて訂正する。

訂正しなくてもいいのに……。

「今度、人間のショウ君も連れてくるね。

 きっと、君はショウ君から離れなくなるね。」

「そおかなぁ。サトシはやっぱり飼い主の俺が一番じゃない?」

マサキが自信満々に自分を指差す。

「んふふ。でもこの子、サトシなんでしょ?だったらショウ君から離れられないよ。」

人間のサトシが、ふふふって笑った。

「なんだ、おノロケですか?」

人間のサトシは幸せそうに微笑んで、サトシを降ろして立ち上がった。

「じゃ、そろそろ行かないと。人間のショウ君がお腹空かせて待ってるから。」

「いいよ、いいよ。ショウちゃんなら、いっくらでも待ってくれるよ?

 なんせ、10年も待ったんだから。」

「あはは。それはおいらも同じだから。」

二人は顔を見合わせて笑うと、手を振った。

マサキは人間のサトシの後ろ姿を見送って、俺らに話しかけた。

「どうだった?俺の大好きな人は?」

マサキは見たことないくらい優しく笑った。

サトシはマサキを駆け上がり、胸の中に入ってマサキの顔をペロッと舐めた。

と同時に、俺もマサキの手をペロッと舐めた。

北風がビューっと俺らの周りを駆け抜ける。

「うわっ。寒っ、」

マサキはマフラーを巻きなおし、胸のサトシをギュッと抱きしめる。

「さ、早く行かないと風邪引いちゃう。」

マサキが歩き出すと、俺もマサキに並んで歩いていく。

マサキは片手でサトシの温もりを、片手で俺の背中を撫でる。

「お前らあったかいな~。」

俺はさらにマサキにくっついた。










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