ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ④

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「ねぇねぇ、ショウちゃん。」

サトシが寝そべる俺のとこによってくる。

「おいらね、散歩に行きたい。」

サトシが俺の前足を、柔らかい肉球で撫でる。

「散歩?」

「うん。ショウちゃんはマサキと行くじゃん。」

俺はサトシの方に顔を近づける。

「まあね……。」

「おいらはどうして連れてってもらえないの?」

サトシは可愛く小首を傾げる。

「え?それは……猫だから?」

「猫はどうして行けないの?」

「猫はリードつけないからじゃない?」

「首輪はしてるよ?」

サトシは自分の首を伸ばして、水色の皮の首輪を俺に見せる。

俺の赤い首輪とお揃い。

「え?じゃぁ、マサキにねだってみれば?」

サトシが下を向いて、自分の手をペロペロ舐める。

「ダメだよ。マサキに何言っても無駄だもん。」

俺はサトシのおしりの辺りに鼻先を当てる。

「そっかぁ、残念だね。」

「だからね、今度翔ちゃんが散歩に行く時、おいら付いて行こうと思う。」

「どうやって?」

サトシが前足で顔を洗い始める。

「翔ちゃんの背中に乗るか、足の間に隠れるか……。」

ガタンと大きな音がした。

音のする方を見ると、水槽の蓋がずれ、ジュンが顔を出している。

「ハロー♪子猫ちゃん♪」

ジュンは海外生まれらしく、たまに英語が出てしまう。

育ちはしっかり日本なのにね。

「ほら~。ジュンまで散歩し始めた~。」

サトシが怒って俺の鼻先をひっかいた。

「痛っ!痛いよサトシ君~。」

俺が痛がっている内に、ジュンは水槽から飛び出し、棚を下りると、

奇妙な動きでサトシの下に入り込む。

「お前、ここ好きだな~。」

サトシが優しい声でジュンを鼻でつっつく。

「うん。俺、サトシの匂い好き~。」

ジュンが片目をつぶってウィンクする。

サトシもまんざらでもないのか、ジュンの顔をペロっと舐めた。

「サトシ、あったかくって気持ちいいし~。」

「サトシ君の方が先輩なんだからな。」

俺がジュンに注意を促す。

だって、俺が呼び捨てにすると怒るのに、ジュンに呼び捨てにされても怒らないんだよ?

「サトシ、愛してるよ。俺がサトシ一匹、幸せにしてやるからな。」

「ジュン……、お前、男前だな。」

サトシがまた、ジュンをペロッと舐める。

俺がジュンにムッとしていると、ガシャンとまた音がした。

バタバタと羽の音がして、サトシの隣にカズナリが降り立った。

「ずるい~!カズナリは好きな時に散歩に出る~。」

サトシがキーキー高い声で鳴く。

「ショウちゃん、ライバル登場。大変だね~。」

「うるさいよ。いっつも。」

俺はちょっと唸ってみせる。

ジュンがびっくりしてサトシのお尻の下に顔を隠す。

「ほら、ジュンがびっくりしてるよ。ジュン。大丈夫だよ。

 ショウちゃんは優しいよ~。」

サトシが猫なで声を出す。

「俺、優しい?」

俺はちょっと嬉しくてサトシに聞き返す。

「ショウちゃんは優しいよ。ヘタレだけど。」

サトシがミィア~と笑った。

「ヘタレって……。」

「あはははは。ショウちゃんヘタレ!ショウちゃんヘタレ!」

カズナリが笑いながら飛び回る。

俺は飛んでるカズナリに飛びかかる。

「ショウちゃん怖いよ~怖いよ~。」

カズナリは本棚の上に留まり、首を上下に動かしながら喚く。

ふと見ると、サトシの横で気持ち良さそうに眠り始めたジュン。

それを優しく鼻先でつっつくサトシ。

そんなサトシが女神のように神々しくて、俺はちょっと戸惑いながら、

サトシを抱え込むように横になる。

鼻先でサトシの顔をつついて、

「俺の前足の間に来ないの?」

首を傾けて誘ってみる

「ん~、ジュンが起きちゃうから……。」

サトシは慈愛に満ちた顔でジュンを見る。

サトシ……キレイ……。

俺はボーっとサトシに見惚れる。

すると、カズナリが本棚の上から飛んできて、サトシの隣に降り立つ。

「カズナリも仲間に入りたいんだろ?」

俺が言うと、

「違うよ。俺は一人が好きなんだから。」

そう言って、プイッとそっぽを向く。

本当に素直じゃない。

みんなで、なんとなくまどろんでいると、玄関からガチャガチャと音がする。

マサキが帰ってきた。

でも、みんなを起こしてしまうから、動けない。

「あれ?ショウ?」

マサキがリビングへのやってくる。

俺は首と持ち上げてクゥンと小さく鳴く。

「うわっ!……可愛い。」

マサキが嬉しそうにソファーに腰掛ける。

俺が立ち上がろうと前足を立てると、

「いいから、動かないで。」

マサキが俺をせいして、携帯を取り出す。

俺に囲まれたサトシ。

サトシの下にいるジュン。

サトシに寄り添うカズナリ。

3匹と1羽の姿を楽しそうに携帯に収める。

「これ、ニューヨークのサトシとショウちゃんに送ってあげよう♪」

3匹と1羽が丸くなる姿をマサキが愛おしそうに見ていた。










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